5G
文:Matt Kapko

楽天、シスコのAcaciaプラガブルオプティクスをSA方式の5Gコアネットワークに導入

楽天、シスコのAcaciaプラガブルオプティクスをSA方式の5Gコアネットワークに導入

楽天モバイルがシスコのソリューション、Cisco Routed Optical NetworkingとSegment Routing over IPv6(SRv6)を導入する。これらは楽天モバイルが今後展開するスタンドアロン(SA)方式の5Gコアネットワーク上でエンタープライズ向けサービスを支えることになる。

仮想化されたクラウドネイティブなOpen RANを運用する楽天モバイルは、プラガブルオプティクスとセグメントルーティングによって運用コストを削減し、TTMtime to market:市場投入までに要する期間)を短縮し、5GネットワークスライシングやIoTへの対応を強化できると述べている。

また、企業とのより厳しいSLA(サービス品質保証)にも対応できるようにしたいという意欲を表明しており、シスコのフラット化したインターネットインフラは、買収したAcaciaによるプラガブル光オプティクスを備えたRouted Optical NetworkRON)ポートフォリオを含め、アーキテクチャのバックボーンを形成することになると述べている。

シスコは今年、光ベンダーの米Acacia Communicationsを買収したが、その際、買収価格をめぐって激しい攻防があり、最終的に1年半前に提示した元の価格を73%引き上げた45億ドルで買収することで合意している。

楽天モバイルによると、このアーキテクチャによって、SRv6マイクロセグメントの導入や、ネットワーク全体に広がるマルチドメイン5Gデプロイメントの管理が可能になるという。コヒーレントプラガブル光オプティクスを1つのルータに統合したことによって、ネットワークの自動化を進め、迅速にサービスを展開し(必要な日数が100日から40日に短縮)、電力消費を約 30% 削減することが可能になるとしている。

 

楽天、「インフラのフラット化」というシスコのビジョンを共有

シスコが提示する「未来のインターネット」という広範な枠組みには、Acaciaのプラガブルオプティクス、コンバージドSDNトランスポート、ネットワーク自動化のほか、2019年後半に初めて発表したプログラマブルシリコンアーキテクチャ、Cisco Silicon Oneが含まれる。

シスコのマススケールインフラストラクチャグループ担当SVPGMJonathan Davidson氏は、SDxCentralの最近のインタビューに対し、ネットワーク事業者各社では「インフラの取得費用1ドルに対し、インフラ管理には平均約5ドルかかっていますが、この比率はトラフィックが増加し続けているために悪化する一方です」と語っている。

「私たちは新しいアーキテクチャを作ろうとしています。レイヤーをシンプルにして、IPでは常に可能な、非常に相互運用性の高い状態を光ドメインにも拡大しようとしているのです。また、長期的には、光サービスをIPの上に持ってくるアーキテクチャも提案していきます。現在はIPが光サービスの上に乗っています」と氏は説明する。

シスコは、ネットワーク事業者がこのアーキテクチャを採用すれば総所有コストを46%削減できるとしている。シスコによれば、このアーキテクチャは、Routed Optical NetworkRON)ポートフォリオ、セグメントルーティングの改善、各種クラウドサービスによってIPネットワークと光ネットワークを事実上統合するものだという。

シスコは楽天モバイルのグリーンフィールドネットワークに当初から関与しており、両社によれば、新しいアーキテクチャの設計と実装についてはシスコのカスタマーエクスペリエンスチームが楽天モバイルを支援するという。

楽天モバイルのCTOTareq Amin氏は次のようにコメントしている。「モバイルネットワーキングを一新することは、楽天モバイルの戦略の中核です。SRv6Cisco Routed Optical Networkingを導入しフルスピードで前進するという決断は、ネットワークスタックのすべてのレイヤーにおいて革新的なテクノロジーを活用する当社の取り組みを示しています」

 

楽天のスタンドアロン式5Gコアネットワーク試験

楽天モバイルは25日、NECおよびインテルと共同で実施した、コンテナ化したSA方式のコアネットワークの性能試験の結果についても発表した。コンテナ化したUser Plane FunctionUPF)について、1サーバーあたりのスループットは640 Gbpsを達成したという。この5Gコアネットワークは楽天モバイルとNECが共同開発したもので、「Rakuten Communications PlatformRCP)」上で稼働している。

楽天モバイルは昨年、SA方式5Gコアネットワークの構築にあたり、同じ日本企業であるNECと提携した。その際、2021年にSA方式の5Gコアネットワークを展開すると述べている。また、NECは楽天のネットワークに対し、3.8GHz帯用の5G無線機も提供している。

同じく楽天の長年のベンダーであるインテルは、同試験に第3世代インテルXeonスケーラブル・プロセッサーを提供した。

「楽天モバイルは、オープンな標準に準拠し、完全にコンテナ化されたモバイルネットワークの設計と構築に成功しています」とAmin氏はコメントしている。「今回のNECとインテルとの協業を通して、コンテナ上での高速処理が可能であることを見出すことができました。引き続き、当社はコアネットワークの性能向上に尽力し、日本および世界でネットワーク技術を展開することでコストと消費電力の削減にもつなげていきたいと考えています」


https://www.sdxcentral.com/articles/news/rakuten-links-ciscos-acacia-pluggable-optics-to-5g-sa-core/2021/06/

Matt Kapko
Matt Kapko Senior Editor

Matt Kapko, senior editor at SDxCentral, covers 5G network operators, radio access network suppliers, telco software vendors, and the cloud. He has been writing about technology since before the dawn of the iPhone, and covering media well before it was social. Matt can be reached at mkapko@sdxcentral.com or @mattkapko.

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