クラウド
文:Emma Chervek

クラウドデータベースの米スタートアップ=Oracle、Snowflake、AWSに対抗

クラウドデータベースの米スタートアップ=Oracle、Snowflake、AWSに対抗

PostgreSQLをベースとしたクラウドデータベースを提供する米スタートアップのTembo(テンボ)が15日、ひっそりと活動していたところから姿を現した(訳注:650万ドルのシード資金調達を発表)。データベースの無秩序な拡大を解消するとともに、テック大手各社が提供する、名ばかりのオープンソースとなっているPostgreSQLサービスに挑戦する――Oracle、Snowflake、Amazon Web Services(AWS)などがその例だ。

創設者でCEOのRy Walker(ライ・ウォーカー)氏はSDxCentralの取材に対し、「DBMS(データベース管理システム)を提供する大手企業――「特にOracleです」――は、「用途ごとの要件に最も特化したデータベースを使用する」という開発者の傾向に乗じて利益を上げてきた」と語った。特化型のデータベース管理ツールを万全に取り揃え、「開発者を自社のプラットフォームにロックインします。それから囲い込んだ顧客に他の特化型データベース管理ツールを販売するのです」

多様なツールがあることは、データベースが無秩序に拡大する原因にもなっている。結果として、データエンジニアやデータサイエンティストの仕事も不必要に複雑になる。かといって、ほとんどの企業・団体は複数のデータベースシステムの専門家を雇うこともできない。Walker氏がTemboを設立したのは、「開発者が単一のプラットフォームで用途に最適化したデータベースを(もっと簡単に)構築できる」、もっと良い選択肢を提供するためだという。

CTOのSamay Sharma(サメイ・シャルマ)氏がSDxCentralに語ったところによると、プロプライエタリなデータベースベンダーもほとんどがPostgreSQL(自社版)などのオープンソースをうたったDBMSを提供しているものの、そうしたシステムは「完全なオープンソースではない」のだという。たとえば利用できるPostgreSQL拡張機能に制約があるとか、各プラットフォームに固有の独自性があることで、ベンダー間のデータ移行は難しくなっている。

「当社では開発者に対し、PostgreSQLのオープンソース版と、PostgreSQLのオープンソースエコシステムに対する完全なアクセス権を提供します」とSharma氏。「拡張機能や、その他のPostgreSQL関連のエコシステムツールがすべて利用可能です」。その後は、「自社で管理するPostgreSQLや、他社が提供するPostgreSQLに移行することも簡単です。当社のソリューションの構成要素はすべてオープンソースだからです」と語った。

Temboでは、Kubernetes Operatorやデータプレーンについてもオープンソース化している。「各々のニーズに合わせて自由にお使いいただけます」とSharma氏は述べている。

 

タスクに適したツール

Walker氏は最近、ある非営利団体と話をした。Snowflakeのマネージドデータベースに代わる手頃な価格のサービスを探しているという。「その団体のニーズからすると、Snowflakeはあまりにも高価になってしまいました」と氏。「団体幹部は純粋なPostgreSQLへの移行に関心を持ちつつも、エンジニアチームが持っていない深い専門知識が必要になるのではないかと懸念もしていました」

この団体ではSnowflakeからPostgreSQLに移行すればコスト削減が可能だ。Temboを利用すれば、PostgreSQLに関する広範な専門知識がなくても、ユースケースに最適なデータベースを構築することができる。

「こういった話はよく耳にします」と氏。「開発者やソフトウェア企業は、テック大手のDBMSにはつきものの、コストや複雑さ、プラットフォームへのロックインにうんざりしているのです」

 

データベースファーストのAIアプリ開発を主張

Temboの立ち上げは、データベースファーストの開発を後押しするものだ。また、アプリケーションファーストの――データベースについては後から考えるような――開発からの脱却でもある。

開発者はデータベースをアプリケーションのサイドカーのように考えるのではなく、まずアプリケーションの現在および将来のニーズに適したデータベースを選ぶ必要がある。PostgreSQLであれば、アプリケーションのニーズが発展したとしても、他のデータベースに丸ごと移行するのではなく、拡張機能を使ったデータベース変更が可能だ。「そういう意味では、PostgreSQLを使えば開発者の時間と労力の大幅な節約になります。新しいアプリケーションのニーズに対応するためにパフォーマンスや機能を犠牲にすることもありません」とSharma氏は言う。

PostgreSQLのような「なんでもデータベース」は非常に汎用性が高い。AIワークロードが増え続ける中で、これは重要な特性だ。AIアプリではデータの効率的な処理・分析が中核になるが、開発者が特化型のデータベースにロックインされていれば、迅速にイテレーションを回すことはできない。「最適化やデプロイ、移行が困難になるでしょう」と氏。「さまざまな異種のデータソースを利用できることは、AIにコンテキストを提供するうえで非常に重要です。そうした異なるデータソースをPostgreSQLのような単一のデータベースで結合できれば大きな力を発揮しますし、コストや複雑さ、最適化に関する問題も取り除けます。データ集約型のAIアプリを構築、デプロイ、管理する上で、そうした課題は大きな足かせとなっていました」

Sharma氏によると、Temboはスワヒリ語で象(Postgresプロジェクトのマスコット)を意味する社名だという。Venrock、Fireroad、CincyTech、Wireframe Ventures(いずれも米)から受け取ったシード資金650万ドルは、「あらゆる開発者がPostgreSQLとそのエコシステムの本来の力をすべて解放できるように」するために使う計画だと語った。

Cloud database startup takes on Oracle, Snowflake, AWS

Emma Chervek
Emma Chervek Reporter

SDxCentral のレポーター。
データセンターのテクノロジーとビジネス ケース、環境の持続可能性、クラウドネイティブ エコシステムを担当。
エマは愛犬コビーとデンバーに住み、世界一の散歩を一緒に楽しんでいる。
連絡先:echervek@sdxcentral.com
X:@emmachervek

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