NEC、米Qualcommと提携=オープンRANを相互に推進
NECはこれまで日本国内で築いてきた足跡をさらに拡大すべく、多くの提携を結んでいる。複数の通信事業者、コンソーシアム、ハイパースケーラー、チップメーカーと契約を結び、5Gインフラ分野での事業拡大を目指す。
最も新しい提携先である半導体大手の米QualcommとNECは、5Gオープン仮想化DUの開発に共同で取り組む。両社が4日、発表した。このDUはQualcomm社の5G RANアクセラレータカード「Qualcomm 5G DU X100」を搭載し、今年設立されたNTTドコモ率いる「5GオープンRANエコシステム」の下で開発される。同イニシアチブはオープンRANアーキテクチャの発展を促進することを目的としている。
オープンRANベンダーとなることを目指す両社は、今回の提携により、オープンRANの普及が今後数年のうちに進んだ場合のRAN市場でのシェア拡大を一致して目指すことになる。
Qualcomm社、2022年を目途にRAN分野への再参入へ
Qualcomm社は昨年、オープンRANチップセット事業に参入すると宣言した。シリコン、システムオンチップ(SoC)ベースの製品、リファレンスアーキテクチャを含むポートフォリオを2022年前半に発表するという。同社のターゲットはミリ波帯・サブ6帯のインフラだ。
同社がRAN市場に復帰しオープンRANに取り組むことについては、ドイツテレコムやNTTドコモ、Vodafone社など複数のグローバル通信事業者が称賛している。また、Qualcomm社は以前、ベンダー各社がQualcomm製チップを使って仮想化5G RAN機器やオープンRAN機器を開発するための技術ブループリントを年末までに公開すると述べている。
このプロジェクトにはVodafone社が当初から参加しており、他の通信事業者やベンダー各社も参加することが予想されている。これによってQualcomm社の5GオープンRANチップは場合によってはインテルのFlexRANリファレンスアーキテクチャに代わる選択肢となる可能性がある。
NTTドコモによるアジア太平洋地域を中心としたアライアンスも同様の方向に進んでいる。NTTドコモのEVP兼CTO、谷直樹氏は以前、Qualcomm社の「リアルタイム処理に不可欠なDUベースバンドハードウェアアクセラレータ」をNTTドコモは特に心待ちにしていると述べている。
NEC、一流の提携先を獲得
NECの活動の大部分は今も日本国内にとどまっているが、同社は無数の提携を結んでおり、5Gやハイブリッドクラウドの展開が加速していく中でベンダー兼ITサービスプロバイダとしての役割を拡大していく可能性がある。
同社は最近Amazon Web Services(AWS)社との提携を拡大した。5Gや政府系サービス、ハイブリッドクラウドによる利益を狙う。2018年には5GモバイルインフラとITサービスの開発でサムスン電子と提携している。
楽天モバイルは2019年、完全に仮想化したソフトウェア定義のモバイルネットワークを開発するに当たってNECを協力企業に選び、後に同社を5Gスタンドアロンコアネットワーク機器のサプライヤにも選んでいる。また、NECでは最近、Red Hat社のKubernetesベースのプラットフォーム「OpenShift」を5G RAN機器・ソフトウェアとモバイルエッジコンピューティングに統合する計画があり、自社の5Gコアネットワーク製品によって同プラットフォームの認定を取得する最終段階に近づいている。
シスコも今年、インテグレータとしてのNECとの長年にわたるパートナーシップを拡大し、5G IPトランスポートネットワーク機器の展開を含めている。
この分野でのNECの提携先は多数あるが、最も新しいのがQualcomm社だ。
「オープンな仮想化RANによって大きなチャンスがもたらされるなか、Qualcommはより革新的で競争力のあるセルラーインフラストラクチャの推進に取り組んでおります。包括的なQualcomm 5 G RANプラットフォームを提供することで、通信事業者様や各業界のお客様が5Gネットワークのカバレッジと容量を最も必要としている場所へ効率的に展開することを可能にします」。Qualcomm社でSVP兼5G・モバイルブロードバンド・インフラ担当GMを務めるDurga Malladi氏はステートメントで述べている。
Matt Kapko, senior editor at SDxCentral, covers 5G network operators, radio access network suppliers, telco software vendors, and the cloud. He has been writing about technology since before the dawn of the iPhone, and covering media well before it was social. Matt can be reached at mkapko@sdxcentral.com or @mattkapko.
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