ドイツテレコム、AWS、VMwareが示すグローバルなプライベート5Gの可能性
ドイツテレコム、Amazon Web Services(AWS)、VMwareは、単一のインターフェースから管理できるハードウェアとソフトウェアを使用し、異なるプライベート5Gネットワークシステムを統合することに成功した。これにより、グローバルな通信ネットワークは、概念的な段階から現実化へと一歩を踏み出した。
複雑な本PoC(概念実証)では、ドイツテレコムのプライベート5G無線プラットフォーム、AWSのサービスとインフラ、VMwareの「Telco Cloud Platform」、米マベニアの無線アクセスネットワーク(RAN)およびコア機能を使用した。そしてデル・テクノロジーズの機器上で動作するOpen Grid Alliance(OGA)のアーキテクチャに基づいていた。
使用した5Gスタンドアロン(SA)ベースのプライベートネットワークは、チェコ共和国のプラハと、ドイツテレコムの米国子会社T-モバイルUSの本拠地であるシアトルに設置されていた。これらはドイツのボンにあるAWSインフラ上にホストされたマベニアの5Gコア機能に接続された。ここには今年初めに発表された同ハイパースケーラーの「Integrated Private Wireless on AWS」プラットフォームが使用されている。
米国拠点の5G SAプライベートネットワークは、VMwareのTelco Cloud Platform上で稼働するユーザープレーン機能(UPF)とRANを配置していた。このプラットフォームはまた、VMwareのSMO(Service Management and Orchestration)を使用し、マルチクラウド環境で動作するRAN、コア、アプリケーションを運用・管理するグローバルオーケストレーターとしての役割を果たした。
この統合は、プラハとシアトルのプライベートネットワークで稼働するビデオカメラを、映像コンテンツの分析にAI(人工知能)が使用できる映像分析アプリケーションに接続した。 また、プラハとボンの拠点を接続するために、デルのハードウェア上で動作する分散型エッジAIネットワーキングのためのOGAのアーキテクチャを使用した。
ドイツテレコムの技術アーキテクチャおよびイノベーション担当上級副社長であるKaniz Mahdi氏は、このPoCは異種多様なデータとネットワークを接続し管理するという、国際的な企業によるニーズの高まりをターゲットにしていると指摘した。
「多国籍企業は、公正でシームレスなアクセスを支える信頼性とソブリン性を持ったコンピューティングと通信の仕組みを求めています」と氏は述べた。
PoCはプライベート5Gの進捗の遅れを物語っている
本PoCは、関係者全員が積極的に取り組んできた結果、静かに推移していたプライベート5G市場を刺激するという目的の一環として進行中である。
ドイツテレコムは先月、MicrosoftのAzureプライベートマルチアクセスエッジコンピューティング(MEC)プラットフォームを利用したフルスタックのプライベート5Gネットワークサービスの商用利用を開始した。「Campus Network Smart」という名称の同サービスは、キャンパス環境に焦点を当てて設計されており、すでに定評のある同キャリアの産業用途向けのプライベートネットワーク事業を補完するものとなっている。
AWSはプライベートネットワーキングも積極的にターゲットとしている。本PoCで使用されている「Integrated Private Wireless on AWS」プラットフォームに加えて、スモールセルの無線ユニット、「AWS Outposts」サーバー、5Gコア、およびAWSが管理するハードウェア上で動作するRANソフトウェアを統合するPrivate 5Gプラットフォームも提供している。
本PoCを支えたその他のベンダーであるVMware、マベニア、デルも、まだ発展途上の同市場で地盤を固めようとしている。
調査会社IDCは、同市場が昨年の19億ドルから2027年末には52億ドルに急増し、その間に年平均成長率(CAGR)21%で堅調に推移すると予測している。しかし、最終的な予測は、IDCが以前予測した2026年までの全世界のプライベートLTE/5G無線インフラ収益83億ドルには遠く及ばない。
IDCのIoTおよび通信ネットワークインフラ担当リサーチマネージャーであるPatrick Filkins氏は、「LTEと5Gの両方が企業や産業界の課題に対応するために導入されており、プライベートセルラーネットワーク市場は引き続き前途有望です」と述べた。
Deutsche Telekom, AWS, VMware show global private 5G potential
電気通信、5G、無線アクセスネットワーク(RAN)、エッジネットワーキングを専門とし、電気通信分野を20年以上担当している。
SDxCentral入社以前は、RCR Wireless Newsの編集長を務めていた。
連絡先:dmeyer@sdxcentral.com
Twitter:@meyer_dan
LinkedIn:dmeyertime
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