OPEN-RAN
文:Matt Kapko

楽天、オープンRANのパフォーマンス向上は間近だと主張

楽天、オープンRANのパフォーマンス向上は間近だと主張

楽天モバイルは今月初め、同社のオープンRANインフラのネットワークパフォーマンスが安定しないという批判を否定した。

世界初のクラウドネイティブかつ完全仮想化のモバイルネットワークを展開している楽天モバイルは、ネットワークインフラの計画・開発・構築で「途方もない」課題に直面したものの、楽天のEVP兼楽天モバイルのCTOを務めるTareq Amin氏によると、パフォーマンスの遅延は同社が選択した技術や取った戦略のせいではないという。

同氏によると、周波数帯の割り当てと利用可能状況が現在同社の新しいネットワークのパフォーマンスに影響を与えている最も厄介な問題だという。

しかしこの説明は、楽天モバイルが4G LTEに使用している周波数帯に限って当てはまるものだ。

 

楽天モバイルの周波数帯問題

日本の規制当局は楽天に、以前は防衛省が保有していた1.7 GHz帯のうち20 MHzを与えた。Amin氏の説明によると、楽天は多くの大都市では同周波数帯をクリアにできたものの、割り当てられた周波数帯のうち5 MHzしか利用できていない土地がまだ国内に多くあるという。未使用の周波数帯のうちほとんどは今年中に利用可能になると氏は補足する。

5G周波数帯の保有状況についてはまた別だ。同社は5Gネットワーク用に100 MHz近くの未使用周波数帯を保有しており、5G構築計画を5年間前倒しで進めている。今夏までに基地局27,000基を展開、人口の96%をカバーするとしている。

同社がオープンRANの否定論者たちに対して今回の反論を出したのは、モバイル分析の英Opensignal社が楽天モバイルのネットワークパフォーマンスについて期待外れの調査結果を出し、それを受けて米調査会社MoffettNathansonが「楽天モバイルのネットワークパフォーマンスは(2020年4月から)悪化し続けています。同社はネットワークの展開を積極的に進めており、ユーザー数の伸びが想定よりもゆっくりだったことでネットワーク負荷は予定より低いにも関わらずです」とするレポートを出したのを受けてのことだ。

同社は2月第1週、こうした所見があることに対処するため米国のジャーナリスト・アナリストを数十人集めた電話会議を開き、パフォーマンスは今年大幅に改善されると論じている。

「私たちが5Gを立ち上げた初期の頃は、800Mb/秒を超えることさえできませんでした。ソフトウェアを改善し続け、良くなり続けています」。楽天モバイルは現在、1 Gb/秒を「やすやすと」超える速度を提供できるペースにあると氏は主張した。

ここまで至る道のりは、楽しいものでも簡単なものでもなかったと氏は言う。コモディティアーキテクチャで安定性、容量、スケーラビリティを確保するのはいずれも挑戦的な課題だったとしている。しかしここ3年で、Amin氏によれば楽天は4G LTEおよび5Gネットワークの基盤となるベースコードを提供するソフトウェアスタックを大幅に改善したという。

 

オープンRANの勢いが増す

オープンRANには多くの批判者がいるが、ネットワーク事業者からは分離型のクラウドネイティブなネットワークアーキテクチャを求める声が根強く、また拡大してもいる。多くの業界アナリストも同技術に対する信頼を深めていっている。

米調査会社Technology Business Researchの主席アナリスト、Chris Antlitz氏は、楽天モバイルの電話会議に参加した後、質問に答えて次のように書いている。「オープンRANやvRANにはソフトウェア上の課題があるのは事実ですが、業界にはこの課題に取り組んでいるトップエンジニアがたくさんいます。私たちは、この10年のうちにこの技術がRANのデファクトスタンダードとなるような成熟度に達すると確信しています」

実際、米調査会社Dell’Oroグループは5日、オープンRANは2025年までにRAN市場全体の10%以上を占めるという予測を発表している。以前にも同様の予測をしており、今回も同じ数字となった形だ。米調査会社ABI Research社は、オープンRAN無線機への設備投資額が2027年か2028年には従来のRAN無線機に対する額を上回ると予測している。

「楽天はこの分野の先駆者であり、この技術は機能するし、大規模に展開可能であることを世界に示しました」とAntlitz氏は付け加えている。

英調査会社GlobalDataの主席アナリスト、Ed Gubbins氏もこのテーマを取り上げ、楽天がオープンRANと仮想化RAN(vRAN)の実例を業界全体に対して示すという役割を果たしていると強調した。一方で氏は、楽天のモデルとアプローチを適用できるのは少数の事業者にとどまると指摘する。

「楽天はレガシーインフラを持たずグリーンフィールドのネットワークを展開していますから、ほとんどの通信事業者にとっては、楽天が学んでいることと自社との関連性は限られてきます」と氏は説明する。楽天は「こうしたアーキテクチャを実装する際にほとんどの通信事業者が直面するであろう現実や要件とは非常に異なる状況、要件を抱えて」いるという。

そのためほとんどの通信事業者は、独Deutsche Telekom社、仏Orange社、西Telefonica社、英Vodafone社などの従来の通信事業者が進めるオープンRANへの取り組みがどのように展開するのかに特に注目していると氏は言う。

https://www.sdxcentral.com/articles/news/rakuten-claims-open-ran-performance-gain-is-imminent/2021/02/

Matt Kapko
Matt Kapko Senior Editor

Matt Kapko, senior editor at SDxCentral, covers 5G network operators, radio access network suppliers, telco software vendors, and the cloud. He has been writing about technology since before the dawn of the iPhone, and covering media well before it was social. Matt can be reached at mkapko@sdxcentral.com or @mattkapko.

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