OPEN-RAN
文:Matt Kapko

マイクロソフト、楽天、VMwareの幹部がオープンRANへの批判に反論

マイクロソフト、楽天、VMwareの幹部がオープンRANへの批判に反論

オープンRANへの批判だって?「十分すぎるほど耳にしてきました」――楽天モバイルCTOのTareq Amin氏は、業界団体「Open RAN Policy Coalition」が主催する「Quad Open RANフォーラム」の席で語った。

クラウドが持つメリットについては広く認識され、意見の一致するところではあるものの、「通信業界では常に、あらかじめ定義された枠の外に出るならば容認しがたいリスクを負うことになるという制約があります」と氏は言う。

「誰もが異論のない評価の1つは、私たちがソフトウェアの世界に生きているということです。私たちは、クラウドがもたらすかもしれない利点が非常に強い影響力を持つ世界に生きています。この世界では、人工知能(AI)や機械学習が華やかな表舞台に立ち、ビジネスの日々の活動で中心的な役割を果たすようになろうとしています」

Amin氏とマイクロソフトやVMware社の幹部は、他にもいくつかの批判のポイントと、オープンRANに伴う複雑さについても触れた。こうした複雑さは彼らの見解では当然起こってくるものであり、避けられないものでもあるという。

オープンRANは、新しいプロトコル、とりわけ異なるベンダーのハードウェアやソフトウェアを組み合わせて使用することを可能にするオープンインターフェースに依存している限り、複雑さを増していく。ベンダーの数が増えれば、ひいてはセキュリティの脅威や侵入の攻撃対象領域も大きくなる。

 

セキュリティ脅威の増加は不可避、立ち向かう通信事業者

マイクロソフトの5G戦略担当VP、Shawn Haklは次のように話す。「確かに、攻撃対象領域は大きくなります。また、脅威に対処するためのツールも増えます。人々がこの技術で何を目指しているのかを考えれば、攻撃対象領域の増大は避けられないことです」

「オープンRANを使って現在と同じ問題を解決するだけなら、ハードウェアベースのアプローチからホワイトボックスを使ったソフトウェアベースのアプローチに移行するというのも1つの見方になりますが、目的はそこにはありません」と氏は言う。

氏の説明によると、プライベートネットワークの台頭や、ミリ波ネットワークなどネットワークのエリア拡充や容量拡張のためのスモールセルの大規模な展開がすでに始まっており、ネットワークの管理や展開には複雑さが増しているという。「RANはすでに、たくさんの場所で大規模に導入されています」

氏によると、RANをより多くの場所に広げ、機能を拡張しなればならないということは、よりアジャイルなアーキテクチャが必要だということでもあるという。オープンインターフェースによって、通信事業者は「明確に定義されたインターフェースを持つ、明確に定義された一連の独立した要素」を展開・管理することができ、このアーキテクチャにツールを接続することで、攻撃からの保護・防御を自動化することができるという。

オープンRANは、「意図しない場所に巨大なブラックボックスを複製するよりも優れた選択肢」だとHakl氏は述べている。

VMware社長、Sumit Dhawan氏によると、ゼロトラストセキュリティや仮想化・SDNによるネットワークセグメンテーションも併せて実装すれば、セキュリティ問題を切り分けて対処することができるという。これらの技術はすでに利用可能になっており、通信事業者がこれを展開するにはオープンな環境こそが唯一の道だと氏は主張している。

ネットワークトポロジー内のアプライアンスの数が増えることを懸念するのは、5年から10年前には妥当だったかもしれないが、今は違う、とDhawan氏は言う。クラウドの進歩に見られるように、「これらの技術はいずれも成熟しており、RANアーキテクチャでも展開する準備ができています」と氏。

Dhawan氏はまた、ブロードバンドインフラにアクセスできない、あるいはアクセスが不足しているコミュニティにオープンRANによって最新のワイヤレス接続を提供していけば、氏が「デジタル・エクイティ」と呼ぶものへの道が開かれると話している。

 

オープンRANの目標達成のためにはソフトウェアの進化が必要

先月行われたアナリスト・報道機関向けグループチャットでAmin氏が述べたところによると、オープンRANを追求するうえでソフトウェアが最も価値のある資産であることに変わりはないが、そのどれもが十分に機能していないという。「基盤となるソフトウェアアーキテクチャにはどうにも欠けているものがあります。進化させる必要があります」と氏は言う。クラウドベースのネットワークにおける自動伸縮性、自動修復、レジリエンスなどをサポートするという進化だ。

Amin氏によると、今の段階でもメリットは抱負にあるが、大幅な改善をするべき時だという。

「私たちはまだ、可能なことのごく一部を実施しているにすぎません。ソフトウェアアーキテクチャとソフトウェアファブリックのおかげで、従来のソリューションでは不可能だった信じられないほど多くのソフトウェアアップグレードが可能になりました。従来のソリューションでは、シンプルにうまくいかなかったでしょう」

完全仮想化オープンRANを大規模に展開した最初のグリーンフィールド通信事業者である楽天モバイルは現在、1日あたり約300のソフトウェアパッケージをインストールしているという。氏の補足によれば、他のネットワークでは通常、半年から12カ月ごとにソフトウェアのアップグレードが行われるという。

このようなソフトウェア駆動型のRANアーキテクチャを推進することについては、もはや議論の余地がないとAmin氏は語る。「もはや、業界全体の責任として、このアーキテクチャを推進し、差異を埋めることが求められています」

こうした変化に対応していくのは簡単なことではないが、実行可能なことであり、価値のあることだと氏は言う。「こうしたインターフェースのすべてについて標準化が可能になれば、問題はずっと簡単になると思います」

https://www.sdxcentral.com/articles/news/microsoft-rakuten-vmware-execs-reject-open-ran-criticism/2021/07/

Matt Kapko
Matt Kapko Senior Editor

Matt Kapko, senior editor at SDxCentral, covers 5G network operators, radio access network suppliers, telco software vendors, and the cloud. He has been writing about technology since before the dawn of the iPhone, and covering media well before it was social. Matt can be reached at mkapko@sdxcentral.com or @mattkapko.

Matt Kapko
Matt Kapko Senior Editor

Matt Kapko, senior editor at SDxCentral, covers 5G network operators, radio access network suppliers, telco software vendors, and the cloud. He has been writing about technology since before the dawn of the iPhone, and covering media well before it was social. Matt can be reached at mkapko@sdxcentral.com or @mattkapko.

記事一覧へ