先月20日、シスコはスイッチングポートフォリオのCatalyst 9000シリーズを拡充、産業分野に対応した。公益事業や道路、鉄道、石油、ガスといった重要インフラの最新化とセキュリティ確保を目指す。

新しく加わった「Catalyst Industrial Ethernet 9300」（IE 9300）シリーズスイッチは自社開発のUnified Access Data Plane ASIC（UADP ASIC）を搭載、産業分野で必要となる厳しい屋外環境での利用に適したフォームファクタとなっている。

既存顧客にとってはこれまでと同じツール、スキルセットでCatalyst 9000スイッチファミリーを社内全体で利用できるようになった。IE 9300スイッチを導入するに当たってトレーニングは必要ないという。シスコのIoT担当VP兼GM、Vikas Butaney氏が自社ブログで説明している。

また、バックプレーンスタッキング機能と集中管理機能を備えており、「最大8台のスイッチをスタックし、1つのスイッチとして管理する」ことができるという。

オペレーティングシステムにはシスコ製「IOS-XE」を利用しており、管理には「DNA Center」を使用、IDアクセス制御には「Identity Services Engine」、IoTセキュリティには「Cyber Vision」、エンドポイント保護には「Endpoint Analytics」を統合・利用している。

Butaney氏の説明によると、これによって「産業用制御システムやコネクテッドエンドポイントに可視性を提供」できるようにしたという。

OT（オペレーショナルテクノロジー）チームやITチームがゼロトラストアーキテクチャを実現するためには可視性を確保することが重要だと氏は言う。「こうした新機能はいずれもITが持つメリットを最大限に運用環境に取り込み、事業の安全性とレジリエンスを高めるとともに、デジタル化や自動化を加速させるためのものです」

シスコによると、同スイッチは道路やトンネルのような環境に最適だという。料金所ではIoTデバイスによる自動化が進められているが、そうしたネットワークにIE 9300を利用することで複数のアクセススイッチからのトラフィックを集約し、データ保護のために複数の機関によるネットワークをセグメント化することができる。また、光ファイバインターフェイスを利用してトラフィックを増幅無しに長距離伝送することも可能だ。

「今日、多くの産業組織では数十年前の環境がそのまま使われています。自社のネットワークに乗っている機器やそれらの通信パターンについてほとんど可視性がなく、リスクプロファイルが高い状態になっています」。Butaney氏は述べている。「当社の新製品を利用すれば、速やかにネットワークを最適化してセキュリティ体制を強化し、ビジネスのリスクを軽減できるでしょう」

https://www.sdxcentral.com/articles/news/cisco-expands-catalyst-switch-line-to-industrial-edge/2022/01/