人工知能(AI)
文:Dan Meyer

デジタル変革計画が失敗する理由

デジタル変革計画が失敗する理由

デジタル変革は、新しいテクノロジーを活用して業務を効率化したいと考える組織が長年取り組んでいる目標だ。しかし、そのプロセスはしばしば障害にぶつかり、具体的な取り組みが頓挫したり、最悪の場合、組織全体の事業継続が脇に追いやられたりしてきた。

デジタル変革の取り組みにおける最大の課題の1つは、新しいビジネスチャンスを活用するための人材育成だ。これは、通信事業者やネットワーク企業など、デジタルの未来に向けて突進している従来型の組織に多く見られる。

この課題に拍車をかけているのが、パンデミックに関連した雇用ニーズのダイナミックな変動や、従業員の士気にさらに影響を与えている生成AIのような新しい人工知能(AI)プラットフォームへの注目の高まりにまつわる問題だ。

米調査会社Gartnerが先月発表したレポートによると、「仕事に熱中し、熱意を持ち、活力を感じている」と答えた従業員はわずか31%だった。

「企業は従業員のエンゲージメントに投資を行っているにもかかわらず、我々の調査によると、ほぼ70%が従業員に本来あるべきエンゲージメントを感じておらず、自分の仕事に有意義なつながりを感じていないのです」とGartnerのリサーチ&アドバイザリー部門のシニア・プリンシパルであるKeyia Burton(キーア・バートン)氏は述べた。「従業員エンゲージメントは、いくつかの重要なビジネス成果に大きな影響を与えるため、それに実際に影響を与える方法を見つけ出すことは、非常に重要な優先事項です」

 

戦略的な人材活用

米人材支援会社のランスタッドデジタル(Randstad Digital)は、このような取り組みを進める企業を支援しようとしている企業の1つである。同社は、世界最大級の人材派遣会社であるランスタッド(Randstad)の分社であり、デジタル部門は人材・戦略サービスを提供するリーダーとして名前が挙がる。

Randstad DigitalのCEOであるVenu Lambu(ヴェヌ・ランブー)氏は、企業等の組織がデジタル変革の目標に向かって進む中で、現在直面している 3 つの重要な課題を示した。

Lambu氏は、多くの組織が「プロセスを効率化する」ことでデジタル変革計画の第1段階を実施したが、現在はデジタル技術を活用してビジネスモデルを進化させることが課題になっていると説明した。これには、人材に対する戦略的意図を持つことも含まれる。

「デジタル変革という大仕事をするとき、本質的に企業内に2つの世界、私が言うところの古い世界と新しい世界を作ることはしたくないはずです」と氏は述べた。「そのためには、既存のチームをどのように巻き込むかが重要なのです。つまり、さまざまなテクノロジー・ドメインに基づく次世代人材を統合する一方で、人材育成のために現在必要な投資と、既存チームのアップスキリングプログラムに必要な投資を行う必要があるのです」

この課題は、組織内で氏が「ビジネススポンサーシップ」と呼ぶものが欠如することによってさらに悪化する。これは、実際のビジネスの成功と結びついたデジタル変革の目標を持つことを意味する。

「最近のデジタル変革のほとんどは、ビジネスが所有するか、主導するか、実現するものです」と氏は述べた。「ビジネスの成功を定義するためのKPIを更に明確に定義することが非常に重要で、そうでなければ、技術的なプロジェクトやテクノロジー中心のプロジェクトが長引くだけになりかねません」

 

AIがデジタル変革に与える影響

これら最初の2つの問題は以前から存在する一方、生成AIをめぐる最近の大騒動は、デジタル変革というチームの課題に大きく拍車をかけている。

AIはデジタル変革の目標達成にとって大きなメリットがあるとLambu氏は見ているが、世の中の組織は依然として、その機会を活発なビジネス環境の中でどのように位置づけるかに苦慮しているという。鍵となるのは、組織にとってAIをより大きなメリットとして位置づけ、新しいユースケースの構築に向けてより幅広いチームの参加を得ることだと語った。

「AIを仕事への脅威、誰かの非効率への脅威、あるいは将来のキャリアアップへの脅威として位置づけると、複数のユースケースの影響を何倍にも高めて大規模にAIを構築する総合的な能力が得られません。その代わりにフラストレーションが生じるのです」と氏は言う。「新しいテクノロジーが企業に入ってくるとき、変化をどう扱うかは非常に重要です」

このAI関連の課題は、コンサルティング会社 Information Services Group (ISG) の最近のレポートで取り上げられた。生成AIの使用増加により、人材獲得の力が雇用主に戻ってきたと指摘している。

「2023年は、”AIによる惨憺たる未来”への懸念が広まった年でした」と、ISG North Europeのパートナー兼デジタル・リードであるOla Chowning(オラ・チョーニング)氏がレポートに書いている。「生成AIが潜在的に持っている意味合い、DevOpsスキル市場の成熟度の高まり、スペイン、ポルトガル、メキシコ、ベトナムといった新しい地域からコスト効率の高いデジタル人材を調達しようとする雇用者の意欲が、すでに神経質になっている人材市場にさらなる負担をかけています」

例えば米通信大手AT&Tは、顧客サービスチームが加入者をより良くサポートするために生成AIを活用していることをアピールしている。これには、「Ask AT&T」ツールの開発が含まれる。このツールは、顧客サービスチームがバックオフィスシステムと自然言語を使って対話し、より迅速に顧客を支援することを可能にする。

しかし、AT&Tの最高データ責任者(CDO)であるAndy Markus(アンディ・マーカス)氏は「この黎明期の技術が成熟していくのに合わせて、我々は柔軟性を保っていきます」と付け加えた。

Lambu氏は、AIが避けられない誇大宣伝のサイクルを乗り越えていくあいだ、短期的にはこの柔軟性が重要になると述べた。これは、組織内で実際のAI活用の目的とニーズを定義する際に特に重要だ。

「地面に降り立ち、靴底が路面に当たり、スコープの定義を始めるとき、それが難しい質問に答える必要がある時です」と氏は言う。

幸運なことに、これらの疑問の一部は、過去の自動化システムの統合から学ぶことによって、解決できる。氏は、これらのシステムの多くは、当初、ワークフローへの影響だけでなく、それらのシステムがどの程度まで使用できるのか、使用すべきなのかに関して、同様の難しい問題を抱えていたと指摘した。

「オートメーションが初期のころ、ポジティブな方向に進み、ポジティブな語られ方をするようになり、多くの企業が大きな恩恵を得るまでには時間がかかりました」と氏は述べている。「私は、顧客を中心に置きながらAIのユースケースを構築でき、その顧客を中心にユースケースを構築できるものであれば、企業内で大きな包括性が得られると信じています。金融機関向けのユースケースを構築する場合でも、販売会社、流通、さらには工場の製造・作業現場でのユースケースでも変わりはありません。それが顧客、つまり自社の製品やサービスを購入する最終顧客にとって何を意味するのかを説明できれば、受け入れられると考えています」

Why your digital transformation plans are failing

Dan Meyer
Dan Meyer Executive Editor

電気通信、5G、無線アクセスネットワーク(RAN)、エッジネットワーキングを専門とし、電気通信分野を20年以上担当している。SDxCentral入社以前は、RCR Wireless Newsの編集長を務めていた。
連絡先:dmeyer@sdxcentral.com
Twitter:@meyer_dan
LinkedIn:dmeyertime

Dan Meyer
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