TSMC社、1000億ドル規模の半導体工場増設を発表
半導体製造ファウンドリ企業の台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング (TSMC)は、製造能力拡大のため今後3年間で1,000億ドル(約10兆9000億円)を投下するとした。米Bloomberg社が最近報じている。
TSMC社がSDxCentralに提供したコメントでは、「5Gや高性能コンピューティングの複数年にわたるメガトレンドによって、今後数年間に当社の半導体技術に対する強い需要が喚起される見通しとなっており、当社は高度に成長する時期を迎えつつあります。さらに、COVID-19のパンデミックによってもあらゆる面でデジタル化が加速しています」としている。
同社は需要に対応するため、生産能力の増強と、半導体先端技術の製造および研究開発の支援を迅速に進めているという。資金の調達方法については言及がなかったが、2021年から2023年の間に投資を行う予定だとしている。
TSMC社は世界でも最大手の半導体メーカーに製品を供給する、市場最大かつ最先端の大量生産型半導体ファウンドリ企業だ。顧客には、Apple社、AMD社、Nvidia社、Qualcomm社などが名を連ねている。
以前には、主に民生機器や自動車といった産業での需要急増に伴う世界的な半導体不足に対応するため、2021年の設備投資額を2020年の170億ドル(約1兆8500億円)から250億ドル~280億ドル(約2兆7300億円~約3兆500億円)に引き上げる計画を発表している。
とはいえ、半導体不足が本格化する以前からTSMC社は事業拡大を考えていた。昨春、TSMC社はアリゾナ州に120億ドル(約1兆3100億円)を投じて工場を建設する計画を発表し、2024年の操業開始時には月産約2万枚のウェーハを生産するとした。噂によれば、同社は現在この投資について規模を拡大しようとしている可能性があるという。最近のUDN社の報道によると、TSMC社は需要に応えるため、アリゾナ州に最大6つの工場を建設する可能性があるとされている。
CCS Insight社の米州リサーチ部門シニアディレクター、Wayne Lam氏によると、TSMC社が工場を1つ建設するのに200億ドル(約2兆1800億円)かかると仮定すると、同社の設備投資額からすれば向こう3年で新しく5つの工場を建設できるという。
「そうなれば、TSMC社の「ギガファブ」の数は現在操業している数の2倍になります」と氏は言う。「これは明らかに大がかりなことで、TSMC社が多額の投資を行う予定であり、次世代プロセスの設置空間の大きさで業界トップを行くことは計算するまでもなく明らかです」
Lam氏は、Intel社が製造の多く(20%とも言われている)を外部ファウンドリに移行する計画を立てていることが、TSMC社にとって生産能力増強を目指す圧力となっている可能性が高いと付け加えている。
「TSMCにしてみれば、明らかに生産能力の増強が必要です。Intelが最先端の製造をTSMCにアウトソーシングしようと計画していることで、生産能力の少なくない部分が占められるでしょう。特に最新の5ナノメートルノードプロセスの半導体について、大きく生産能力を割くことになります」と氏は言う。「大きな文脈から言えば、半導体の需要は消費者の購買行動だけでなく、他の革新的な技術トレンドによってますます左右されるようになっているということです」
急増する需要、限られた生産能力
半導体不足は家電製品から自動車メーカーまであらゆるものに影響を与えている。General Motors社、Ford社、トヨタなどの自動車メーカーは、インフォテインメントからエンジンコントロールユニットまであらゆる機器に使用する重要部品である半導体の調達に苦労し、減産を余儀なくされている。
Supplyframe社のCMO、Richard Barnett氏は以前のインタビューで、この問題には2つの側面があり、自動車メーカー各社がパンデミックの影響を受けて生産を縮小している同じ時期に、リモートワーカーや学校関係者による家電製品の需要が急増していたと話している。
英調査会社Gartnerが最近発表したレポートによると、世界の半導体市場は2019年に前年比12%減と落ち込んだ後、2020年は7.3%の成長を遂げたという。
Gartner社のリサーチ担当VP、Andrew Norwood氏は、「ロックダウンによって在宅勤務やeラーニングが大幅に増加し、これらの活動を促進する市場が恩恵を受けました」と書いており、ほぼ一夜にして行われたリモートワークへの移行によるトラフィックの劇的な急増に対しハイパースケーラ各社が対応を急ぐなか、サーバー製品への強い需要によって半導体不足はさらに悪化したと付け加えている。
その結果、自動車の売上が回復し始めた頃には、自動車メーカーはそれまで頼りにしていた半導体の供給力がもはや存在しないことをすぐに知ることとなった。
新たな競争
半導体不足に直面し、380億ドル(約4兆1400億円)のインセンティブに魅せられたIntel社は、先週ファウンドリーサービス事業への参入計画を発表した。
「Intel Foundry Services」と名付けられたこの新部門は、自社製造、外部製造、受託製造を含む製造能力の拡大と多様化を目指す「Integrated Design Manufacturing 2.0(IDM 2.0)構想」の一角を成す。
Intel社はこれまで、米国、アイルランド、イスラエルにある自社工場で半導体を開発・生産してきた。今回、200億ドル(約2兆1800億円)を投じてアリゾナ州のOcotilloキャンパスに2工場を新設し、これを皮切りに受託先向けに自社ファウンドリを開放しようとしている。
Intel社の新CEOとなったばかりのPat Gelsinger氏は、先月下旬の記者会見で、「本日、世界の顧客に資するべくワールドクラスのファウンドリ企業となり、米国と欧州を拠点とする半導体生産の主要な供給者となる計画について発表します」と話した。
Intel社によると、アリゾナ州に新設された2つの工場は始まりにすぎないという。今後数年間、米国外にも工場を増やしていく計画だ。
https://www.sdxcentral.com/articles/news/tsmc-pledges-100b-foundry-boost/2021/04/
Tobias Mann is an editor at SDxCentral covering the SD-WAN, SASE, and semiconductor industries. He can be reached at tmann@sdxcentral.com
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