エリクソン、2022年後半のミッドバンドvRAN対応を予告
スウェーデンのRANベンダー、エリクソンの仮想化RAN(vRAN)アーキテクチャ向けソリューションである「Ericsson Cloud RAN」が、2022年後半にミッドバンドに対応する。また、ミッドバンドでの展開に不可欠なMassive MIMO(マッシブマイモ)アンテナアレイのサポートも追加される予定だ。
エリクソンのネットワーク製品部門の総責任者であるPer Narvinger氏は、SDxCentralのインタビューに対し、Cloud RANはローバンドネットワークをサポートした上で年内の商用化を目指しており、vRANについては来年から本格的に取りかかる予定だと語った。
エリクソンは、2020年後半に初めてCloud RANのフレームワークと目標を明らかにした。しかし、オープンRANを無線事業の将来像とまで呼んでいる最大の競合、ノキアとは異なり、エリクソンのアプローチは穏やかなものだ。エリクソンがオープンインターフェースでハードウェアとソフトウェアをディスアグリゲーションしたいと考えている限界は、vRANまでにとどまる。
Cloud RANが具体的に対象としているのは、RANの仮想化コンピュートコンポーネントであり、ベースバンドを仮想化によってCU(集中型ユニット)とDU(分散型ユニット)に分割するフレームワークだ。Cloud RANは初期段階ではインテル製アクセラレータに頼るものの、エリクソンは現在、ヒューレット・パッカード エンタープライズ(HPE)と共同で、HPE製サーバ上で動作するエッジコンピュートワークロードをサポートしようと取り組んでいる。
エリクソンは今後、さらなるベンダーやパブリッククラウドをサポートしていくだろうと考えているが、今のところそうした趣旨の発表はしていない。Narvinger氏によると、エリクソンはvRANがミリ波帯で役割を担うとも予測しているが、それにはコンピュートリソース上で行われるベースバンド処理の高速化が必要になるという。
エリクソン、コンピュートレイヤーを中心としたvRANへの取り組みを計画
エリクソンは、その活動を無線機に対しては行わずコンピュート部分に限定しているからこそ、ハイバンドでvRANが果たす役割をより有望視しているのかも知れない。数年前にはvRANでハードウェアアクセラレータを使うことに対して疑問が持たれていたものの、その懸念は解決済みであることが証明されていると話している。
「多くのお客様がすでに5Gを展開しています。私たちは、彼らが現在ある当社の既存の専用ハードウェアを使って、最大速度で展開を続けることができると確信しています」とNarvinger氏は言う。また、vRANコンピュートのパフォーマンス特性は、サーバにどれだけの電力を送り込めるかに大きく依存するとも付け加えた。
「現在、専用ハードウェアに近いと判断できる段階に来ています。まだ差は残るでしょうが、その差は、お客様が抱えなければならないと私たちが予期していたほどのものではありません」
エリクソンは合わせて「Cloud Link」ソフトウェアも発表している。vRANや従来のRANフレームワークを、ダイナミック周波数共用やキャリアアグリゲーションなどによって他のリソースと接続できるようにするものだ。
「Cloud Linkは、展開済みの当社の既存のコンピュートソリューション、ベースバンド装置だけでなく、当社のすべての無線機にリンクすることができます」と氏は説明する。エリクソンは、従来のRANと並行して追加されるvRANネットワークに言及して、グリーンフィールドとブラウンフィールドの中間という意味で「ブルーフィールド展開」と呼んでいる。
米調査会社Mobile ExpertsのチーフアナリストであるJoe Madden氏は、あるステートメントで次のように述べている。「エリクソンが行っているのは、単に既存の無線アクセスの上に新しい技術を積み重ねる以上のことです。Cloud RANのミッドバンドと市場に展開されている700万台のEricsson Radio System無線機を組み合わせることで、パフォーマンス向上に関して革新的な可能性を提起しているのです」
「vRANと事前統合された無線機を協調して使用することで、世代間の最適化と相互運用性を実現し、通信事業者のライフタイムコスト全体を削減できるはずです」と補足している。
https://www.sdxcentral.com/articles/news/ericsson-teases-late-2022-mid-band-vran-support/2021/06/
Matt Kapko, senior editor at SDxCentral, covers 5G network operators, radio access network suppliers, telco software vendors, and the cloud. He has been writing about technology since before the dawn of the iPhone, and covering media well before it was social. Matt can be reached at mkapko@sdxcentral.com or @mattkapko.
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