シスコの「Silicon One」がエンタープライズ環境に対応
シスコは3日、エンタープライズルーティングプラットフォームのCatalyst 9500X・9600Xを発表、Silicon Oneポートフォリオを拡大する取り組みで1つの節目を迎えた。どちらのルータも12.8 Tbpsのシスコ製Q200シリコンチップをベースにしているが、それよりもさらに重要なのが、Silicon One製品ファミリーで初めてエンタープライズ製品が利用可能になったことだという。シスコフェローのRakesh Chopra氏が語った。
2019年後半に最初のSilicon One製品が発表されて以来、同製品ラインはWebスケールITやサービス事業者向けのルーティング製品・スイッチング製品に限定されていた。3日の発表によると、シスコはQ200をエンタープライズネットワークのコアでの利用やエッジのユースケース向けに再調整したという。
「これによって、Silicon Oneは単一の共通アーキテクチャで一気に3つの大きな市場をカバーすることになりました。エンタープライズ市場、サービスプロバイダ市場、Webスケール市場の3つです」。Chopra氏は言う。
Q200をエンタープライズに適用
Chopra氏によると、Q200をエンタープライズ環境に適合させることは従来のASICでは不可能だったという。完全にP4プログラム可能な基盤と新しいネットワーク処理アーキテクチャのおかげでエンタープライズルータに対する多様な要求に対応できるようにリプログラミングすることが可能になったと語った。
エンタープライズ企業は異なるセキュリティポリシーを持つ多数のクライアントによる同時接続を支え、変換要件に対応する必要があると氏は言う。「サービスプロバイダやWebスケール企業に属している人であれば、こうしたことを考える必要はありません」
Q200がプログラム可能であることから、「当初サービスプロバイダのコアに展開していた機器について、P4コードを書き替えればとたんにエンタープライズ環境に展開可能になるのです」とChopra氏は言う。
また、Q200はエンタープライズ分野に持ってくると市場で最も強力なシングルルーティングチップの1つになるという。「12.8 Tbpsのルーティングチップは市場に存在しません。次点は7.2 Tbpsで、それ以外の製品は大幅に低い数値となっています」
共通アーキテクチャ
氏によると、Silicon Oneの各製品は共通のアーキテクチャを持っているが、すべてのユースケースに同じチップを無理やり適用しているわけではないという。
「当社がSilicon Oneについて語るときは、共通アーキテクチャについての話をしているのです。1つのデバイスを指しているわけではないし、ある特定の実装という意味ですらありません」と氏は言う。「アーキテクチャです。私たちはこの言葉を、デバイスの中の個々のブロックがどのように組み合わされるかを表す言葉として使っています」
実際、Silicon Oneポートフォリオには11種類と多岐に渡るルーティングチップ・スイッチングチップがあり、3.2 TbpsのQ202/Q202L から最上位製品では19.2 TbpsのP100や25.6 TbpsのG100が存在する。
ジュニパーネットワークスがシスコに挑戦
今回の発表の少し前、ジュニパーネットワークスがルーティングチップ「Express 5」を刷新している。
Express 5はQ200やCatalystシリーズの新ルータと直接競合はしないが、Silicon Oneのルーティング製品スタックの最上位に当たる「P100」に挑んだものだ。この新チップは最大スループット28.8 Tbpsを実現しており、シスコの「P100」は19.2 Tbpsとなっている。
とはいえ米調査会社Dell’Oro Groupのアナリスト、Shin Umeda氏が以前の取材で指摘したように、ルーティングASICの比較は精密科学のようにはいかない。
「ベンダーによってASICやルータの開発・リリースサイクルが異なるため、任意の時点でASICを比較するのは難しいのです」。氏は説明している。「また、ASICに関する発表内容と実際のルータ製品への実装が常に一致するとも限りません」
Tobias Mann is an editor at SDxCentral covering the SD-WAN, SASE, and semiconductor industries. He can be reached at tmann@sdxcentral.com
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