【デンバー】5Gを展開するに当たっては、現在はサプライチェーンの混乱や労働力不足、金利やコストの上昇といった障害がある。ネットワーク事業者はこうした障害を乗り越えようと創意工夫を凝らしている。

「スキル人材をめぐる競争は現実に起こっています」。5月下旬にデンバーで開催されたイベント「ConnectX」のパネルディスカッションで、鉄塔建設の米Tillman Infrastructure（ティルマン・インフラストラクチャ）で最高執行責任者（COO）を務めるChristian Hillabrant（クリスティアン・ヒレブラント）氏が語った。「これを和らげるために当社が行っているのは、業界外の人を受け入れることです」

 Hillabrant氏によると、Tillman ではキャリアの浅い人々を雇用・教育し、通信業界を経験させるという。また、内部昇進率を80%に設定、人材の維持にも努めている。

「当社は必要なときには外部の力を借ります。特に市場を拡大する際の幹部人事などがそうですが、あくまでも内部の人材を育成する方法を模索しながら、従業員が長期的な成功を展望することのできるカルチャーを作りながら、ということです」と氏。

ダラス都市圏に拠点を構える同社では、金融・その他の業界で「通信分野に転用できるプロジェクト管理・プログラム管理スキル」を持つ人材を求めている、と氏は付け加えた。

米Mears Group（ミアーズ・グループ）の無線事業担当VP、Ross T. Kruchten（ロス・T・クルーシュテン）氏も同意見だ。「従業員側にとっては残酷な話です」と話す。加えて、鉄塔建設地が僻地に広がるにつれ、従業員は移動に対応し家を離れなければならなくなっている。

「（働き手は）いつでもどこにでも派遣できる単なる資産などではなく……（中略）……人間です。そのように扱われなければなりません」。Kruchten氏は強調した。

備蓄によって5Gサプライチェーンの痛手を緩和

多くの業界がそうであるように、5G通信事業者や鉄塔建設会社もサプライチェーンの課題に直面している。

Kruchten氏はこの問題に言及し、Mears Groupではサーバー側、特にハイブリッドケーブルの調達が厳しい状況にあるとした。「残りの期間は4カ月になりました。私たちは基地局の修復や、残り半分を建設するやり方を完全に変更するのには本当にうんざりしてきています。在庫不足によって事業も減速しています」

「尚のこと大きな影響があったのは、市場価格が急激に上昇したことです」。Hillabrant氏は指摘する。燃料費の高騰に加え、鉄鋼やPVCなどの材料価格もこの2年間で大幅に上昇したと補足した。

稼働中の部品については、OEMメーカーが「今年は非常に賢明な計画を立ててくれました」と話す。多くの場合、事業者に代わって大量の建築設備を備蓄済みだという。 

OEMメーカーは業界の著しい成長を予見していたためこうした資機材を予め目録に入れており、リアルタイムで供給できる体制を整えたのだと氏は付け加えている。

ファイバーの供給問題については、Tillmanでは「上手く回避することができました。お客様のニーズを満たす別の製品で代用し、作業を進めることができています」と話した。

https://www.sdxcentral.com/articles/news/5g-industry-navigates-labor-supply-chain-shortage/2022/05/