米シスコとNTTリミテッドが提携、プライベート5Gで調整を開始
グローバル事業を展開するNTTリミテッドと米シスコが協業を発表した。自動車、物流、医療、小売、公共セクターをターゲットとするプライベート5Gソリューションを強化する。現在はさまざまな向かい風が吹いているが、プライベート5G市場についてはアナリスト企業各社が楽観的な予測をし続けている。
NTTリミテッドが提供するのはネットワークインフラの設計、展開、運用、ユースケース開発、デバイスの調達、互換性やエンドツーエンドの検証だ。シスコのプライベート5GサービスとNTTのマネージドプライベート5Gサービスの連携も行われる。これによってシスコの顧客が自社のLAN、WAN、クラウドインフラにエッジ接続オプションを追加することが可能となる。
シスコは2022年のMWCバルセロナで「Cisco Private 5G」を発表した。企業の既存システムやWi-Fiと統合でき、従量制のアズ・ア・サービスとして提供されるプラットフォームで、オープンRANの考え方に準拠している。また、マルチテナント機能もサポートしている――この場合、複数のローカル5Gサービス事業者がコアネットワーク資産を共有できるという意味だ。
「この製品は他の技術スタックと組み合わせて統合すれば、お客様の重大な問題を解決することができるのです」。シスコのサービスプロバイダネットワーキング担当CTO、Michael Beesley(マイケル・ビーズリー)氏が米SDxCentralの最近の取材で話している。「当社がこの分野に強気なのはそのためです。今後も投資を続けますし、投資を加速することもあるかもしれません」
シスコは同プラットフォームをマネージドサービスとして提供すると決定し、企業に対して難解さという障壁を低くするとアピールしているが、Beesley氏も支持を述べている。
「現在、当社としては正しい判断だったと断言できますし、そのことをとても嬉しく思っています」
氏の説明によると、シスコが採用しているモデルは、顧客がプライベートネットワークを導入・管理する上ではマネージドサービスやシステムインテグレーターの支援が必要になることを考慮に入れたものになっているという。
「何から何まで自力で完遂できると考えた企業があるかというと、例を挙げるのは難しいでしょう」と氏。「当社としては、提携先のマネージドサービスプロバイダとエンドユーザー双方にとって喜ばしいモデルになったと考えています。恐ろしい量の複雑な部分は見えないものとなり、ものごとはシンプルになり、事業の成長に合わせた従量課金モデルに移行することでコスト削減も可能になります」
NTT自身もプライベート5Gの分野には積極的だ。
同社が最初にプライベート5G NaaS(ネットワーク・アズ・ア・サービス)を立ち上げたのは2021年半ば。昨年には「VMware Edge Compute Stack」に同プラットフォームを組み込む契約を獲得、NTTがEaaS(エッジ・アズ・ア・サービス)サービスを提供することが可能となった。
また、同じく昨年にラスベガス市との契約を拡大、現地の企業や市当局、教育機関等の施設を支える広範囲のプライベートネットワークを展開する運びとなった。同プロジェクトではラスベガス市内のアクセスポイントを増設、サードパーティ製のアクセスポイントやエンドユーザーデバイスと通信が可能なものが展開されるという。
プライベート5G市場の予測……いずれは成長
プライベート5G市場については、市場の初期にさまざまな向かい風が吹いているにも関わらず、アナリスト企業各社が爆発的な成長をするという予測をし続けている。
米ABIリサーチの予測では、プライベートセルラーサービス市場は2023年の70億ドル(約9,570億円)から2030年には960億ドル(約13兆1,260億円)以上に成長するとしている。半分近くはインテグレーションサービスが占めるという予測だ。
「企業向けプライベートセルラーネットワークでは高度にカスタマイズした展開がされるため、インテグレーションやオーケストレーションの高度な専門能力が必要になるということが伺えます」。ABIリサーチのプライベートネットワークおよび企業接続担当シニアアナリスト、Leo Gergs(レオ・ガーグス)氏が同調査報告で述べている。「このため、システムインテグレーターの持つ能力はプライベートセルラーネットワークの展開を成功させるうえで今後も極めて重要であると考えられます」
具体的にはIBM、カサ・システムズ(Casa Systems)、エニア(Enea)が最近結んだ提携について触れている。加入者データ管理やセキュリティ、相互運用性、マルチアクセス5Gを統合、プライベート5G環境での低遅延を必要とするユースケースを支えるという。
また、同調査報告では現在のマクロ経済環境が採用に影響しているとして、「企業がプライベートセルラーネットワークの導入を決める際に主な動機となるのは経済的な関心であることを通信業界は理解していなくてはなりません」と述べている。
「重要なのは、単に高額な初期投資をやめてサービスベースの製品に移行するということよりも、はるか先へと進む必要があるということです」。Gergs氏は述べている。
Dan Meyer is Executive Editor at SDxCentral, with a focus on telecom, 5G, radio access networks (RAN), and edge networking. Dan has been covering the telecommunications space for more than 20 years. Prior to SDxCentral, Dan was Editor-In-Chief at RCR Wireless News. You can contact Dan directly at: dmeyer@sdxcentral.com, on Twitter at: @meyer_dan, or on LinkedIn at: dmeyertime.
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