エッジコンピューティング
文:Tommy Clift

2023年、エッジはどこへ向かうのか

2023年、エッジはどこへ向かうのか

2022年はテック業界がエッジへの移行を進めた年だった。クラウド移行によってゼロトラストエッジ(ZTE)の採用が進み、プライベート5Gの展開が着実に増加、SASE(Secure Access Service Edge)分野も著しく成長している。

新しい年が始まったが、米コックス・コミュニケーションズ(Cox Communications)のCox Edge担当アシスタントバイスプレジデント、ロン・レヴ(Ron Lev)氏は同じ傾向が続くと考えている(「Cox Edge」は2021年リリースのフルスタックのエッジクラウドコンピューティングサービス)。世界のエッジコンピューティングへの支出は2025年までに約2,740億ドル(約35兆6,140億円)に達するというIDCの予測を引き合いに出して語った。

レヴ氏は米SDxCentralのインタビューに応じ、2023年のエッジがどうなるかについて語ってくれた。

SDxCentral:昨年はエッジの導入が進みましたが、最大の要因は何でしょうか。また、2023年に最もエッジの成長に寄与する要素は何だと思われますか。

レヴ氏:ハイブリッドな職場環境が世界中で普通のものとなり、何百万人もの従業員が場所を選ばず働けるようになりました。これによってエッジ技術の導入が企業にとっての最優先事項となったことが挙げられます。じっさい、(米調査会社)ガートナーでは2025年までに企業関連データの4分の3がエッジで生成・処理されるようになると予測しています。

後者についてはエッジコンピューティングとクラウドを組み合わせることでしょうか。低レイテンシ、帯域幅使用率の低減という2つの大きな優位性が生まれます。どちらも処理時間の短縮、プライバシーの向上、コストの削減、システムの信頼性の向上というメリットにつながります。

SDxCentral:今後導入を進めていく上で、何が課題になると思われますか。

レヴ氏:エンタープライズセキュリティがまず重要な課題になります。新しく加わるコネクテッドエッジデバイスの数が非常に多くなるためです。リスクを軽減するためには、接続を監視し、未知のデバイスを隔離するガバナンスポリシーを適用する必要があります。

また、エッジ環境にもセキュリティを組み込む必要があります。これを実現する手段の1つはSASEソリューションに投資することです。異なるサイバーセキュリティ技術を1つに統合したもので、コストとリスクを軽減しながら脅威に対処することが可能です。こうしたサービスを通じてエッジセキュリティを確保すれば、ユーザーがどこからアプリケーションにアクセスしていようと常に変わらない標準のユーザー保護を提供することができます。

当社では、お客様がエッジで立ち向かわなくてはならない脅威の情勢が急速に移り変わっていくことを認識しています。当社がクラウドやITのポートフォリオを進展させていくうえで、常に最も重視するのがサイバーセキュリティであるのはそのためです。

SDxCentral:低遅延が普通になり、価格がこなれて導入が進んでいったとすると、エッジコンピューティングに必要な要件を満たすネットワーク接続を確保するうえでどのような課題が生じると考えられますか。

レヴ氏:データ量が増加すればデータ転送に伴うコストも増加します。大量のデータを処理するにはインフラや帯域幅の改善も必要になることも考えると、運用コストは増える一方です。

エッジはデータ転送を減らせるため、企業のIT支出を大きく削減することができます。エッジへの移行にかかる初期費用を支払いたくない場合は、自動化統合プラットフォームを利用すれば手頃な価格で迅速にエッジコンピューティングを導入することが可能です。

SDxCentral:エッジの導入に関して昨年は何か驚くような収穫はありましたか。

レヴ氏:以前からですが、さまざまな活用事例があることが非常に面白いです。たとえば、スポーツ分野の事例では、これまでよりもはるかにぜいたくな体験をファンに提供しようとしています。スタジアムで試合を観戦しているファンがハーフタイムに自分の端末でお気に入りの選手のデジタルモデルとスタッツを見ることができるようになるかもしれません。

AR(拡張現実)を利用して試合のルールを知らない初めての来場者を楽しませることもできるようになりました。ファン層を広げて売上を増やすことができるでしょう。野球の試合を初めて見に来た人が、スマートフォンを使って基本的なプレーの仕方や野球のルールといった情報にアクセスしたり、フィールドにいる主要選手をハイライトで表示して、その選手の役割説明を見たりできるというシナリオです。エッジ技術を活用すればこうした唯一無二のデジタルエンゲージメントを提供することができますし、さらにその先の展開も可能となっています。

編集部注:インタビューの内容については文量を調整し内容を明確にするための編集を加えています。

Where Is Edge Headed in 2023?

Tommy Clift
Tommy Clift Reporter

Tommy Clift is a Reporter at SDxCentral covering telecom technology and services, rural carriers, broadband access, and diversity and inclusion. He is a graduate from from Colorado University Denver with a degree in music business and a minor in film writing. Tommy’s writing background comes from working in diversity and inclusion, news and arts reporting, grant writing, scriptwriting, as well as artist-collective journalism and event curating. He can be reached via email at tclift@sdxcentral.com.

Tommy Clift
Tommy Clift Reporter

Tommy Clift is a Reporter at SDxCentral covering telecom technology and services, rural carriers, broadband access, and diversity and inclusion. He is a graduate from from Colorado University Denver with a degree in music business and a minor in film writing. Tommy’s writing background comes from working in diversity and inclusion, news and arts reporting, grant writing, scriptwriting, as well as artist-collective journalism and event curating. He can be reached via email at tclift@sdxcentral.com.

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