Microsoft Azureのエグレス料金が無料に=AWS、Googleに追随
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アナリストが予想していなかった動きだが、Amazon Web Services(AWS)、Google Cloudという競合からの圧力が功を奏したようだ。マイクロソフトが13日、2社の動きに追随、Microsoft Azureからインターネットへのデータ転送に伴う手数料の廃止を発表した。
「当社はお客様の選択の自由を支持します。お客様がAzureからデータを移行されるという選択もその1つです」とマイクロソフトの更新情報にはある。とはいえ、今回エグレス料金が無料になるのは、AzureからAzure Storageのデータをインターネット経由で他のパブリッククラウドやオンプレミスデータセンターに移行する場合に限られる。
欧州データ法の制定や、AWS、Google Cloudによる無料化に促される形で、AzureでもすべてのAzureリージョンで60日間使える、月当たり100GB分のデータ転送クレジットが提供されるようになった。
IT部門の対応としては、Azureからデータを移行する際には事前にマイクロソフトに通知する必要がある。リクエストが承認されたら料金を支払い、アカウントに紐づいているAzureサブスクリプションをすべて解約する。データの移行が完了したら、発生したストレージデータのエグレス料金について、請求額から相殺するクレジットを要求できる。
Azureの各種サービスの中でも、「Express Route」「Express Route Direct」、VPN、「Azure Front Door」「Azure Content Delivery Network」といった特殊なものに関しては、今後も一般にみられるようなデータ移行料金が請求される。
販売パートナーを通じてサービスを購入しているユーザーの場合には、パートナーがクレジットの要求やデータ転送、他のサブスクリプションの解約、ユーザーへのクレジット提供を受け持つことになる。
顧客の要求がドキュメントに記載の手順のいずれかに従っていないと判断した場合、マイクロソフトはクレジットを発行しないことができる。本規定は変更される場合がある、と同社は記載している。
次に何をすべきか
データ移行時にかかるネットワーク転送料を最初に廃止したのはGoogle Cloudだ。オープンで相互運用可能なエコシステムを支持するとともに、「制限的なライセンス」で「顧客を囲い込み、競争をゆがめている」Amazon Web Services(AWS)などの競合に異を唱えた。GM/VP兼プラットフォーム責任者のAmit Zavery(アミット・ザヴェリー)氏が1月、ブログ記事で詳細を説明している。
2か月が経ち、AWSがこれに対応、今月5日にGoogle Cloudと同様にインターネットへのデータ転送に伴う料金を免除する。マイクロソフトだけが取り残される形になっていた。
最近になってこうした取り組みが行われたことで、クラウド移行がしやすくなると考えられるが、それはクラウド利用において耐障害性を確保するには不可欠な条件だったという。米Cockroach LabsのCEO、Spencer Kimball(スペンサー・キンボール)氏がSDxCentralの取材で語った。反競争的な慣行に対して業界全体でこうした対応がなされたことは、マルチクラウド以外の選択肢はないという世の中を実現する第一歩となるものだと評価した。
一方で、Cockroach Labsが実施した検証では、転送料金による隠れコストは大きなものではあるが、それよりも、クラウド間の統合に関する技術的な課題や、クラウドに依存しないツールの不足が大きな問題だということが分かっている――今も残る障壁だ。
マイクロソフトの発表を受けて、Google CloudのZavery氏も、Azureでまだ行われていない取り組みがあることに目を向けさせている。「本当に顧客の選択の自由を支持するのなら、最大の障壁を取り払うべき時期です。顧客をAzureに押し込めているのは、マイクロソフトの制限的で搾取的なライセンス慣行です」とX(旧Twitter)に書いている。
![Emma Chervek](https://www.newsme.jp/wp-content/uploads/2022/06/Emma-Chervek-02.jpg)
SDxCentralのレポーター。データセンターのテクノロジーとビジネス ケース、環境の持続可能性、クラウドネイティブ エコシステムを担当。エマは愛犬コビーとデンバーに住み、世界一の散歩を一緒に楽しんでいる。
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