楽天モバイルの技術トップ、ソフトウェアの人材不足を嘆く

楽天モバイルの技術トップであり、先日新たに設立されたRakuten SymphonyプラットフォームのCEOに就任したTareq Amin氏は、干し草の山から針を探すような、望みの薄い探し物をしているようだ。
歯に衣を着せない物言いをするエグゼクティブであり、おそらくオープンRANアーキテクチャの最も著名な支持者であるAmin氏は、9月中旬、2018年に楽天モバイルに入社して以来、グローバルオペレーションの責任者となる人物を探し続けていると述べた。
「楽天モバイルでは、ネットワークは完全なソフトウェアコンポーネントに移行しています。ソフトウェアスキルを基盤としたスケーラブルな組織を構築することができ、高度な技術と実践力を備えた適切なリーダーを見つけることは、この4年間で私自身が直面した最大の課題の1つでした」。氏はLinkedInの投稿で嘆いている。
「諦めてはいません。私のチームに参加するのに適したマインドセットを持ち、自律型ネットワークへの革命をリードしてくれる人物を今も探しています」と締めくくっている。
重要な役割ではあるが、1人の人材を探す期間としては4年というのは長い。ほとんどの人が長すぎると言うだろう。米国大統領の任期1期分だ。
Amin氏の楽天モバイルでの在籍期間は4年よりは3年に近いが、氏が公に嘆願し、実りのない人材探しが続いていることにフラストレーションを抱いているらしいと人々が認識した結果、回答よりも質問が多く出され、テクノロジー業界全体を悩ませている問題が1つ浮き彫りになることとなった。
複数の業界アナリストがAmin氏の投稿にコメントを寄せ、世界的に見てもほとんど例のないオペレーションを実行する技術的能力があり、かつ手の空いている人材は限られていると述べた。楽天モバイルは2020年4月、世界初となるグリーンフィールドの完全仮想化オープンRANネットワークを大規模に展開し、4G LTEをサポート、2020年9月には5Gサポートを追加している。
ガートナー、楽天モバイルの人材探し難航の裏付けを提供
Amin氏が人材探しで選り好みをしすぎている可能性はあるが、業界で広くこの問題があることに変わりはない。IT企業の経営者は人材不足の危機に直面している。じっさい、英調査会社ガートナーの新しいレポートによると、新技術の導入において人材不足が最も大きな障壁になっているケースが全体の64%に上るという。
さらに驚くべきことに、この数字は2020年にはわずか4%だった。何が変わったのか。まず1つには、世界的なパンデミックとそれによる混乱が挙げられる。
「リモートワークへの移行が続き、2021年は各社の採用計画が加速したことで、IT人材の不足が深刻化しました。特に、クラウドやエッジ、自動化、継続的デリバリーを可能にするスキルの調達が課題となっています」。ガートナーでリサーチ担当VPを務めるYinuo Geng氏はステートメントで述べている。
「今回の調査で取り上げたすべてのIT自動化技術のうち、2020年以降に導入サイクルが進んだのはわずか20%です。原因は人材不足です」と氏は説明する。
この問題は広範囲に広がっている。通信業界だけが特別なわけではない。
ガートナーは調査結果から、コンピューティングインフラやプラットフォームサービス、ネットワーク、セキュリティ、デジタルワークプレイス、ITオートメーション、ストレージやデータベースの導入を妨げる主な要因として、人材不足が挙げられると結論づけている。
需要不足や資金不足の問題は無いようだ。ガートナーによれば、新興技術への投資を増やす、または増やす予定があると回答した企業は、昨年は全体の29%だったのが、今年は半数以上の58%に達したという。
Amin氏の抱える課題は、自ら課している部分もあるが、業界全体の問題を浮き彫りにするものでもある。優れた技術を持つ人材を見つけるのはますます難しくなっている。

Matt Kapko, senior editor at SDxCentral, covers 5G network operators, radio access network suppliers, telco software vendors, and the cloud. He has been writing about technology since before the dawn of the iPhone, and covering media well before it was social. Matt can be reached at mkapko@sdxcentral.com or @mattkapko.

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