OPEN-RAN
文:Matt Kapko

オープンRANの時代は来る=米ジュニパーネットワークスCTO談

オープンRANの時代は来る=米ジュニパーネットワークスCTO談

ジュニパーネットワークスCTOのRaj Yavatkar氏はMWCバルセロナ2022に参加後、オープンRANアーキテクチャについてますます見通しは明るく大きなチャンスがあるという感覚を強くして帰国した。

氏が会場で話をした多くの通信事業者、特に欧州に拠点を置く通信事業者は、2023年からの商用展開に向けて今年中にオープンRANのフィールドテストを開始する予定だと話したという。

「オープンRANが実現するかどうかは問題ではありません。いつ始まるのかという問題なのです」。氏はSDxCentralの電話取材に対して語った。

RANに分離型コンポーネントとオープンインターフェースを利用するアプローチには多くの課題とリスクがあるものの、進歩したポイントがいくつかあり、それがYavatkar氏の楽観的な見方を後押ししている。氏によると、ジュニパーのような企業は標準開発団体「O-RAN Alliance」で既存のRAN企業よりも大きな影響力を持っているが、同団体で通信事業者と議論する内容は理論的なものから応用や試験運用、テストといったものへどんどん移行してきているという。

また、Yavatkar氏は将来的にRAN契約を複数のベンダーに分散させることを求める通信事業者が増えると確信しており、特に無線ユニット(RU)、分散ユニット(DU)、集中ユニット(CU)を同じベンダーが供給することはできなくなるだろうと考えている。

「通信事業者各社はIT企業になろうと努めています」と氏は言う。「彼らはハイパースケーラーがローカルゾーンを利用してどんどん自分たちの世界に進出してくるのを目の当たりにしています。ハイパースケーラーはエンドユーザーや企業との間にあるラストマイル問題の解決を進めており、そうなれば通信事業者が締め出される結果となります」

通信事業者はシンプルな接続プロバイダになることを嫌がっており、オープンRANをそのような結果を避けるために自由に使える数少ないツールの1つとみなしている。

 

ジュニパーCTO、キャリアに「スタンスを決める」よう発破をかける

「私は通信事業者の友人たちにスタンスを決めるべきだと言い続けています」とYavatkar氏。強固なオープンRANエコシステムの構築を目指して通信事業者やベンダー、ソフトウェアプロバイダが団結して戦わない限り、既存事業者が破壊的変革との戦いに勝つだろうと氏は言う。

氏によると、この緊張関係はO-RAN Allianceでも発生しているという。例えば、ノキアはO-RAN Allianceのフロントホール仕様で定められたDUとRU間の分割に関する「オプション7.2」を変更したがっているが、これは垂直統合型の部品をより多く販売し続けたいためだという。

「ノキアやエリクソンのような従来のベンダーは、オープンRANについてはリップサービスをたくさんしています。その中で、彼らは自分たちがすべてを提供するが、(そうしたコンポーネントは)オープンRANインターフェースに準拠したものになると言うのです」。Yavatkar氏は言う。「しかしそれではそもそもの目的がだめになってしまいます。オープンで相互運用可能なインターフェースに準拠したさまざまなコンポーネントを提供するプレイヤーによる、幅広いエコシステムを構築することができなくなってしまうのです」

 

オープンRANが直面しているリスク

リスクがあるのはそこだと氏は言う。ノキア、エリクソン、サムスンなどの既存企業は、オープンRANに対応した製品だとアピールするかも知れないが、通信事業者には自社の垂直スタックを利用するよう求めているという。

とはいえ、既存のRAN市場で起こったようにオープンRAN市場全体が少数のベンダーに支配されるような兆候は今のところ見られないという。オープンRANをターゲットにしているベンダーの数や規模から考えて、ますます多くのプレイヤーが活動の一部を担っていくと氏は期待している。

Yavatkar氏によると、小規模な無線ベンダーや、それよりは少ないが一部のソフトウェアベンダーの買収を始めとして、今後も企業合併が続くという。ジュニパー社が同分野で買収を行う意欲があるかについてはコメントを避けた。

一方で、同社は最近インテルとの提携を拡大している。6カ月前にはRANインテリジェントコントローラー(RIC)をインテルのFlexRANプラットフォームと統合し、オープンRANの開発を進める計画を発表していた。ジュニパーのRICはO-RAN Allianceの方針に従いオープンインターフェースとAPIに準拠しているが、その上に追加した個別機能はプロプライエタリなものだ。

同社は2021年にトルコの通信大手Turk Telecom Groupの子会社、Netsiaとライセンス契約を結び、RICのソースコードと特許に対する独占権を提供することでRAN分野に参入した。ジュニパーは通信事業者が他のサービスと組み合わせたより包括的なサービスの一部としてRICを採用できるよう、同技術の事前統合と検証を進めて差別化を図る考えだ。

また、2021年後半にはインテルや楽天シンフォニーとともにオープンRAN環境のセルサイト展開をシンプル化するエッジコンピューティング機器を開発する取り組みにも参加している。同機器「Symware」はコンテナ化セルサイトルーティング機能を備え、シングルラックの汎用サーバーを利用したコンテナ化DUを搭載している。

https://www.sdxcentral.com/articles/news/juniper-cto-open-ran-will-have-its-day/2022/03/

Matt Kapko
Matt Kapko Senior Editor

Matt Kapko, senior editor at SDxCentral, covers 5G network operators, radio access network suppliers, telco software vendors, and the cloud. He has been writing about technology since before the dawn of the iPhone, and covering media well before it was social. Matt can be reached at mkapko@sdxcentral.com or @mattkapko.

Matt Kapko
Matt Kapko Senior Editor

Matt Kapko, senior editor at SDxCentral, covers 5G network operators, radio access network suppliers, telco software vendors, and the cloud. He has been writing about technology since before the dawn of the iPhone, and covering media well before it was social. Matt can be reached at mkapko@sdxcentral.com or @mattkapko.

記事一覧へ