英ボーダフォンとドコモ、オープンRAN試験のタスクをオープン化
オープンRANの最終目標は多様なネットワークエコシステム間でシームレスな相互運用性を実現するというものだ。通信事業者やベンダー各社は製品の相互接続に伴う各種の課題に先手を打つべく、引き続き熱心にテスト環境での取り組みを続ける必要があるという。英ボーダフォン(Vodafone)とNTTドコモが呼び掛けた。
両社は最近オープンRAN試験の合理化を目的とした協力関係を結んでおり、最初の大きな成果となるホワイトペーパーを発行している。上記の提案はその中でなされたものだ。
両社によると、オープンRAN試験については通信事業者各社が各業界団体の成果を基に統一的なアプローチを取るべきであり、そうすれば他のキャリアと協力する際に作業の重複が発生することを避けられるという。ホワイトペーパー自体はオープンRANのRU(無線ユニット)とDU(分散ユニット)の統合テストに関するものだ。
また、ラボ環境でRU/DUのオンボーディングや統合が遅れる原因となりうるテスト工程のボトルネックについても取り上げている。各社が異なるバージョンの業界仕様を使用していたり、仕様を誤って理解していたりする等の基本的な問題を「よくある間違い」として挙げた。
また、オープンRAN試験の場合、通信事業者各社が実施したいのは実際どういったものなのかについて、明確なモデルが必要だという。ベンダー界隈では開発のペースを上げるためにテストのテンプレートを統一しようという考えが広まってきており、そうした中ではこれはなおさら重要なことだ。
「そうすれば、ベンダーは通信事業者1社のラボであろうと各社の共同ラボであろうと、自社製品が相互運用性テストに対応できるという確信を得ることができます。不要な遅延が発生するのを回避することができるでしょう」。ホワイトペーパーでは通信事業者視点からこのように説明している。
また、数あるプロセスを自動化すれば試験工程が早く進み各種の障壁が取り除かれる可能性もあるが、クローズドプラットフォームの場合には提携先企業と前もって詳細を共有する体制をキープする必要があるとも指摘している。それによって試験を限りなく効率的なものにできるとした。
調査会社の指摘によると、商用展開でオープンRANが使用されている例はまだ少なく、多くはシングルベンダーによるものだという。
「アーリーアダプターはオープン化へ向かう動きを受け入れていますが、一方でアーリーマジョリティの通信事業者、あるいはRANサプライヤーに広く影響するかという点についてはまだ確実なことは言えません。年初来のオープンRAN市場はマルチベンダーではない展開が大部分を占めています」。米デローログループ(Dell’Oro Group)のバイスプレジデント、ステファン・ポングラッツ(Stefan Pongratz)氏が最近のレポートで述べている。
同社は直近のレポートで、オープンRANの勢いは今年も続くものの、「アーリーアダプターに肩を並べる難易度が上がっていることから」売上高の伸びは鈍化すると予測している。
オープンRANに関する英ボーダフォンとドコモの協力
両社の共同研究は昨年10月に始まった。双方のラボ環境の接続もされている。ボーダフォンは自社が最初に5Gを展開した地域の1つであるニューベリーに、NTTドコモは横須賀にオープンRAN研究センターを持っている。
また、両社はSMO(サービス管理オーケストレーション)とRIC(RANインテリジェントコントローラー)に関する取り組みを共有、今後のアップデートと基盤となるソフトウェアアーキテクチャに関して詳細を詰める計画も発表している。こうした協力はいずれも開発、展開、運用にかかる費用全体の削減が目的だ。
ボーダフォンのCTO、Johan Wibergh氏は当時、「ボーダフォンとドコモの研究開発力が結集することは、オープンRANの構築を求める欧州やアジアの多くの企業にとって参入障壁が下がることを意味します」と述べている。
Dan Meyer is Executive Editor at SDxCentral, with a focus on telecom, 5G, radio access networks (RAN), and edge networking. Dan has been covering the telecommunications space for more than 20 years. Prior to SDxCentral, Dan was Editor-In-Chief at RCR Wireless News. You can contact Dan directly at: dmeyer@sdxcentral.com, on Twitter at: @meyer_dan, or on LinkedIn at: dmeyertime.
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