5G RAN市場の低迷はいつ終わるのか
5G RAN市場では、第3四半期もファーウェイ、エリクソン、ノキアの3社がトップに君臨した。とはいえ、その威信は市場の減速によって輝きを失い続けている。
米調査会社Dell’Oro Group(デローログループ)のレポートによれば、第3四半期、3社が市場(売上高)の大部分を占め、数年前から続く同じ順位を維持した。中国を拠点とするZTE、韓国のサムスンもトップ5入りを維持している。
しかし、通信事業者によるネットワーク投資が後退し、5G RAN市場のパイは縮小の一途をたどっている。Dell’Oro Groupによると、同四半期、世界のRAN市場の売上高は2四半期連続で「大幅減」となった。「主に北米市場での投資の減少によるもの」で、減少幅は発展途上市場での投資増よりも遥かに大きなものだったとした。
「このケースでは、5Gの展開が(各市場で)同時に進むものではないことが、米国市場での打撃を一部和らげています――もちろん十分にとはいきませんでしたが」。RAN市場の調査を担当する、バイスプレジデントのStefan Pongratz(ステファン・ポングラッツ)氏がレポートで述べている。「米国市場ではRAN投資、設備投資が顕著に減少しましたが、他の地域がもっと良い状況にあることで、ある程度は相殺されています」
米国を拠点とする通信事業者は各社、数十億ドル(数千億円)規模の初期投資の回収を目指しており、来年にかけて5G RANの設備投資を削減する計画を明確に表明している。
「ワイヤレス業界は現在、投資の谷にあるように思われますが、それにはこのことが大きく関係しています」。米通信大手AT&Tのエグゼクティブ・バイスプレジデント、Chris Sambar(クリス・サンバー)氏が、10月末から開催された「Brooklyn 6G Summit」の基調講演で話している。「私たちは業界の経済面の状況に少々疲れてきています。非常に健全で活気のある業界であり、つい最近発表されたモバイル事業者3社の決算を見ても、それは明らかです。とはいえ、設備投資は理にかなったものでなければなりません。ユーザーによるどのようなユースケースのために投資を行うのか、明確な見通しを持たなければなりません」
インド市場が救い――今のところは
Pongratz氏が言及した「もっと良い」状況の例として、インド市場では5G展開が活発に進められている。とはいえ、ベンダー各社の認識では、同市場で大きな利益を確保できるのも終わりが近いという。
「355%もの成長は、いつまでも続くものではありません。インド市場は驚異的な成長期でした」。ノキアのPekka Lundmark(ペッカ・ルンドマルク)CEOが第2四半期決算説明会で述べている。「投資は続いていますが、下期には落ち着いてくると予想されます。全体の予測としては、2023年はインド市場でも確実に例外的な年になるでしょう。2024年には、ある程度通常に近い状態になりそうです」
ノキアはその後、大規模な企業再編に着手、世界中に展開している事業全体で最大14,000人の人員削減を行うことになっている。
競争関係について見ていくと、ファーウェイの世界1位の座は、中国市場で圧倒的優位にあること、その他の発展途上市場でも成長が続いていることに支えられている。一方、欧米市場での新規取引の獲得には逆風が強まっている。
ノキアとエリクソンにとっては、これによってやや機会が開かれている。Dell’Oro Groupによれば、両社は「北米以外の市場でシェアを伸ばしている」という。
Dell’Oro Groupの予測では、5G RAN市場の減少は2024年まで続くという。「インド市場がマイナスに向かい、引き続き厳しい状況が続く」とした。
電気通信、5G、無線アクセスネットワーク(RAN)、エッジネットワーキングを専門とし、電気通信分野を20年以上担当している。SDxCentral入社以前は、RCR Wireless Newsの編集長を務めていた。
連絡先:dmeyer@sdxcentral.com
Twitter:@meyer_dan
LinkedIn:dmeyertime
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