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文:Dan Meyer

米Broadcom、VMwareの買収をようやく完了

米Broadcom、VMwareの買収をようやく完了

半導体・インフラ・ネットワークの大手、米Broadcomが22日、長らく懸案となり、議論を呼んでいたVMwareの買収をついに完了する(訳注:原文記事公開は22日未明)。契約が正式に失効する日を目前に控えての発表となった。

690億ドル(約10兆2,800億円)を投じた本買収(現金と株式による買収額が610億ドル、債務引受が80億ドル)は、22日に完了する。Broadcomが当初望んでいた日程に遅れること22日、「合併契約の期限切れ」の4日前となる。買収が最初に発表されてからは18カ月が経過していた。

Broadcomは買収完了について短いステートメントを出し、「オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、EU、イスラエル、日本、南アフリカ、韓国、台湾、英国における法的な合併認可および、必要な全法域での外国投資の許可」を獲得したと述べている。「米国の合併規制の下でのクロージングに法的障害はない」とした。

 

最後のハードルをクリア

買収を承認した国のリストに中国が含まれていることには大きな意味がある。買収完了への最後のハードルは中国であると報じられていたためだ。報道では、米国政府による半導体やネットワーク機器の中国への提供に関する規制強化が絡んだ地政学的な緊張が続いていることから、中国政府は承認を遅らせると見られていた。

こうした懸念は、中国の習近平国家主席がサンフランシスコを訪問、ジョー・バイデン米大統領と首脳会談を行った1週間後に解消されている。訪米では企業幹部との交流夕食会も持たれたと報じられている。

アナリストは、中国での承認の遅れによって買収にやや不透明感が出ていると指摘していた。

「この状況が長引けば長引くほど、両社の顧客や株主にとっては痛手が大きくなります」。米調査会社Dell’Oro Group(デローログループ)で企業セキュリティ/ネットワーク調査を担当するシニアディレクター、Mauricio Sanchez(マウリシオ・サンチェス)氏がSDxCentralの取材で話している。「中国はスケジュールについてあまり透明性を持たない傾向にあるため、ここまで進んだのは良いことですが、承認の手前で止まってしまったのは残念でもあります」

 

ネットワーク事業での長い道のり

承認がすべて下りた今、Broadcomは、VMwareとそのネットワーク事業の顧客を自社に統合していくという最重要の課題に直面している。ここでBroadcomがどのように行動するかは、VMwareの顧客や業界関係者によって注視されることになる。

今回の買収に批判的な人々が最も懸念すべき部分として繰り返し言及しているのが、Broadcomが買収した企業や、さらに重要なことには、その顧客をどのように扱ってきたかという前例だ。最も悲惨だったのが、2018年後半に起きたコンピュータソフトウェアを提供する米CA Technologiesの買収と、2019年のセキュリティベンダーのSymantecだという。

「Broadcomによる買収について人と話をすると、買収が完了した企業がどのように扱われたかという話が本当に多く出ます」。昨年サンフランシスコで開催された「VMware Explore」の開始前、米調査会社Technology Business Researchのアナリスト、Alex Demeule(アレックス・ドゥムール)氏がSDxCentralの取材で語っている。

「(VMwareは)仮想化市場に根強い顧客基盤を持っています。Broadcomの狙いはまさにそこにあると考えています。Broadcomは、私には、テック企業であるのと同程度にPE(プライベートエクイティ)企業でもあるように思われます。実に巧みに根強い顧客基盤を買収し、そこからフリーキャッシュフローを生み出すのです」

 

懸念を抱えるVMwareの顧客

先ごろ開催された「VMware Explore」のバルセロナ会場では、BroadcomのHock Tan(ホック・タン)CEOがある基調講演に短い時間登壇し、VMwareの顧客が抱えているであろう懸念を和らげようとした。

氏はこの18か月のあいだ、VMwareの顧客やパートナー企業と話し合い、多くを学んだと参加者に語り、「顧客である皆様に対する当社の約束」を3つ述べている。イノベーションへの投資、パートナーエコシステムへの投資、製品の扱いやすさ向上を挙げ、数十億ドル(数千億円)を投資する計画だと語った。

イベントでは、VMwareのSumit Dhawan(スミット・ダーワン)社長も、今回の買収のメリットのほか、同社がこれまでの所有構造の中でも顧客等との関係や運営上の重点を変わらず維持してきたことをアピールした。

「Broadcomの運営モデルは、事業を買収する場合、その事業を独自に運営させるというものです」と氏。「当社の事業に関しては、当社が策定した戦略、提供するポートフォリオ、お客様へのサービス提供のあり方についても、所有構造とは無関係に、VMwareのミッションとしてそのまま維持されます。…(中略)…当社は常に戦略ミッションに重点を置き、EMCやDellの傘下でも独自の運営を行い、これを遂行してきました。それはBroadcomの下でも変わりません」

また、VMwareが事業を成長させるためには、広範なクラウド/ネットワークのエコシステムと提携し続けていく必要があると強調した。

「仮想化とは、ハードウェアの抽象化であり、引き算です。1種類のハードウェアを抽象化できるということです。当然のことながら、広範なハードウェアエコシステムがなければ、VMwareは存在し得ないのです」

買収に関する今後の重要な日付としては、12月7日にBroadcomの決算発表が予定されている。

Broadcom finally closes VMware deal

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Dan Meyer
Dan Meyer Executive Editor

電気通信、5G、無線アクセスネットワーク(RAN)、エッジネットワーキングを専門とし、電気通信分野を20年以上担当している。SDxCentral入社以前は、RCR Wireless Newsの編集長を務めていた。
連絡先:dmeyer@sdxcentral.com
Twitter:@meyer_dan
LinkedIn:dmeyertime

Dan Meyer
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