OPEN-RAN
文:Matt Kapko

オープンRAN、新しい団体が(また)出現

オープンRAN、新しい団体が(また)出現

オープンRAN技術を推進するコミュニティの数は、大規模な展開の数よりも速いペースで増えている。今月にはNTTドコモがオープンRAN開発を推進する新グループを設立した。

同社の「5GオープンRANエコシステム」の取り組みには、O-RANアライアンス、TIP(Telecom Infra Project)、Open RAN Policy Coalition、ONF(Open Network Foundation)のSD-RANプロジェクトなど、他のオープンRANコミュニティに参加しているのと同じベンダーが多数参加している。また、数週間前には欧州の4大多国籍通信事業者が「将来のモバイルネットワークのための技術」であるとしてオープンRANを支援するべく連携している。

こうしたグループは互いに異なる部分よりも重複する部分の方が多いが、中には他のものより正式なコミュニティもある。オープンRANコミュニティの急増は、ベンダーにとって比較的新しい技術に関する様々な関心に結束して応えていくことがいかに難しいかを示している。

オープンRANへの動機はさまざまなものが多数あり、互いに相容れない。こうしたグループは主導者の目的に資する方向に同技術を推し進めているものがほとんどだ。

 

NTTドコモ、統合に関する課題を指摘

NTTドコモはこの取り組みについての詳細をほとんど明かさなかったが、複数のベンダー間で一定レベルのパフォーマンスを達成する必要があることと、相互運用性とテストに関する現在の課題を指摘した。

新興技術のほとんどがそうであるように、同技術じたいの発展と同じくらい業界リーダーたちによる支持が重要だ。しかし、オープンRANの早期からの支持者のほとんどは現在の同技術そのものには十分に満足していないことは明らかだ。

英調査会社Omdiaでプラクティスリーダーを務めるDaryl Schoolar氏はSDxCentralに対し、「課題となっているのは皆が行っていることを続けていくことだけです」と語った。

O-RANアライアンスは仕様の作成に取り組んでおり、TIPのOpenRANプロジェクトは商用ユースケースの作成に集中している。ONFはnRT-LIC(ニアリアルタイムRANインテリジェントコントローラ)に焦点を当てており、通信事業者主導の様々なグループはオープンRANのサプライヤーのエコシステムを自分たちの好みに合わせて成長させるべく別行動を取っている、とSchoolar氏は説明する。

オープンRANの分野では、各団体間でも複数の提携が結ばれているが、統合・集約がなされることは、あるとしてもおそらくまだ何年も先のことだろう。

「こうした異なる人々は皆、異なる分野で活動し、異なる強みを持っています」。とはいえ、NTTドコモは小規模なプレイヤーにはできないやり方で複数のベンダーをまとめる力と影響力を持っている、とSchoolar氏は言う。通信事業者はそれぞれの市場で異なる要件に直面し、それを遵守しているが、NTTドコモは「ネットワークのパフォーマンスに関して非常に厳しい要求をする」と氏は補足している。

Schoolar氏の説明によると、12社から成るNTTドコモのオープンRANグループは欧州や北米で他のコミュニティが行っていることに対抗するアジア太平洋での取り組みと見なすことができる。また同グループは、他の市場ほど厳しくはないかもしれないが、複数のベンダーが一定レベルのパフォーマンスと相互運用性を達成するよう促しているという。

 

オープンRANには共通の課題と独自の課題がある

米調査会社Moor Insights & Strategyのシニアアナリスト、Will Townsend氏がSDxCentralに語ったところによると、市場ごとに違いはあるものの、オープンRANは世界的に同じ課題を抱えてもいるという。具体的には「統合によって複雑さが増していることと、高度に分離されたモデルに新しい製品が参加してくること」だ。

「こうしたものの多くはまだ未成熟です」とSchoolar氏。「仕様などは作成されましたが、実際に多くの展開が開始され、異なる通信事業者が異なる市場で、異なる組み合わせで大規模に展開するまでは未成熟なままだと言えるでしょう。2つのベンダーによる製品に適切に対話させるやり方を常に確信できるわけではないからです。相互運用性についてはまだ取り組んでいかなければなりません」

実際、オープンRANエコシステム全体での統合は依然として大きな課題だという。ある通信事業者が持つベンダーの組み合わせは他とは異なるかもしれず、ベンダー各社は仕様の一部について異なる解釈をするかもしれないからだ、と氏は言う。

オープンRANを目指すコミュニティの数は増えているが、Schoolar氏によるとそれは予想の範疇であり、各陣営が表立って互いに争っているわけではないので、ばらばらな取り組みが行われていることはがっかりするようなことではないという。

「ネットワークに何をさせたいかについては、誰もの見解が完全に一致しているとは思いません」と氏。「とはいえ全体として、市場は順調に進歩していっていると思います。成長にはまだ時間がかかるでしょう。一夜にして変わるとは思いません。ビジネスチャンスのほとんどはブラウンフィールドオペレータにあると思いますが、展開にはより長くかかるでしょう。既存のネットワークがデグレードしないように、双方がうまく機能するようにしなければならないからです」

Omdia社のオープンRANに関する最新の予測では、2024年までにオープンRANがRAN市場全体の10%以上を占めるとされている。

https://www.sdxcentral.com/articles/news/open-ran-sprouts-yet-another-community/2021/02/

Matt Kapko
Matt Kapko Senior Editor

Matt Kapko, senior editor at SDxCentral, covers 5G network operators, radio access network suppliers, telco software vendors, and the cloud. He has been writing about technology since before the dawn of the iPhone, and covering media well before it was social. Matt can be reached at mkapko@sdxcentral.com or @mattkapko.

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