COVID-19の感染者数が世界的に増加している一方で、世界規模の通信業界団体GSMアソシエーションは旗艦イベントのMWCバルセロナについて、あくまで予定通り7週間後には開催すると主張している。

同団体は現在苦境にあるが、原因は2020年に同イベントを33年ぶりに中止せざるを得なかった影響が今も残っているためだ。この時の中止発表は開催まで残り2週間足を切っていた。

新型コロナが世界を席巻した当初から、GSMアソシエーションを含め、ほとんどのイベント主催者にとってつらい状況が続いている。

通信業界最大かつ最も重要な団体であり、年間収益の約80％をMWCバルセロナから得ていると言われるGSMアソシエーションは、2020年6月までに従業員の約5分の1にあたる200人を削減した。

その後のイベントは夏に延期された2021年のMWCバルセロナやほぼ不発に終わった直近のMWCロサンゼルスを含め、いずれも参加者が少なくなっている。

MWCバルセロナは予定通りに開催

「世界の状況が変わり続けるなか、1つのことが明らかになりつつあります――私たちは今後何年も、COVID-19の影響に対処していくことになりそうだということです」。GSMアソシエーションのCEO、John Hoffman氏は予め用意したステートメントで述べている。

「このことと、現在の状況ではインターネット接続が非常に重要なものになっていることを考慮いたしまして、GSMアソシエーションが計画の変更を検討するのはスペイン当局からの指示があった場合のみといたします」と氏は続けている。

2021年に上海、ロサンゼルス、バルセロナで開催した各年次イベントと同様、地元の公衆衛生当局と連携し、スタッフ、出展者、サプライヤー、参加者の安全確保に努めるとした。MWCバルセロナ2022への参加には、COVID-19のワクチン接種証明書、有効な治癒証明書、または72時間以内の検査による結果（陰性）が必要となる。

GSMアソシエーションはその上で150カ国から1,500以上の出展者や参加者を見込んでおり、パンデミック発生当初から行っているようにプログラムのオンライン視聴も可能にするとした。

「この2年間で多くの変化がありましたが、業界全体で再び集うという私たちの決意に変わりはありません。コミュニティの全てのメンバーは互いを助け合っていきましょう」。Hoffman氏は述べている。

イベント主催者の苦闘が続く

こうした例はもちろんGSMアソシエーションだけではない。新型コロナ感染の波が繰り返し発生する中で、世のイベント主催者は2020年初頭からほとんどずっと奔走し続けている。

今月はCES 2022が予定通りに開催された。2021年は完全にオンラインで開催されたものの参加者はまばらで、日程が1日短縮されている。毎年恒例のRSAカンファレンスは予定を2月上旬から6月に延期、ハイブリッドイベントとなる予定だ。ゲーム見本市のE3は6月に開催予定だったショーの中止が今月発表された。

大企業や業界イベントの主催者の中には、パンデミックの間にも幸運に恵まれて感染拡大や入院患者増加の波の合間に対面式イベントを押し込むことができたところもある。

あらゆる人々が学んだひどい現実だ。個人の状況やパンデミックの状況によって、ある週は比較的安全だと感じられ、次の週はどう転んでもおかしくないと感じられることがある。

イベントの主催者、出展者、参加者がいずれもこうした気落ちする現実が繰り返されている状況にあるなか、リアル開催の業界イベントの見通しはますます不透明になっている。ひとつの疑問が生まれている――見本市はもう終わりを迎えるのだろうか。

パンデミックで何度も痛感させられてきたのは、計画は変更される可能性があるし、ほぼ間違いなく変更されるということだ。少なくとも現時点ではいくつかの大規模なイベントが計画通りに推し進められており、ひどい状況でも最大限の成果を上げようとしていることが伺える。一方で、それ以外のイベントについては2022年の大半の期間、純粋なデジタル形式での開催が続くことになりそうだ。

https://www.sdxcentral.com/articles/news/gsma-mwc-barcelona-must-go-on-covid-be-damned/2022/01/