クラウド
文:Emma Chervek

米デルがマルチクラウド管理を強化=マイクロソフト、VMwareと提携

米デルがマルチクラウド管理を強化=マイクロソフト、VMwareと提携

昨今、マルチクラウドや分散アプリケーション/分散データのモビリティをどう管理するかが企業にとって頭の痛い問題になっている。こうした課題の解決を支援するべく、米デル・テクノロジーズがマイクロソフト、レッドハット、VMwareと提携を結んだ。

デルは提携各社と共にマルチクラウドサービス「APEX」のポートフォリオ拡大に取り組む。自社のインフラやソフトウェアと提携企業のクラウドオペレーティング スタックを統合したターンキー クラウドプラットフォームを構築、分散環境に水平的な一貫性を持たせようという試みだ。

「Dell Technologies World」の開催に先立って行われた記者会見で、デルの製品マーケティング担当シニアバイスプレジデント、Sam Grocott(サム・グロコット)氏が次のように話している。「(世の企業は)大規模なマルチクラウド戦略、ハイブリッド戦略に転換・移行していくことに非常に苦労されています」。具体的には、各ワークロードをどの環境で実行するかを判断するのが難しい。選択肢としては、オンプレミス、エッジ、単一のクラウド、マルチクラウドがある。Grocott氏は「構成や設定が非常に複雑になり、管理が難しくなっています」と語り、こうした現状を「マルチクラウド・バイ・デフォルト」(成り行きによるマルチクラウド)と表現している。

マルチクラウド製品管理担当バイスプレジデントのCaitlin Gordon(ケイトリン・ゴードン)氏によると、デルがクラウドベンダー各社との提携を決めた背景には、現状よりもずっとシンプルな「マルチクラウド・バイ・デザイン」(計画によるマルチクラウド)の時代にしていきたいという意図があるという。「Dell APEX Cloud Platforms」の目的は、「そうしたシンプルなクラウド体験を信頼できる技術によって提供するとともに、お客様の望む環境でこれを実現できるという選択の自由と柔軟性を提供する」ことだと説明した。

 

デルのマルチクラウド環境設計

デルは「マルチクラウド・バイ・デザイン」の理想を追求するため、クラウドサービス事業者のマイクロソフト、レッドハット、VMwareと提携した。目標は各クラウド事業者向けの「APEX Cloud Platform」を開発することだ。Gordon氏によると、これによって顧客企業が「(ワークロードを)どこに展開するか、どの提携企業の製品を利用して展開するかを選べるようになる」という。

各プラットフォームは第一に水平的な一貫性を持たせることを念頭に置いて構築される。Apex Cloud Platformsはすべて、各種の「Dell PowerEdge」ハードウェアプラットフォーム、「Dell PowerFlex」を基にしたソフトウェア定義ストレージに加え、ファームウェアから「各提携企業のクラウドOSに至るまで」をカバーする自動管理・オーケストレーション機能を組み合わせたものになる。「こうしたスタックのどれを取っても一貫性のある体験が提供されることになります」とGordon氏は言う。

また、どのクラウドOSでもTime to Value(タイムトゥバリュー、TTV)の短縮が可能だ。各サービスは「イージーボタン」(押すと問題が解決するボタン)のようなもので、スタック全体を「継続的に検証」するとともに、ワンアクションでアップデートをプッシュ配信することもできるという。「これらすべてが連携して機能するように、絶えず同時アップデートができるようにしています」

最初にリリースされるのが「APEX Cloud Platform for Microsoft Azure」だ。デルの顧客企業がアプリケーションの最新化を真に加速するのに役立つだろう、とGordon氏は期待している。同プラットフォームは「Azure Arc」対応インフラとMicrosoftネイティブな各種管理ツールを使用、両ベンダーの協働による技術的工程を経て構築される。これらを組み合わせることで、「非常にシームレスなインフラという体験」を企業に提供するとしている。

「APEX Cloud Platform for Red Hat OpenShift」も同様で、コンテナベースのクラウドネイティブアプリケーション開発を加速させることが目的だ。「Red Hat OpenShiftの体験をシンプル化し、任意のデータセンターで開発環境を実現します。これを可能な限り迅速に行うことが目的です」

「APEX Cloud Platform for VMware」は、バックエンドにデルのソフトウェア定義ストレージを使用するとともに、ネイティブなVMwareの管理体験を提供することに重点を置いている。「(顧客企業は)当社のエンタープライズクラスのストレージを体験、性能、規模を享受でき、なおかつあくまでVMwareの管理という形で全体を維持できます」

「各プラットフォームはいずれも各環境でネイティブに利用できるように作られています」とGordon氏。「要するに、管理と…(中略)…ワークロードのポータビリティ、柔軟性を提供することが目的です」と語った。

Dell partners with Microsoft, VMware to improve multi-cloud management

Emma Chervek
Emma Chervek Reporter

Emma Chervek is a reporter at SDxCentral covering data center technologies and business cases, environmental sustainability, and cloud-native ecosystems. Emma lives in Denver with her dog Koby, and they go on the best walks in the world together. Emma can be reached at echervek@sdxcentral.com or @emmachervek on Twitter.

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Emma Chervek is a reporter at SDxCentral covering data center technologies and business cases, environmental sustainability, and cloud-native ecosystems. Emma lives in Denver with her dog Koby, and they go on the best walks in the world together. Emma can be reached at echervek@sdxcentral.com or @emmachervek on Twitter.

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