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文:Julia King

米ガートナーが語る、デジタル変革推進の鍵=CIO向け

米ガートナーが語る、デジタル変革推進の鍵=CIO向け

職場というものが変容し、ビジネスモデル、運用モデル、ITのデリバリーモデルが変わっていく中で、世のCIO(最高情報責任者)たちはデジタルリーダーとしての自らの役割について再考する必要に迫られているようだ。デジタルリーダーが「認知の罠」にはまってしまうと革新的なアイデアを十分に展開できなくなる可能性があるという――米調査会社ガートナーの主席アナリスト、アポルバ・チャブラ(Apoorva Chhabra)氏が語った。

「Quick Win(短期的な小さな成果)を出すためのタスクを矢継ぎ早にこなして『チェックボックスにチェックを入れる』ことだけに集中すれば、達成感を味わうことはできるかもしれません」と氏。「しかし、そのようなサイロ化したプロジェクトが革新的な改善につながることはめったにありません」

CIOはもはや、あらゆるIT技術をただ機能として実行・所有・運用することにのみ責任を負うというマインドセットでは、この先も成長していくことはできないという。また、氏は『指揮統制型の管理スタイル』に頼ると自主性を制限し効率性を損なう結果になると指摘した。

ガートナーは多くのCIOが直面する課題を解決する方法として、デジタル変革を主導・実行していくために取り入れるべき5つの重要な特性を挙げている。

CIOは新しもの好きであるべき

1つ目に、CIOは「新しもの好き」の性質を取り入れるべきだという。ガートナーによると、有能なデジタルCIOたちは「自社にあるものは何か」ではなく「何を達成したいか」と問う傾向にあるという。現在の想定にとらわれずイノベーションを追求するためだ。

また、成功しているCIOは「新しい機会を発展させる」 能力も備えている。

実際のところ、必ずしも常にデジタルリーダーが発明やイノベーションをするわけではない。「成功しているデジタルリーダーというのは、自社がどの部分では他社とは異なるべきか、他から模倣できるのはどこか、間に合わせで済ますべきなのはどこかを正確にわかっているものです」

また、ガートナーはCIOに対し業界の外に目を向けて「新たな機会を開拓する」ことも勧めている。ガートナーでは「特定の業界の枠にとらわれずに積極的に価値を追求し、あらゆる業界における価値を再定義することでまったく新しい業界を生み出す」ことのできるリーダーを「デジタル・ドラゴン」と呼んでいる。同社によると、戦略やデジタル導入計画が市場を破壊するような考え方のみに基づいて作られることも多いという。

CIOはデジタル化を成果だと考えるのではなく、「新たな価値創造の機会を追求」するべきだ――つまり、「デジタル化は目的ではなく手段であり」、間違った方法で行えば必ずしも価値を高めることにはならないと理解している必要がある。ガートナーがデジタルリーダーに推奨しているのは、デジタルツールを実装する前に製品やサービスのバリュープロポジション(価値提案)の背後にあるロジックについて熟慮し、デジタル製品によってどのように顧客中心主義や市場シェアの拡大、売上増といったビジネス成果を促進できるかを問うことだ。

CIOはギークであるべき

また、CIOは「技術がもたらす機会に集中する」「技術についてギーク(geek)である」べきだという。成功しているデジタルリーダーは手元にある技術の全体を理解しているものだ。ガートナーは「技術によって何ができるのか、何ができないのかを理解していなければ、技術から価値を引き出すことは難しい」と補足している。

チャブラ氏の説明によると、先進的な企業ではCIOがこうした特性を活かし、「戦略上の自身の役割を技術面での取り組みを最大限サポートすることにまで拡大している」という。

目標達成のためにはCIOの役割を拡大し、「自社が行うすべてのことに織り込む必要がある」と氏。CIOの役割の範囲は自社のデジタル化への意欲、現在のデジタル化と技術利用の成熟度、社内全体のデジタルへの適応力などの要素によって「大きく変わってくる」という。

しかし、組織の規模に関わらず、CIOは高度に機能的なチームを作り、財務リソースの価値を最大化することで自社を成功に導くことができると氏は言う。

「重要なのは、単に定期的な業務として最適化を行うのではなく、秩序立てて行うことです」と補足している。「CIOは限られた予算の中で仕事をしなければなりませんが、戦術・戦略を機敏に実行できるという基本的な強みを活用することは可能です」

また、他のリーダーたちと関係を築くことでデジタル技術の導入に関する視野を広げ、流行や問題点を把握することもできる。

「業界のビジョンや各社の成長目標を達成するために、特定の技術に依存しないビジネス機能を共同開発、共有する機会もあるかもしれません」。氏は説明している。

 

https://www.sdxcentral.com/articles/interview/gartner-gives-cios-the-key-to-drive-digital-transformation/2022/09/

Julia King
Julia King Editorial Assistant

Julia King is an Editorial Assistant at SDxCentral covering secure access service edge (SASE) and secure service edge (SSE). She also writes the monthly Money Moves and Headcount articles. She graduated from the University of Colorado at Boulder with a degree in Journalism and Spanish. Julia can be reached at jking@sdxcentral.com

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Julia King is an Editorial Assistant at SDxCentral covering secure access service edge (SASE) and secure service edge (SSE). She also writes the monthly Money Moves and Headcount articles. She graduated from the University of Colorado at Boulder with a degree in Journalism and Spanish. Julia can be reached at jking@sdxcentral.com

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