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文:Dan Meyer

シスコとマイクロソフト、高速光信号伝送に成功=大西洋の海底で

シスコとマイクロソフト、高速光信号伝送に成功=大西洋の海底で

シスコとマイクロソフトが光伝送試験で提携、最近開通した大西洋横断通信ケーブル「Amitié」(アミティエ)で800Gbps光信号の伝送を実施した。試験の目的は、クラウドサービスやAIサービスの増大に十分に耐える性能を実証することだ。

Amitiéは米国、英国、フランスを結ぶ海底ケーブルで、空間分割多重方式(SDM)と16ファイバーペア(32芯)を採用、各ファイバーペア間で中継器の電力を共有している。試験ではボストンーボルドー間の6,234kmを使用した。

使用した装置は「Cisco NCS 1014」。シスコ傘下の米アカシアが提供するコヒーレント相互接続モジュール8(CIM 8)を搭載している。Cisco NCS 1014は最大2.4Tbps、CIM 8は最大1.2Tbpsの通信が可能だ。

具体的な性能指標としては、150GHz間隔の波長多重で通信速度800Gbpsを達成したほか、往復でも600Gbpsを達成。両社はこれについて、「SDMケーブル1本を使用したシングルキャリア600GbpsDWDM(高密度波長分割多重)伝送としては、これまでに報告された中で最長距離」だと述べている。

シスコの光システム・オプティクス事業担当シニアバイスプレジデント、Bill Gartner(ビル・ガートナー)氏はこの件に関し、「AIの時代には、信頼性の高い高速なネットワーク接続がこれまで以上に重要になります」と述べている。

この重要性については、米シエナのCTO、Steve Alexander(スティーブ・アレクサンダー)氏も繰り返し言及している。SDxCentralの最近の取材では次のように語った。「当社では前年比20%、30%、40%という成長が続いており、今後も確実に(AIの利用拡大によって)こうした成長が続くでしょう。海底ケーブルでも、メトロネットワークの構築でも、ブロードバンドでも同じ傾向がみられます」

「AIと機械学習には大きな注目が寄せられ、あらゆる人々が機能構築を進めています。ネットワークはトレーニングに使いたい情報をマシンに取り込み、結果を返し、望む人の手に届けるのに役立ちます」

Amitiéの敷設工事は2020年に始まり、昨年完了した。展開・管理に関わった企業には、仏オランジュ、英ボーダフォン、米メタ、アイルランドのアクアコムズ、米マイクロソフトなどがある。

現在はマイクロソフトの全サービスを支えるグローバルネットワークの一角を担っている。

シスコの光伝送試験が続く

今回の試験以前にも、シスコは光ファイバー事業者と協働で同様のプラットフォームを使用した試験を何度か実施している。

先月には米Windstreamと提携、米国南東部にある同社の「ICON」(インテリジェント・コンバージド光ネットワーク)の1,100 kmのリンクでディスアグリゲーション型装置を使用した「ヒーロー実験」(基本的な性能を実証する試験)を行っている。テラビット単位の通信速度が得られたとした。

Gartner氏は当時SDxCentralの取材に対し、ディスアグリゲーション型ネットワーキングが堅牢な技術であることを明白に示す結果になったと述べている。

「非常に長い距離で、とてつもない量の信号を伝送することに成功しました。1,100kmを超えるテラビット単位の伝送です。彼らのネットワークが実に堅牢であることが実証されました」

シスコは昨年後半にも類似の試験をベライゾンと共同で実施している。シスコ、アカシアによる装置を使用、ベライゾンが既に導入していた「Cisco NCS 2000」光回線システムでデータ送信を行った。

Gartner氏によると、両試験が伝えている「重要なメッセージ」は、「最新かつ最高の技術を展開済みの既存のインフラに乗せられる」ことだという。

「彼らが展開しているインフラのレイヤー0や光回線システムは、こうした非常に先進的なテラビット級のトランスポンダの土台になることができるのです」と語った。

Cisco, Microsoft beam fast optical signal under the Atlantic

Dan Meyer
Dan Meyer Executive Editor

電気通信、5G、無線アクセスネットワーク(RAN)、エッジネットワーキングを専門とし、電気通信分野を20年以上担当している。SDxCentral入社以前は、RCR Wireless Newsの編集長を務めていた。
連絡先:dmeyer@sdxcentral.com
X(旧Twitter):@meyer_dan
LinkedIn:dmeyertime

Dan Meyer
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