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文:Tommy Clift

Microsoft Azure、宇宙関連の新サービスを発表

Microsoft Azure、宇宙関連の新サービスを発表

マイクロソフトが衛星向けプラットフォーム「Azure Space」のアップデートを発表した。

アップデートの内容としては、まず「Orbital Cloud Access」が登場している。光ファイバーネットワーク、セルラーネットワーク、衛星ネットワークの橋渡しをして統合クラウドへの接続を提供するサービスだ。また、「Orbital Ground Station」によってさまざまな航空宇宙企業が社内から衛星を操作することが可能となった。他には衛星通信ネットワークのデジタル変革を実施、衛星事業者がアナログハードウェアやベンダー独自のシステムを仮想化してクラウドスタックに加えるのを支援している。

「これらは2つの重要な目的に対して効果を発揮します」。マイクロソフトの戦略的ミッションおよび技術担当上級副社長、ジェイソン・ザンダー(Jason Zander)氏が自社ブログに書いている。目的の1つ目は「マイクロソフトのクラウドによって広く接続やデータ利用を可能にし、宇宙ビジネスが持つ可能性を『民主化』すること」、2つ目は「柔軟かつスケーラブルなコンピューティングによって宇宙産業のお客様やパートナー企業様のデジタル変革を支援できるようにすること」だとした。

 

「チャーリー、転送を頼む」:Azureが衛星技術にも進出

宇宙という最後のフロンティアに向けたマイクロソフトの取り組みは2019年にさかのぼる。この年「Azure ExpressRoute」プラットフォームを立ち上げ、衛星事業者のSES、ヴィアサット(Viasat)、インテルサット(Intelsat)と立て続けに提携を結び、Azureクラウドサービスの提供先を遠隔地やファーエッジの放送局、企業、政府機関に拡大した。

翌年には「Azure Space」の取り組みを開始、データセンターやクラウドインフラを拡大している。ユーザーや市場からの期待は高い。スウェーデンの調査会社ベルグインサイト(Berg Insight)の予測では、衛星IoT市場の規模は2020年末の340万接続から2025年には1,570万接続に成長するとしている。米アライドマーケットリサーチ(Allied Market Research)によると、世界の衛星データサービス市場の総売上高は2020年の60億ドル(約8,660億円)から2030年には460億ドル(約6兆6,360億円)近くまで急伸するという。

Azureの最新の進展の中でも、「Orbital Cloud Access」は米スペースX(SpaceX)の衛星コンステレーション「スターリンク」(Starlink)に接続、Azureの各種エッジサービスを利用して地球上のどこからでもクラウドへのアクセスを可能にする新しいサービスだ。これは5Gと衛星通信を統合しようという取り組みの一環で、特にフェイルオーバー接続が必要なケース、中でもファーストレスポンダー向けや自然災害対応のケースに向けたサービスとなっている。

「光ファイバーネットワーク、セルラーネットワーク、衛星ネットワークをつないでこれほどの規模で接続範囲を拡大するとなると、接続に関する新しいアプローチが必要になります。こうした選択肢の中からインテリジェントにトラフィックの優先順位付けをし、回復力のある接続をブリッジしてシームレスなクラウド体験を実現しています」。ザンダー氏が説明している。

「Azure Orbital Ground Station」の全顧客向けの提供開始も発表された。これにより、インド発のピクセル(Pixxel)、米ロフト・オービタル(Loft Orbital)、米ミュオン・スペース(Muon Space)といった企業がパートナーエコシステムとの衛星接続を統合できるようになり、より信頼性の高いクラウドからの操作が可能になる、とザンダー氏は胸を張った。

さらに、衛星通信ネットワークのデジタル化を推進する取り組みの一環として、SESとの提携を拡大した。「Satcom Virtualisation Program」(衛星通信仮想化プログラム)を発表、統合・仮想化を通じた衛星産業の改善に取り組むとした。

同プログラムでは「業界の幅広いエコシステムを通じて」完全仮想化した衛星・地上ネットワークを構築、ソフトウェア無線やCE端末から新しいVNF(仮想ネットワーク機能)やエッジクラウドアプリケーションに至るまで、あらゆるものを提供することを目指すという。

マイクロソフトは今年の第4四半期にプログラム参加企業を募るRFPを発行する予定で、「この新しい業界エコシステムの種を蒔きたい」と述べている。

「衛星・地上ネットワークのカスタマーエッジは遠隔地にあることが多く、モデムやエッジ端末、その他の専用ハードウェアをアップグレードするのはコストのかさむ複雑な作業となっています。オープンかつ標準化されたハードウェアがあり、ソフトウェアによるプログラミングやアップグレードが可能な機能があれば、衛星・地上ネットワークはシンプルにクラウドネイティブなネットワークを拡張したものになるでしょう」。マイクロソフトは述べている。

https://www.sdxcentral.com/articles/news/microsoft-and-ses-virtualize-satellite-ground-networks/2022/09/

Tommy Clift
Tommy Clift Reporter

Tommy Clift is a Reporter at SDxCentral covering telecom technology and services, rural carriers, broadband access, and diversity and inclusion. He is a graduate from from Colorado University Denver with a degree in music business and a minor in film writing. Tommy’s writing background comes from working in diversity and inclusion, news and arts reporting, grant writing, scriptwriting, as well as artist-collective journalism and event curating. He can be reached via email at tclift@sdxcentral.com.

Tommy Clift
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Tommy Clift is a Reporter at SDxCentral covering telecom technology and services, rural carriers, broadband access, and diversity and inclusion. He is a graduate from from Colorado University Denver with a degree in music business and a minor in film writing. Tommy’s writing background comes from working in diversity and inclusion, news and arts reporting, grant writing, scriptwriting, as well as artist-collective journalism and event curating. He can be reached via email at tclift@sdxcentral.com.

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