米MavenirのCTO、米DishによるAWS上での5GオープンRAN構築について詳述
5GオープンRAN構築を進める米Dish Networkは、Amazon Web Services(AWS)のクラウド上で可能な限りのものを実行する計画だ。これは無線ネットワークインフラの分野にとって重要な第一歩だと言える。この活動には数十社のベンダーがソフトウェアやハードウェアを提供しており、このアーキテクチャは理解するのがことさら困難なものになっている。
そうしたベンダーの1社、米MavenirはこのオープンRAN構成の中でも独特の位置を占めている。Mavenir社のEVP兼CTO、Pankajakshan氏はDish社の戦略について、「CU(Central Unit)をAWSに配置してDU(Distributed Unit)部をVMwareに残す、AWS上でのハイブリッド展開」だと説明する。
Mavenir社は今夏、オープンRANソフトウェア製品をAWSにネイティブに統合した。その後もオープンRANのCUソフトウェアをAWS上で稼働させることに注力しており、「すでに稼働が始まっています」と氏は言う。
Mavenir社のオープンRAN CUは「Amazon Elastic Kubernetes Service」(EKS)上で動作しており、「AWSのKubernetesディストリビューションをネイティブに利用しています。AWSが提供するCI/CDパイプラインを利用しているため、イメージを提供してやれば、クラウドネイティブなCUなので、イメージを取り込み、AWSのEKSディストリビューションに統合、オンボードすることができます」とPankajakshan氏は言う。
「Dish社による構築のケースでは、パブリッククラウド自体にはVMwareは存在しません」と氏は言う。Pankajakshan氏によると、通信事業者にしてみればこれによってサードパーティへの依存や二重コストが解消されるとともに、監視やCI/CD、最終的にはオーケストレーションなど、AWSが提供する各種のツールを直接利用できるようになるという。
VMware社とRed Hat社、Dish社のオープンRAN DUで役割縮小を予測
延期を繰り返してきたDish社のネットワークにおいて、DUはまた別の問題だ。「DU自体はVMwareクラスター上で実行されています」と氏。また、「DUは来年、AWSの『Graviton2』を搭載したサーバに移行される予定です」としている。
AWS製プロセッサが進化すれば、VMware製のミドルウェア層は事実上、DUに不要になる。Pankajakshan氏の説明によると、RANのDUにはミリ秒未満という厳しい処理要件があるため、どのようなケースであっても新しいアーキテクチャ(今回はパブリッククラウド)への移行が最もしにくい部分だという。
Mavenir社も他のベンダー各社も、オープンRANのCUをパブリッククラウドに配置し、それによってミドルウェアのKubernetesディストリビューションやポータビリティの必要性が無くなるような進歩があると予測している。一方で、Pankajakshan氏は完全な移行が行われるとは考えていない。
「VMwareディストリビューションやVMwareのソリューションのあり方は、少なくとも一部の通信事業者においては今後も存続していくと思います。VMwareが提供するすべてのツールを活用できるという柔軟性を取るところはあるでしょう。Red Hat OpenShiftについても同じことが言えます」と氏は言う。
「必要な時にだけ利用するという選択肢もあります。その場合、アプリケーションもマルチクラスタ環境に対応できるように進化させる必要があります」とPankajakshan氏は説明する。
Mavenir社はオープンRANソフトウェア製品をまだ他のクラウド事業者とは統合していない。氏によれば、Dish社は今も「無線もAWSに乗せるという点では最も進んでいる通信事業者」だという。ほとんどの通信事業者は、まだ5Gコアネットワークをパブリッククラウドに置くことに注力しており、RANには手を付けていない。「無線に関しては、Dishが最前線にいると言えるでしょう」
Matt Kapko, senior editor at SDxCentral, covers 5G network operators, radio access network suppliers, telco software vendors, and the cloud. He has been writing about technology since before the dawn of the iPhone, and covering media well before it was social. Matt can be reached at mkapko@sdxcentral.com or @mattkapko.
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