ストレージサービスの米Dropboxはデータセンターのストレージサーバを100％再生可能エネルギーで稼働させており、これによって2030年の目標を9年前倒しで達成したと発表した。

データセンターの物理インフラを統括するLatane Garetson氏はSDxCentralのインタビューに対し、同社全体としての目標は温室効果ガスの排出量を削減することだと語った。

Dropbox社は当初、ハードウェア効率を高めてデータセンターの稼働に必要なエネルギー量を減らすことに注力していたが、その後、カーボンオフセットや再生可能エネルギークレジットに目を向けた。

「ほとんど（の企業）は（カーボン）フットプリントを残しつつも、資金を投じてそれを相殺することができます。当社の戦略はまず実際の排出量を削減することでした。次に（カーボン）オフセットを実施し、これ以上のオフセットはできないとなれば、再生可能エネルギークレジットを購入するというものになっています」とGaretson氏は言う。

Dropbox社、CPUのアイドル時の速度を下げる

Garetson氏によると、データセンターに「HDDスタンバイ」と呼ばれる新しい状態を導入することで、消費電力を半減させる計画もあるという。この状態では、データセンターのCPUは一般的なアイドル速度よりも低い速度でアイドルし、高いエネルギー効率を実現する。

CPUのアイドル速度を下げると、「必要なデータにたどり着くまでに少し余計に時間がかかりますが、お客様やユーザー様には全く影響はありません」とGaretson氏は説明する。

氏はHDDスタンバイの省エネ効果について、車を停車中にギアをドライブにしておくよりも、パーキングにしておいた方がガソリンの節約になるのと似ていると話す。「アイドリング状態よりもガソリンを無駄にしないで済みます」。同じ原理がCPUのアイドル速度にも当てはまる。

データセンターによるエネルギー消費のうち、もう1つの大きな要因は、何千台ものサーバを冷却していることだ。多くのデータセンターではオーバーヒートを防ぐために部屋全体を冷却しているが、Dropbox社ではサーバを直接冷却している。

「当社では格納スペース内だけを冷却しようとしています。外の部屋ではなく、サーバだけを冷却するのです」とGaretson氏は説明する。

また、データセンターの容量計画を毎月行うモデルに移行した。Garetson氏によれば、毎月ストレージサービスを監査し、何も保存されていないサーバが稼働して電力を使用することのないよう確認することができるようになるという。

「これにより、より多くのデータポイントから信頼性の高いモデルを構築することが可能になります。アカウンタビリティが向上し、容量計画において迅速で機敏な変更が可能になるでしょう」。Garetson氏はブログ記事で述べている。

Dropbox社は過去18ヶ月間でデータセンターからのカーボンフットプリントを15%削減したと発表した。Garetson氏は同社の今後の持続可能性に関する進展についても楽観的な見方をしている。「私たちはいち早く取り組みを始めました。目標よりもこれだけ早く進んでいることをとても誇らしく思っています」と氏。「今後もずっと、これを維持していくつもりです」

https://www.sdxcentral.com/articles/news/dropbox-achieves-100-renewable-data-center-target/2021/08/