Sustainability
文:Emma Chervek

GlobalFoundries、TSMCが半導体分野の持続可能性研究に参加=既存メンバーにAmazonとMicrosoft

GlobalFoundries、TSMCが半導体分野の持続可能性研究に参加=既存メンバーにAmazonとMicrosoft

半導体研究機関IMEC(Interuniversity Micro-Electronics Centre)の「Sustainable Semiconductor Technologies and Systems」(SSTS、持続可能な半導体技術・システム)研究プログラムにチップ製造大手のGlobalFoundries、サムスン電子、TSMC(台湾積体電路製造)が参加を決めた。既存メンバーとしては広くIC業界のエコシステムからApple、Meta、Microsoft、Amazon等が参加しており、3社もここに加わり「集積チップの製造による (環境への) 影響評価」に取り組むという。SSTSのプログラムディレクター、Lars-Ake Ragnarsson(ラース=エイク・ラグナルソン)氏が米SDxCentralの取材で語った。

「持続可能性を検討する際には、サプライチェーン全体を巻き込むことが極めて重要です」。Ragnarsson氏は新メンバーの重要性を強調しながら語った。たとえば、モバイルデバイスが環境に与える影響の75%は製造工程に関わる部分で発生、37%以上が集積回路(IC)の製造で発生しているという。「大きな割合を占めています」と氏は強調した。

「SSTSの成功は、IC業界のバリューチェーン全体から関係企業の積極的な関与があるかにかかっています」。IMECのCEO、Luc Van den hove(リュック・バン・デン・ホーヴェ)氏も補足する。

IMECは業界の環境への影響を正確に評価するため、大手ファウンドリの参加と、ファウンドリが秘匿している詳細な企業秘密の活用を必要としていた。「ファウンドリ企業には是非とも加わっていただき、私たちを教え導き、一緒に結果のベンチマークをしていただきたいと考えています。そうすれば他のパートナー企業すべてに対して価値の高い情報を提供することが可能になります」。Ragnarsson氏が説明している。

ファウンドリ企業の参加はロジック技術だけでなくメモリ技術においても重要だ。SSTSの研究領域にはメモリ技術も入っている。「SSTSの結果とファウンドリ各社の結果を比較して、一緒にベンチマークをすることが不可欠です」と氏は語った。

 

影響評価、運用改善、慣習の破壊、意思決定者への情報提供

SSTS研究プログラムは参加費で運営されており、参加企業には十分な見返りとして研究成果の利用権が提供されている。理念としてはIC業界全体の持続可能性の水準を高めることを目的に掲げ、これを達成するためのいくつかの柱を中心に同プログラムは構成されている。

1つ目の柱「評価」はICの製造が環境に与える影響の測定を扱う。2つ目の柱「改善」は、Ragnarsson氏の説明によれば、「評価やその他の研究で得た知識を活かし、半導体の製造・運用による環境への悪影響や炭素排出量を低減できる有効なプロジェクトを定義すること」だという。

3つ目の柱「破壊」では、IC業界のエコシステムを「広く全体から」捉え、革新的かつ主流でない製造プロセスのうち、どのようなものが環境への影響を有意に低減させ得るのかを明らかにする。最後の柱としてIMECが注力するのは、気候変動にIC業界が影響している部分について、政策立案者やパートナー企業に対しどう情報共有するかということだ。

「これまでのところ、最もうまく行っているのは明らかに『評価』の部分です。『改善』は現在大きく進展していますが、まだ評価が必要です」とRagnarsson氏は指摘する。現在利用可能な各種のデータベースは、半導体に特化した材料やプロセスのライフサイクルインベントリデータが「先進的なものについては非常に不足している」状態だという。「これに関しては、技術製品がどのように作られるのかをよく理解しているIMECが役割を担える部分です。知識を活用することで、環境への影響を細部から全体にわたって把握することができるでしょう」

 

半導体サプライチェーンの持続可能性=様々な取り組み

半導体業界の温室効果ガス排出量削減を目指しているプログラムはIMECのSSTSだけではない。たとえば、業界団体SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)の「Semiconductor Climate Consortia」(半導体気候関連コンソーシアム)も業界のサプライチェーン排出量に関する取り組みに注力している。創設メンバーの1社はインテルだ。

インテルは現在のところSSTSには参加しておらず、その意向も示していないが、インテルの広報担当者は米SDxCentralの取材に対し、「温室効果ガス排出量ネットゼロに向けて半導体製造を改善しようとしているいくつかの業界コンソーシアムに参加する計画があります」「このミッションの達成に貢献しようとしているすべての業界団体の取り組みを歓迎しています」と話している。

GlobalFoundries, TSMC join Amazon, Microsoft in semiconductor sustainability research

Emma Chervek
Emma Chervek Reporter

Emma Chervek is a reporter at SDxCentral covering data center technologies and business cases, environmental sustainability, and cloud-native ecosystems. Emma lives in Denver with her dog Koby, and they go on the best walks in the world together. Emma can be reached at echervek@sdxcentral.com or @emmachervek on Twitter.

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Emma Chervek is a reporter at SDxCentral covering data center technologies and business cases, environmental sustainability, and cloud-native ecosystems. Emma lives in Denver with her dog Koby, and they go on the best walks in the world together. Emma can be reached at echervek@sdxcentral.com or @emmachervek on Twitter.

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