OPEN-RAN
文:Matt Kapko

楽天シンフォニーがAT&T、シスコ、ノキア、クアルコムと協業

楽天シンフォニーがAT&T、シスコ、ノキア、クアルコムと協業

楽天シンフォニーは通信業界最大の年次イベント「MWCバルセロナ2022」に華々しい発表事項を用意してやって来た。過去6カ月間で2度目となる大型買収や、AT&T、シスコ、ノキア、クアルコムと結んだオープンRAN契約についてだ。

楽天シンフォニーは日本のeコマース大手が世界中でオープンRANアーキテクチャをより多くのネットワークに広げていくために最近設立した独立会社で、MWCバルセロナの開催週の始めに米Robin.ioの買収に合意した。Robin.ioはサンノゼを拠点とするソフトウェア企業で、ストレージやライフサイクル管理などのサービスを含めたクラウドネイティブなKubernetesオーケストレーションと自動化ソリューションを提供している。楽天モバイルの日本での完全仮想化オープンRAN構築にも一役買った。

Robin.ioの持つ技術は、最近「Symworld」にブランド名を変更した「Rakuten Communications Platform」にサービスやアプリケーションとして加わることになる。Symworldには最近買収した米Altiostarや楽天が持つ多岐に渡るオープンRAN技術資産が含まれている。楽天が日本でのネットワーク構築・運用に使用したのと同じツールや機能をまとめ、他の通信事業者にサービスとして提供しているプラットフォームだ。

Robin.ioのCEO、Partha Seetala氏は楽天シンフォニーに加わり、Unified Cloud(統合クラウド)事業部を率いる。買収条件は明らかにされていない。

楽天シンフォニーCEOのTareq Amin氏は、会社としてRobin.ioの技術と製品への投資を続ける計画だと述べている。氏は最近、楽天モバイルのCEOにも昇進した。

「私たちはすべてのクラウドが似たようなものというわけではないことを、身をもって知りました。通信分野の複雑なワークロード、特に無線アクセスにはパブリッククラウドではまだ見られないような予測可能性が必要です。これがRobin.ioを買収した理由です。当社の技術をグローバルに展開するに当たって、サービス事業者や企業が5Gを展開する際に必要となるアーキテクチャがこれなのです」。MWCバルセロナのプレスイベントでAmin氏は述べたと記録にはある。

 

MWCバルセロナでSymworldを披露

Amin氏は社員と共に、Symworldと、楽天モバイルがネットワークを稼働させるために使用しているさまざまなソフトウェアのデモを行った。同プラットフォームにはRANインテリジェントコントローラ、オープンRANの各種機能・サービス、セキュリティ、サービス保証、運用・業務支援サービス(OSS/BSS)などが含まれる

「5Gが通信業界を救うというのは誤った希望です」とAmin氏は言う。「技術は進歩しましたが、アーキテクチャの構築方法と通信の発展段階は変わりませんでした。……(中略)……私たちは他とは違うことをするという選択をしたのです」

同社のこれまでで最大の顧客は楽天と同じくグリーンフィールドの通信事業者だ。ドイツの1&1 Drillischが楽天と5GオープンRAN構築の契約を結んでいる。一方、今回さらなる協業が発表されたことで、楽天が業界の有力企業とも協力して勢力を広げていることが伺える。

 

AT&T、シスコ、ノキア、クアルコムの支持を獲得

AT&Tは楽天シンフォニーと契約を結び、無線・有線ネットワークの設計とワークフローを迅速化する「Site Manager」「RAN Commander」の強化・展開を図る。両社は他の通信事業者が利用できる新しいサービスの開発・導入も計画しているという。

今回の契約を結んだことで、世界中のAT&Tや他社のネットワークの変革が「手作業の少ない新しいアーキテクチャスタック」によって拡大、改善されていくという。AT&TのEVP兼CTO、Andre Fuetsch氏が述べた。

楽天モバイルの早期からの提携先であるシスコは楽天シンフォニーと共同Go-to-marketモデルを形成した。クラウドネイティブなソフトウェアやオープンRANベースのモバイルネットワークの導入など、通信事業者によるネットワークインフラの最新化を支援する。

「当社は楽天シンフォニーと共に、世界のサービス事業者に対してレガシーRANに代わる選択肢をターンキー方式で提供していくという絶好の機会に恵まれました。より直感的で自動化したネットワークに変えることで、拡大し続ける接続ニーズに応えることができます」。シスコのマススケールインフラストラクチャグループ担当EVP兼GM、Jonathan Davidson氏は述べている。

同じく楽天の長年のパートナーであるノキアは、楽天シンフォニーチームの主役の座を獲得した。唯一のベンダーとして複数のモバイルコア製品を提供する。両社によると、ノキアのクラウドネイティブなコアソフトウェアはいずれもSymworldプラットフォームで利用可能となり、通信事業者はこれを選択して稼働中のネットワークにインストールできるようになるという。

MWCバルセロナの前の週には楽天とクアルコムが契約を締結した。Massive MIMOを備えた5G無線ユニット(RU)と分散ユニット(DU)を開発する。

楽天シンフォニーは最近、イギリス、フランス、ドイツに事業を拡大している。同社の足跡は日本、米国、シンガポール、インド、欧州、中東、アフリカに広がることとなった。

https://www.sdxcentral.com/articles/news/rakuten-racks-att-cisco-nokia-qualcomm-inroads/2022/03/

Matt Kapko
Matt Kapko Senior Editor

Matt Kapko, senior editor at SDxCentral, covers 5G network operators, radio access network suppliers, telco software vendors, and the cloud. He has been writing about technology since before the dawn of the iPhone, and covering media well before it was social. Matt can be reached at mkapko@sdxcentral.com or @mattkapko.

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