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文:Tobias Mann

インテル、次世代DPUを発表=FPGA「Agilex」とASICが基盤

インテル、次世代DPUを発表=FPGA「Agilex」とASICが基盤

米インテルは8月に開催した年次イベント「Architecture Day」で、アクセラレーション開発プラットフォーム(ADP)の最新版のほか、2つの新しいインフラストラクチャー・プロセシング・ユニット(IPU)を発表した。

インテルがこれらのIPUについて最初に予告したのは、6月に開催された「Six Five Summit」でのことだった。IPUというのはDPU(データ・プロセッシング・ユニット)あるいはSmartNICと呼ばれる製品にインテルが付けた名称だ。IPUはプログラミング可能なネットワーキングデバイスで、CPUからデータ処理や通信のタスクをオフロードする役割を持つ。これによって利益を生むワークロードにクロックサイクルを割り当てることができる。

インテルによると、最新のクラウドネイティブなワークロードでは、CPUの最大80%が入出力 (I/O) のオーバーヘッドによって消費されている可能性があるという。インテルは通信ワークロードをCPUからIPUに移行することでこうしたリソースを解放し、さらに多くのアプリケーション・インスタンスを実行したり、データセンター全体の効率を高めたりすることができる。

 

インテルの新しいIPU

インテルの最新IPU(コードネームはMount Evans、Oak Springs Canyon)は、「N6000」と呼ばれるアクセラレーション開発プラットフォームの最新版とともに発表された。

Oak Springs Canyonが最初に発表された。FPGA「Agilex」を進化させたもので、100Gb/sのインターフェイスを2つ搭載し、インフラの高速化を実現する。これにより、通信サービス事業者が100Gb/sネットワークを構築する際のニーズを満たす理想的なカードになっている、とインテルは主張する。

インテルは2019年初めにAgilexを発表したが、この10 nm FPGAの販売を開始したのはようやく今年、「Ice Lake Xeon」スケーラブルプロセッサの発表に合わせてのことだった。

Agilexの基盤をベースにしたIPUはOak Springs Canyonだけではない。アクセラレーション開発プラットフォーム「N6000」もFPGAから派生したもので、イーサネットコントローラ「E810」の要素を持っている。

インテルによれば、N6000はインテルベースのサーバ向けに設計されており、通信事業者がジュニパーネットワークスのプラットフォーム「Contrail」、Open vSwitch、IPv6データプレーンでのセグメントルーティングなどといったワークロードを高速化するのに役立つという。

Mount Evansは従来のFPGAベースのIPUやSmartNICとは一線を画し、ASICを中心に構築されたパケット処理エンジンを採用している。インテルによると、同プラットフォームは損失のあるネットワークに関連するロングテールレイテンシの問題を解決するためにある匿名の通信サービス事業者と共同で開発したという。

「このASICは、vSwitchオフロード、ファイアウォール、仮想ルーティングなどの多くの既存ユースケースを支えるとともに、将来のユースケースのための大きな余裕も備えています」。インテルでネットワーキング&エッジグループのVPを務めるPatricia Kummrow氏は、最近のブログ記事に書いている。

さらに、統合済みのNVMeコントローラ「Optane」を使用して、高いIOPSでNVMeデバイスをエミュレートすることができる。

 

インテル、分散コンピューティングに照準

Kummrow氏の説明によると、インテルはこれらのIPUについて、ネットワーキングの高速化、ストレージ、セキュリティ、インフラ処理という4つの主要な利用パターンをターゲットにしているという。

最初の3つは通常CPUが処理する特定の機能をオフロードするという単純なものだが、インフラ処理はIPUにとって「おそらく最も洗練された用途」だとKummrow氏は指摘する。

氏の説明によると、インフラ処理の場合、ハイパーバイザーサービスや管理機能のオフロードが必要になるという。

実際、インテルがVMware社と共同で進めている「Project Monterey」では、この点が重要な目標となっている。同プロジェクトではVMware社のvSphereソフトウェアスタック全体をDPUまたはIPUにオフロードすることを目指している。

 

DPUの競合は多い

DPU技術を追求しているのはもちろんインテルだけではない。実際、Nvidia社、ザイリンクス、マーベル、Fungible社(いずれも米)といったライバル企業がいずれも同じような成果を約束する製品を発表しており、競争は激しい。

2019年にイスラエルのMellanox社を買収したNvidia社は、最近、DPU「BlueField」の第3世代について詳細を明らかにした。同社によるとこのDPUは2022年の発売で、最大でCPUコア300個分のI/Oタスクをオフロードできるという。

マーベルとザイリンクスは最近になって独自のDPUを発表した。ザイリンクスの最新FPGA「Versal」は広帯域メモリを搭載。マーベルはエッジスイッチ、SD-WANアプライアンス、ルータ、ファイアウォール、PCIe NICカードなどの組み込みアプリケーション向けプラットフォーム「Octeon 10」を発表している。

https://www.sdxcentral.com/articles/news/intel-agilex-fpga-asics-power-next-gen-dpus/2021/08/

Tobias Mann
Tobias Mann Editor

Tobias Mann is an editor at SDxCentral covering the SD-WAN, SASE, and semiconductor industries. He can be reached at tmann@sdxcentral.com

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Tobias Mann is an editor at SDxCentral covering the SD-WAN, SASE, and semiconductor industries. He can be reached at tmann@sdxcentral.com

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