米調査会社IDCによると、昨年の世界のパブリッククラウドサービス市場ではマイクロソフトがSaaS（Software as a Service）での強みを活かし、クラウド事業で競合するAmazon Web Services (AWS) を抑えて最大のシェアを獲得している。

マイクロソフトは昨年の同市場の売上高4,086億ドル（約55兆8,460億円）のうち14.4％を占め、AWSの13.7%をわずかに上回った。IDCの調査報告ではパブリッククラウドサービス市場をIaaS（Infrastructure as a Service）、PaaS（Platform as a Service）、システムインフラSaaS、アプリケーションSaaSの4つのセクションに分けており、マイクロソフトは全セクションでサービスを提供している。

また、上位5社の残り3社はSalesforce、Google、SAPとなっており、この3社で40%のシェアを占めた。市場の売上高は前年比29%増となっている。

クラウドサービスの売上高が最も多かったのはSaaSアプリケーションで、前年比23.5%増の1,778億ドル（約24兆3,010億円）だった。IaaSが913億（約12兆4,790億円）ドル、システムインフラSaaS、PaaSの順に続く。

IDCによる4カテゴリーの中ではPaaSが前年比39.1%増と最も高い伸びを示したが、売上高は最も低い682億ドル（約9兆3,220億円）となっている。

「企業によるシェアード（パブリック）クラウドサービスの積極的な導入は2021年も続きました。狙いはIT投資をビジネスの成果に密接に結びつけ、デジタルファーストの事業に必要な新しい手法を迅速に利用可能にすることです」。IDCのバイスプレジデント、リック・ヴィラール（Rick Villars）氏が述べている。

戦略的意思決定のためのクラウド

IDCのPaaSリサーチディレクター、ラーラ・グリーデン（Lara Greden）氏の説明によると、世の中のデジタル化が進む中で、先のことをしっかりと考えている企業はビジネス成果の観点から戦略的な意思決定を行っており、それによってパブリッククラウドエコシステムの成長が促進されているという。

クラウドサービス事業者はデベロッパーの生産性の改善、アプリケーションデリバリーの迅速化を目指す「絶え間ない取り組み」によって成長の一翼を担った。コンテナファースト、サーバーレスファーストのアプローチにも力を入れている、とグリーデン氏は述べている。

ヴィラール氏の予測では、企業がサプライチェーンの混乱やインフレ、地政学的緊張といった市場における慢性的な課題の解決に取り組む中で、クラウド事業者は今後も非常に重要な支援的役割を担っていくとしている。

「また、企業のITチームはパブリッククラウドサービスの従量課金モデルに対するアカウンタビリティの強化についても力を入れていくと思われます」。ヴィラール氏は補足している。

https://www.sdxcentral.com/articles/news/microsoft-bests-amazon-as-top-public-cloud-idc-reports/2022/07/