5G
文:Dan Meyer

Samsung、Vodafone と 5G vRAN、Open RAN 契約を締結

Samsung、Vodafone と 5G vRAN、Open RAN 契約を締結

Samsungは、2027年までにイギリス全土に2,500局のディスアグリゲーション型基地局サイトを展開するというVodafoneの構想に対し、仮想化オープンRAN機器(vRANソフトウェアおよびオープンRAN無線機)を供給することが正式に決まった。今回の契約は、両社の広範な協力関係を拡大、中国を拠点とするベンダーであるファーウェイの、現在では禁止されている機器を置き換えるというVodafoneの取り組みをさらに進めるものである。

設置されるSamsungの機器には、複数の無線アクセス技術(4G LTEと5G)をサポートするvRANソフトウェアと、低帯域と中帯域の周波数帯をサポートするO-RAN準拠の無線機が含まれる。これらの無線機は、Massive MIMO(大規模多入力多出力)に対応している。

Samsungは、デヴォン州での展開を皮切りに、ウェールズとイングランド南西部で展開される基地局サイトで同社の機器が使用されると述べた。

米調査会社Mobile Expertsの創設者でチーフアナリストのJoe Madden(ジョー・マッデン)氏は、今回の提携拡大はSamsungが最近発表した「vRAN 3.0」プラットフォームと時期を同じくしている、とステートメントで述べている。

「vRAN3.0のリリースは、SamsungがvRANソリューションの提供をこの大きな “ブラウンフィールド”の機会に広げようという、良いタイミングで行われました」とMadden氏。”ブラウンフィールド”の展開とは、全く新しいネットワークの展開を意味する”グリーンフィールド “とは対照的に、既に確立された事業者が新しい技術を自社の運用に統合することを意味する。

「Vodafoneは、加入者もなく、レガシー設備もないような事業者ではありません。既存の加入者がたくさんいる既存のネットワーク事業者です」と、Madden氏はSDxCentralのインタビューに答えて述べている。「2G、3G、4Gのレガシーがいずれも存在します。Samsungは他の事業者と一緒に参入し、これら全てを置き換えることになります。そして、同社の製品は無線機とソフトウェアを組み合わせて使用できるようにセットアップされています。これは本当にOpen RANへの大きな転換点です」

Vodafoneは当初、2,500局のOpen RAN基地局の計画を発表した2021年半ばに、SamsungをvRANとOpen RANの取り組みに参加させた。VodafoneにSamsungが機器提供した最初の基地局サイトは2022年初頭にバースで稼動し、同年末にはエクスマスとトーキーにも展開された。

Samsungは Vodafone が持つドイツとスペインのネットワークにも、vRAN機器とオープン RAN機器を供給している。

Vodafone はまた、汎用プロセッサー、アクセラレーション・ハードウェア、ネットワーク・インターフェイス・カードではIntelと、ドライブテストおよび相互運用性テストではKeysightと協業しており、同取り組みに関する新しいハンドブックでこうした協業について強調している。PowerEdgeサーバーの使用ではDell Technologiesと、Vodafoneのラボのテスト・パートナーとしてCapgeminiと、クラウド・ネットワーク・プラットフォームではWind Riverと協力している。

 

Open RAN分野の機会

Vodafoneは、世界21カ国でネットワークを所有・運営する世界最大級のモバイル通信事業者である。この通信事業者は、イギリス政府が2027年までに同国のすべての通信事業者が中国系ベンダーであるHuaweiの機器を交換するよう義務付けたことを受けて、Open RANへの取り組みを開始した。

これがきっかけとなり、Vodafone、Deutsche Telekom、Orange、Telefónicaといったヨーロッパの通信事業者は、ベンダーの選択肢を広げ、多様化するために、Open RANプラットフォームを推進するようになった。さらに最近では、これらの事業者は、成熟度、セキュリティ、エネルギー効率に関連する課題に対しての進展を強調するホワイトペーパーを発表した。

SamsungはVodafoneとの取引機会を拡大することで、ますます利益率が向上すると思われる同市場に深く進出している。

米調査会社Dell’Oro Groupは今年初めのレポートで、欧州のOpen RAN市場は発展が遅れているが、2027年までに市場収益は10億ドルを超えると予想している。同社は先月下旬、Samsungが引き続き市場最大手の1社であると報告した一方、vRANとOpen RANの市場売上高が第2四半期は減少、「2019年に当社がこれらの次世代アーキテクチャの追跡を開始して以来、前年同期比で縮小した最初の四半期となりました」と付け加えた。

Madden 氏は、Open RAN 市場の推移については心配していないと述べ、Vodafoneに関する今回の最新ニュースは、既存事業者による展開努力の強化に向けた関心が高まっていること示している、と語った。

「私はこれを比較的小規模なものと考えていますが、それでも規模としては大きいと言えます。もはや10カ所どころの話ではありません」と氏は言う。「ネットワークの完全な動作をテストできるレベルであり、今後3、4年はこの傾向が続くと思います」

そうした状況は、より広範なRAN市場におけるSamsungの地位を向上させる要素にもなりそうだ。
「小規模なプレイヤーにとっては、レガシーインフラストラクチャが存在する以上、他社から顧客を奪うのは非常に難しいことですが、」とMadden氏。「今回のニュースが示しているのは、参入していってレガシーを置き換えることは可能だということです。通信事業者がNokiaや Ericssonのような企業から手を引いて、新しいものを導入することが可能であり、それで問題もないということをSamsungが証明しているのです。…(中略)… 2028年に5G-Advancedや6Gネットワーキングが実現すれば、通信事業者は何をすべきか検討するでしょう。彼らは、Ericssonや Huaweiよりも仮想RANの経験が豊富なSamsungに注目するでしょう。そして、私たちは彼らと一緒に進むことになります。これはSamsungにとって大きく成長する機会になると思います」

Samsung strikes 5G vRAN, Open RAN deal with Vodafone

Dan Meyer
Dan Meyer Executive Editor

電気通信、5G、無線アクセスネットワーク(RAN)、エッジネットワーキングを専門とし、電気通信分野を20年以上担当している。
SDxCentral入社以前は、RCR Wireless Newsの編集長を務めていた。
連絡先:dmeyer@sdxcentral.com
Twitter:@meyer_dan
LinkedIn:dmeyertime

Dan Meyer
Dan Meyer Executive Editor

電気通信、5G、無線アクセスネットワーク(RAN)、エッジネットワーキングを専門とし、電気通信分野を20年以上担当している。
SDxCentral入社以前は、RCR Wireless Newsの編集長を務めていた。
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