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文:Tobias Mann

Intel社がファウンドリ提携先を探すなか、TSMC社が生産を増強

Intel社がファウンドリ提携先を探すなか、TSMC社が生産を増強

70年代後半以降、マイクロプロセッサは、電子レンジ、トースター、テレビ、そしてもちろん私たちのパソコンなど、ほとんどあらゆるものに組み込まれてきた。そして、新しい千年紀のうち第3の10年間が始まった現在、需要が高いのは台湾TSMC社のチップだ。

半導体ファウンドリの同社は新年、ライバルのSamsung社やIntel社に対するリードを拡大する計画だ。TSMC社は2020年第4四半期の決算発表の際、年間設備投資額を250億ドル~280億ドル(約26000億円~29200億円)に増やす計画を発表した(2020年は170億ドル(約17700億円))。

TSMC社はこのニュースとともに、記録的な四半期決算を発表している。純利益は前年同期比23%増の約51億ドル(約5300億円)、売上高は同14%増の約129億ドル(約13000億円)だった。

 

市場の成長

生産量も増加させる。特に消費者向けの分野や自動車産業でインフォテインメントや運転補助装置の高度化に伴い半導体需要が急増した結果、世界的に半導体が不足しているのを受けてのことだ。

TSMC社は、市場で最も先進的かつ大量生産が可能な半導体製造会社の1つだ。同社では5ナノメートルのチップを製造することができ、それらは現在Apple社の「A14」「M1」プロセッサに使われている。一方、それよりも古い7ナノメートル製造プロセスは、半導体大手のAMD社、Nvidia社、Qualcomm社などが使用している。これらの企業はほんの数例だ。

また、Bloomberg社の最近の報道によると、TSMC社の長い顧客リストにはIntel社が加わる可能性があるという。事情に詳しい匿名の情報筋の話として同メディアが報じたところでは、Intel社は新しい4ナノメートルプロセスによってフラッグシップチップを製造するため、TSMC社およびSamsung社の両方と交渉しているという。

Intel社は10ナノメートルチップの市場投入を何度も延期しており、同技術を採用した初の「Xeon Scalable」プロセッサはまだ市場に出ていない。Intel社でEVPClient Computing担当GMを務めるGregory Bryant氏は最近、「Ice Lake」ベースのXeonが大量生産に入り、今四半期中に出荷が開始される予定だと述べている。

さらに、製造歩留まりの問題から、Intel社では次世代の7ナノメートルプロセスの開発が1年近く遅れている。市場に出るのは2022年後半か2023年前半と予想されており、その頃にはTSMC社は3ナノメートルプロセスによるプロセッサを出荷開始すると見られている。これだけでも多くの投資家にとって懸念材料であり、そうした投資家たちはライバルのAMD社が以前行ったように生産を外部ファウンドリに移すことを検討するようIntel社に促している。

投資家の圧力と競争の激化を受けて、Intel社の取締役会はCEOBob Swan氏の後任としてVMwareCEOPat Gelsinger氏を迎えることを決定した。同氏がIntel社に復帰するのは15年ぶりとなる。アナリストらが予想するようにGelsinger氏がTSMC社に製造を外注する計画を進めた場合、TSMC社は需要に応えられる態勢にある。

Bloomberg社によると、TSMC社は新チップの需要に対応するため、中国の宝山にある新工場を稼働させる用意があるという。

Intel社は交渉が噂されていることについてコメントを避けた。

 

半導体業界はパンデミックの影響を受けず

Gartner社の最新レポートによると、2020年はパンデミックがあったにもかかわらず、チップメーカー各社の業績は好調だったという。市場全体の売上は7.3%増となり、2019年の12%減から大きく回復した。

Gartner社でリサーチ担当VPを務めるAndrew Norwood氏によると、パンデミックがいくつかの市場を低迷させた一方で、在宅勤務やeラーニングの取り組みが半導体市場の下支えになったという。

Norwood氏はコメントの中で、「2020年初頭、COVID-19はあらゆる最終機器市場に悪影響を及ぼすと予想されていましたが、実際の影響はもっと微妙なものでした」と説明している。「自動車、産業、それに消費者市場の一部は、企業や消費者による支出の減少によって大きな打撃を受けました。一方で、ロックダウンによって在宅ワークやeラーニングが大幅に増加し、そうした活動を支援したあらゆる業界が恩恵を受けました」

こうした動向が一因でサーバ製品の需要も増加した、と氏は付け加えている。またたく間にリモートワークへの移行がなされたことでトラフィックが急増し、ハイパースケーラ各社がシステムの増強を急いだためだ。Gartner社のレポートでは、メモリ市場全体の売上もリモートワークへの移行が大きな要因となって大幅に増加したとある。

https://www.sdxcentral.com/articles/news/tsmc-boosts-production-as-intel-looks-for-fab-partners/2021/01/

Tobias Mann
Tobias Mann Editor

Tobias Mann is an editor at SDxCentral covering the SD-WAN, SASE, and semiconductor industries. He can be reached at tmann@sdxcentral.com

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Tobias Mann is an editor at SDxCentral covering the SD-WAN, SASE, and semiconductor industries. He can be reached at tmann@sdxcentral.com

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