NTTリミテッドがSESと提携、プライベート5G・エッジサービスに中軌道衛星通信を統合
海外向けITインフラ事業を展開するNTTリミテッドが衛星企業のSESとの提携を発表した。遠隔地の企業拠点に対するプラットフォーム提供を目的としたエンタープライズエッジ向けマネージドサービスにSESの衛星通信ネットワークを組み入れる。
本提携により、NTTが提供するプライベート5G/エッジコンピューティングマネージドサービスの一部をSESの中軌道衛星システム「O3b mPower」が担うことになる。ターゲットとしているのは、鉱業、エネルギー産業、海運業、遠隔地の工場など、地上ネットワークのカバレッジから外れた地域で操業している企業だ。
現在、O3b mPowerコンステレーションには高度8,000kmを周回するボーイング社製の衛星2基等が含まれている。SESは今年さらに6基の衛星を打ち上げ、合計11基のコンステレーションとする計画だ。
これらの衛星は数千ものビームを生成、世界中の顧客企業に合わせて電子的にステアリングする機能を備えている。同コンステレーションが提供するネットワーク速度は50 Mbpsを超え、遅延は約150ミリ秒となっている。
NTTリミテッドで新規事業・イノベーショングループ担当エグゼクティブ・バイスプレジデントを務めるShahid Ahmed(シャヒード・アーメド)氏が米SDxCentralの取材で説明したところによると、今回利用可能になる衛星ネットワークは多くの企業にとって不可欠な選択肢になるという。
「プライベートネットワークサービスであれば必ず備えておくべき要素です。今日であればどこでも提供しているでしょう」と氏は言う。「多くのお客様が遠隔地に工場やプラント、拠点を所有されており、バックホール戦略が必要になることが主な理由です。必須だと言ってよいでしょう。製造業や、倉庫業、鉱業、時には港湾運送業などもそうですが、そういった産業をターゲット市場としているのなら、ポートフォリオに是非とも備えておかなければならない要素です。提携は自然な流れでしたし、SESとは数々の案件でさまざまな導入や展開に取り組んできましたから、今回の統合もそれを基に決まりました」
Ahmed氏によると、SESの中軌道衛星コンステレーションはカバレッジと機能面のバランスが適切だという。
「文字通り、うまく中間を取っています。あまり高度が高いとレイテンシの面が犠牲になりますし、低すぎるとカバレッジが確保できなくなります。当社にとって最適なソリューションでした。カバレッジもまさに求めていたものです」と語った。
NTTリミテッドでは顧客のユースケースに合わせてコンサルティングから設計、アプリケーション開発、システムインテグレーション、実装、マネージドサービスまでを提供しており、今後は衛星コネクティビティと組み合わせて提供する計画だ。これによってプライベート5Gサービスやエッジサービスのリーチを拡大、機能面を強化する。
同社は2021年中頃にプライベート5G NaaS(ネットワーク・アズ・ア・サービス)の提供を開始。昨年にはVMwareの「Edge Compute Stack」に同プラットフォームを組み込む契約を獲得、NTTリミテッドとしてEaaS(エッジ・アズ・ア・サービス)サービスの提供が可能となった。
NTTリミテッドとSESの市場機会
米ABIリサーチによる最近の調査報告では、2030年までに世界の通信事業者向け衛星サービスによる売上高は1,410 億ドル(約18兆7,580億円)に達すると予測している。
アナリスト企業の指摘によると、NTTリミテッドはSESとの統合によって独自サービスを提供、同市場に参入する足掛かりを得たという。
「今回の提携は重要な鍵を握っています。どんな環境であってもシームレスかつユビキタスな接続を提供し、信頼性の高いアクセスを提供できるという差別化がNTTリミテッドの各ソリューションで可能になるためです。同社のソリューションは企業にとって事業上不可欠な工程の変革を目的としたものですから、これは重要なことです」。米IDCのEMEA通信・モバイル担当アソシエイト・バイスプレジデント、Alejandro Cadenas(アレハンドロ・カデナス)氏がSDxCentralのメール取材で語った。「補完性が非常に高く、どんな場所でも有効に使える要素を1つ手に入れたことになります。多くの多国籍企業が非常に重視している部分です」
SESにとっても大手企業との契約への道が開かれるという利益がある。
「SESにとっては、NTTリミテッドが各業界向けに提案しているあらゆる価値を活用できることになります。さまざまな業界の企業に対して土台となるような各種のソリューションが提供される際、その一角を担うことになるでしょう」と氏。「そのようなソリューションを展開するには、NTTが持っているような能力が絶対に必要です」
両社はこれから最初のサービス統合や市場投入計画に取り組んでいく必要がある、とCadenas氏は指摘する。
「NTTが主導する方が有益なケースもあれば、SESが主導すべき部分もあるでしょう。この種の提携では通常そうした策定が行われることになります」と語った。
NTT ties SES’ MEO satellite into its private 5G, edge service
Dan Meyer is Executive Editor at SDxCentral, with a focus on telecom, 5G, radio access networks (RAN), and edge networking. Dan has been covering the telecommunications space for more than 20 years. Prior to SDxCentral, Dan was Editor-In-Chief at RCR Wireless News. You can contact Dan directly at: dmeyer@sdxcentral.com, on Twitter at: @meyer_dan, or on LinkedIn at: dmeyertime.
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