5G
文:Matt Kapko

米AT&T、プライベート5GとMassive MIMOでの進展を披露

米AT&T、プライベート5GとMassive MIMOでの進展を披露

米AT&Tはたくさんのニュースを用意して2022年のMWCバルセロナにやって来た。プライベート5G、ハイブリッドクラウド、Massive MIMO、オープンRAN、都市部での5G展開に関する発表事項だ。

インテルと進めているオープンRANアーキテクチャの進展など、ほとんどの発表については事前に予告をしていたが、米AT&T BusinessのCEO、Anne Chow氏の基調講演がこうしたニュース全ての見どころとなった。

5Gに関しては以前から誇大な宣伝がなされ、人々の期待も(まだほとんど実現していないにもかかわらず)衰えを見せていない。

「当社は基本的に、5Gはスマートフォンが登場した時と同じくらい変革的な技術であり、あらゆる業界に革命を起こすことができると考えています」とChow氏。また、5Gとその派生技術によって、IoT、モバイルエッジコンピューティング(MEC)、企業プライベートネットワーク、環境持続可能性などの分野でかつてないイノベーションの時代が始まるだろうと語った。

 

マイクロソフトがAT&Tとの関わりを深める

AT&Tはクラウドに関するあらゆる面でマイクロソフトを利用しており、独占的というほどではないが、両社の関わる範囲は広がり続けている。これに関しても新しい発表があった。現在マイクロソフトと共に「AT&T Private 5G Edge」というサービスを開発中で、顧客がプライベートネットワークからAT&T社のパブリックネットワークにローミングできるようにするという。

同サービスは「Microsoft Azure private MEC」と「Azure Private 5G Core」を活用し、企業がライセンス周波数帯あるいはアンライセンス周波数帯でプライベートネットワークを展開するのを支援するサービスだ。また、「AzureパブリックMEC」(旧Azure Edge Zones)を補完するものでもある。AzureパブリックMECは、2021年7月にAT&Tがマイクロソフトに5Gクラウドスタックを売却した際にも売らずに保持していた数少ない自社開発インフラである「AT&T Network Edge」を基盤としている。

「AT&Tは長年にわたり、公共セクターの事業向けにパブリックネットワークとプライベートネットワークの展開を最前線で担ってきました。そして現在はマイクロソフトとともに、そうしたネットワークに統合プラットフォームの形でプライベートエッジコンピューティングをもたらそうとしています」。Chow氏は言う。

「AT&T Private 5G Edgeソリューションはコストやシンプルさ、柔軟性や使いやすさを重視する中小企業にも最適です。例えば、コンビニエンスストアでカメラと(AI)ツールを使って在庫や客足をモニタリングし、盗難の可能性などのセキュリティ問題をほぼ瞬時に特定できる様子を想像してみてください」と氏。

AT&T Private 5G Edgeの提供に関する詳細については、今年後半に発表するとしている。一方で、Google Cloudと共同でパブリックMECサービスを提供し、Amazon Web Servicesと2016年以来の協業を続けるなど、さまざまな5Gエッジ計画の提供も続けている。とはいえ、これらはオンプレミスのエッジ展開にあくまで限定されている。

 

ノキア・エリクソンと進めているRANの進捗を明らかに

また、IBMと進めている5Gワイヤレスネットワーキングとエッジコンピューティングでの取り組みについても最新情報を公開し、シミュレーション環境を用意して企業がAT&TのネットワークとIBMのハイブリッドクラウド、AI技術を体験できるようにしていることに触れた。両社はとりわけ製造業、医療、公共セクターでチャンスがあると強調した。

「当社にとって、この驚くほど勢いのある市場で今後もお客様や協力企業様の強固なエコシステムと力を合わせ、共創をしていくことは極めて重要なことです。IBM、Google、Salesforce、サムスン、ノキアをはじめ、業界中の仲間たちと一緒にイノベーションを模索していきます」。Chow氏は基調講演で語った。

RAN分野では、ノキアが先月末にAT&Tと協力して分散型Massive MIMOを開発中だと発表した。無線アンテナ技術の進化形で、上り回線の容量と速度が最大90%向上するという。

また、AT&Tは「Ericsson Street Radio 4402」のフィールドテストと展開を始めている。低・中帯域の5小型セルで、街灯に約15分で取り付けることが可能だ。

楽天シンフォニーとも「Site Manager」の導入契約を結んだ。最近ブランド名を変更したプラットフォーム「Symworld」の一部で、無線・有線ネットワークの設計とワークフローを迅速化するソリューションとなっている。

https://www.sdxcentral.com/articles/news/att-showcases-private-5g-massive-mimo-advancements/2022/03/

Matt Kapko
Matt Kapko Senior Editor

Matt Kapko, senior editor at SDxCentral, covers 5G network operators, radio access network suppliers, telco software vendors, and the cloud. He has been writing about technology since before the dawn of the iPhone, and covering media well before it was social. Matt can be reached at mkapko@sdxcentral.com or @mattkapko.

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Matt Kapko, senior editor at SDxCentral, covers 5G network operators, radio access network suppliers, telco software vendors, and the cloud. He has been writing about technology since before the dawn of the iPhone, and covering media well before it was social. Matt can be reached at mkapko@sdxcentral.com or @mattkapko.

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