Google、「Cross-Cloud Network」でマルチクラウド接続に取り組む

マルチクラウド機能に対する需要が高まり続けるなか、複数のクラウドプロバイダー間でのネットワーキングを容易にする必要性も生じている。
Googleは、8月末Google Cloud Next ’23イベントで発表した「Cross-Cloud Network」で、この状況を解決しようとしている。Googleによると、「Cross-Cloud Network」は、マルチクラウドやハイブリッド環境での接続性とセキュリティを簡素化することを目的としている。
同プラットフォームは、Google独自のネットワーキング製品とパートナー企業の製品を組み合わせ、分散型アプリケーションの構築、インターネットからアクセス可能なアプリケーションの提供、ハイブリッドワーカーのセキュリティ確保といった一般的なユースケースに対応する。
主な機能には、Google Cloud と、Amazon Web Services (AWS)やMicrosoft Azure などの主要なパブリッククラウド間のマネージド相互接続が含まれる。パロアルトネットワークスなどのパートナー製品との統合により、高度なセキュリティが実現される。
Google Cloud Next ’23 でのプレゼンテーション中の、Google のクラウド ネットワーキング担当バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーである Muninder Sambi氏。
「Cross-Cloud Networkにより、物理的なインフラストラクチャに投資してライフサイクルを管理することなく、実際に AWS、Azure などを Google Cloud に直接接続でき、オンデマンドの Any-to-Any 接続を提供できるようになります」。Google のクラウドネットワーキング担当バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー、Muninder Sambi(ミュンダー・サンビ)氏は Next ’23 のセッションで述べた。
Cross-Cloud NetworkがGoogleのマルチクラウド・サービスを拡張
Cross-Cloud Network構想には、 Google が 5 月に初めて公開したサービス「Cross-Cloud Interconnect」が含まれている。Next ’23 では、Google はさらに詳しい情報と実際の顧客の使用例を提供した。
新しいCross-Cloud Networkの基本的な考え方は、「Interconnect」が基礎要素として機能化され、マルチクラウド機能を実現する包括的なサービス・機能群を提供する。
Cross-Cloud Interconnectは、Googleが保証するSLA(サービス品質保証)を備えたマネージド・インターネット・サービスですと氏は説明した。同サービスは、38のリージョン、187のネットワークエッジ、数十億ドルの海底ケーブル投資など、今日のGoogleの全サービスを支えるGoogleの「地球規模の」ネットワークの恩恵を受けている、と氏は述べた。
Googleは、Cross-Cloud Networkを、特にセキュリティに関してパートナー企業のサービスと接続できるオープンエコシステムにすることも意図している。
「Cross-Cloud Networkは、一貫したセキュリティを提供し、TCO (総所有コスト) を削減するのに役立つオープンプラットフォームです」と氏は述べている。「これは、お客様が協業しているあらゆるベンダーやエコシステムパートナーの製品を導入、連携できる、オープンプラットフォームです。この取り組みの一環として、既存のインフラストラクチャや既存のセキュリティベンダーによる製品を撤去して置き換えるようお願いしているわけではありません」
ユースケース:ウォルマートはGoogle Cross-Cloud Networkをどのように利用しているか
GoogleのCross-Cloud Networkをいち早く採用した企業に、小売大手のウォルマートがある。
Sambi氏とのセッションの中で、ウォルマートのクラウド担当シニア・ディレクター・ソフトウェア・エンジニアリングのGerald Bothello(ジェラルド・ボテロ)氏は、小売業者のマルチクラウドの使用事例について詳しく説明した。Bothello氏によると、ウォルマートは複数の地域にまたがる3つのクラウド・サービス・プロバイダーを利用している。
ウォルマートのマルチクラウド環境の目標は、社内ユーザーが適切な場所にワークロードを配置して、アプリケーションパフォーマンス確保のために遅延を可能な限り低く抑えられるようにすることだ。
「パブリッククラウドプロバイダーからGoogleに直接移行したかったので、これによりレイテンシを短縮することができました」と Bothello氏は述べている。「99.99% という確かな信頼性が得られ、コストも削減されています」
ウォルマートは、より優れたクロスクラウド接続を可能にするだけでなく、Google Cross-Cloud Networkをデータストレージや人工知能(AI)のワークロードの把握にも利用するつもりですと氏が述べた。
「皆さんがさらに多くのサービスをリリースすれば、私たちはそれを推進し続けるつもりです」と氏は言った。
Google tackles multicloud connectivity with Cross-Cloud Network


JOIN NEWSME ニュースレター購読
月に1回、newsMEのトピックスをメールで配信しています!
登録解除も簡単です。ぜひお気軽にご購読ください
KCMEの革新的な技術情報を随時発信
5G・IoT・クラウド・セキュリティ・AIなどの注目領域のコンテンツをお届けします。
KCME注目の技術領域に関するテックブログを配信しています。
KCME注目の技術領域に関するテックブログを配信しています。
RELATED ARTICLE 関連記事
-
クラウド StringerAI2025.04.25
Tencent Cloudが60の銀行の年末決算を支援
Tencent Cloudの「6T」統合ソフトウェア…
-
セキュリティ Dan Meyer2025.04.14
米Google、Wizを買収へ=提示額は320億ドル
米Google(グーグル)が3月、クラウドセキュリテ…
-
クラウド Dan Meyer2025.02.10
金融機関のクラウド利用=金の壺が見つからないのはなぜか
金融業界でクラウドを利用したデジタル変革の取り組みが…
-
IT StringerAI2025.02.10
ServiceNow、Google Cloud Marketplaceでサービスを開始、AIツールを強化
企業の生産性拡大と、従業員とお客様のエクスペリエンス…
HOT TAG 注目タグ
RANKING 閲覧ランキング
-
ネットワーク Sean Michael Kerner
2024年における10のネットワーキング技術予測
-
IT Dan Meyer
BroadcomによるVMware製品の価格/ライセンスの変更がどうなったか
-
スイッチング技術 Tobias Mann
コパッケージドオプティクスの実用化は何年も先=専門家談
-
セキュリティ Nancy Liu
SASE市場が急成長=第1四半期、首位はZscaler
-
IT Dan Meyer
BroadcomがVMwareパートナープログラムの詳細を発表
-
IT Dan Meyer
どうなるHPEのジュニパー買収=Juniper Mistの分離・売却はあるのか
-
ネットワーク Dan Meyer
GSMAの共通API構想「Open Gateway」=次の展開へ
-
セキュリティ Tobias Mann
米CitrixはMcAfee社、FireEye社と同じ運命を辿るのか=買収合併の後に
-
クラウド Dan Meyer
クラウド市場の成長=Azure、GCPの伸びがAWSを上回る
-
IT Dan Meyer
米Nutanixの2Q決算=米VMwareから700社近くの顧客を奪う