サムスンとノキア、5Gミリ波の可能性を広げる
オーストラリアの5Gミリ波ネットワークでサムスンとノキアの機器が使用されている。広範囲に展開し、高速FWA(固定無線アクセス)を支えることになるかもしれないネットワークだ。同国の情報格差解消を目的とした取り組みとなっている。
サムスンはオーストラリアの国有企業NBN Co(National Broadband Network)が実施したインフラ試験に参加。NBN Coはホールセールネットワーク「NBN」によって同国全土にブロードバンドを拡大する役割を担う。サムスンによると、28 GHz帯のFWA基地局から5G信号を約10 km先まで送ることに成功、平均速度は下り1.75 Gbps、上り61.5 Mbpsであったという。
同試験では100 MHz幅のキャリアを8つ束ね、合計800 MHzの通信を行った。世界のほとんどの地域で利用可能なミリ波帯のうち、かなりの周波数を利用している。
高出力信号の送信にはサムスン製統合無線機「Compact Macro」を使用した。BBU、無線装置、アンテナを1つの筐体に収めたものとなっている。信号の送信先は「サードパーティ製の5Gミリ波対応CPE」だとした。
ノキアが以前に28 GHz帯を利用したNBNの取り組みに対して5G ミリ波FWA CPEを提供すると発表しており、同製品は電波塔から10 km先までの通信が可能であるなど、サムスンが同試験へのコメントで触れたのと同様の性能特性を備えている。しかし、サムスンは試験でノキア製機器を利用していないと述べている。
ノキアによると、同CPEには建物の屋根に設置するアンテナが含まれ、2.5 GbpsのPoEで屋内ユニットに接続、建物内のインターネット接続を可能にしているという。
同プロジェクトはオーストラリア政府とNBN Coが提供した合計約4億8,500万ドル(訳680億円)の資金を利用して進められている。既存のFWA網のカバー範囲を50%拡大し、階層型の価格設定でサービスを提供することを目指す。
NBNのFWA網は現在約65万件の施設をカバーしている。同社では少なくとも現在衛星通信サービスを提供している12万件を新たにカバーしたいと考えている。
5Gミリ波の拡大
同試験はミリ波を展開する難しさという問題に対し、FWAで活用できる可能性を示したという点で重要な意味を持っている。ミリ波帯は一般的に15 GHz帯以上とされ、ふつう伝搬特性が悪い。信号が送信機からそれほど遠くまで届かず、障害物によって簡単に遮断されてしまうということだ。
世界中の多くの通信事業者がミリ波帯のうち数百MHzの周波数を保有・使用しているが、通常は近距離または屋内での展開に限定されている。
たとえば、米Verizonはミリ波帯の膨大なリソースの展開を進めるなかでカバレッジの問題に悩まされてきた。
今回の試験では干渉が非常に少ない人口密度の低い地方で信号強度を高めることで、こうした課題の一部を克服できている。提供サービスでは定電流/定電圧電源を備えたFWA CPEを利用するとしており、同CPEでは熱と電力の問題を切り離すために受信機は別の機器となっている。
ベンダー各社は5Gサービスの速度向上を目指し、ミリ波帯とミッドバンドを組み合わせることをさらに詳細に検討し始めている。
「クアルコムでは、5Gミリ波はミッドバンドとの二者択一で捉えるものではないと考えています。選択肢ではなく、加入者がどこにいたとしても可能な限り最高品質の体験を提供したいと考えた場合にミッドバンドの補完として利用するものです」。米クアルコムの事業開発担当バイスプレジデント、フィリップ・ポジアンティ(Philippe Poggianti)が今年指摘している。
https://www.sdxcentral.com/articles/news/samsung-nokia-power-5g-mmwave-potential/2022/11/
Dan Meyer is Executive Editor at SDxCentral, with a focus on telecom, 5G, radio access networks (RAN), and edge networking. Dan has been covering the telecommunications space for more than 20 years. Prior to SDxCentral, Dan was Editor-In-Chief at RCR Wireless News. You can contact Dan directly at: dmeyer@sdxcentral.com, on Twitter at: @meyer_dan, or on LinkedIn at: dmeyertime.
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