業界団体ONF、新法人を設立=オープンソースによるプライベート5Gを推進
業界団体「Open Networking Foundation」(ONF)は27日、新しく公益法人「Ananki」の設立を発表した。傘下の「Aether」プロジェクトを基にした商用プライベート5Gサービスを推進する。
プライベートネットワークアーキテクチャプロジェクトのAetherは昨年後半、米国防高等研究計画局(DARPA)から3,000万ドル(約33億円)の資金提供を受けている。以下に3つのプロジェクト「SD-Core」「SD-Fabric」「SD-RAN」が含まれ、これらKubernetesベースのオープンソースプロジェクトがAetherプロジェクトの主要部分を成している。
SD-RANはクラウドネイティブなオープンRANのためのプロジェクトで、O-RAN Allianceのアーキテクチャと仕様に沿った準リアルタイムRICを開発、企業開発者がハードルを克服しやすいよう支援する。SD-Coreプロジェクトでは企業向けプライベート5Gサービスのためのモバイルネットワークコアアーキテクチャのディスアグリゲーションに取り組み、SD-Fabricプロジェクトではハイブリッドクラウド、エッジ、IoTアプリケーションのためのフルスタックかつプログラム可能な5Gネットワークファブリックを設計しているという。
ONFでマーケティング担当VPを務めるTimon Sloane氏が電話インタビューで説明したところによると、商用サービスの利用を選ぶエンタープライズ企業は、Ananki社のサービスを利用すればシンプルな道程でプライベート5Gネットワークを展開できるという。
「他にオープンソースの選択肢はありません」と氏。また、AetherはONFが管理するオープンソースプロジェクトとして今後も存続するとした。
「Anankiでは、あらゆる企業が自由にオープンソースを利用できるのと同様、オープンソースを利用していきます。そしてパッケージ化を行い、他の機能もいくらか追加して、利用者がマウスポインタを置いてクリックするだけで立ち上げられるような形でサービスを提供していく予定です」。Sloane氏は言う。
Ananki社が提供するのはハイパースケーラーやエッジの枠組みと統合し、各種のマルチクラウドプラットフォームをサポートしたソフトウェア定義のサービスだ。Sloane氏によると、同法人は匿名のビジネスパートナーやベンチャーキャピタリストからの出資で資金を調達しており、DARPAからの3,000万ドル(約33億円)の助成金は引き続き技術開発に充てられるという。
ONFとAnanki社は経営陣がほとんど同じで、Ananki社の事業によって得られた成果はONFのオープンソースプロジェクトに還元される。
「この20年間で世界は変化しました。オープンソースはさまざまな理由でますます重要になってきています。プライベート5Gの分野でも同じように重要になると考えています」。Sloane氏は言う。
ONF AetherをAnanki社がパッケージ化、商品化
Sloane氏によると、ONFは以前からAetherプロジェクトの商用版を構想していたが、必ずしも自分たちで行うとは考えていなかったという。
「私たちはずっと、この分野でもRed Hat社に当たるプレイヤーが登場するだろうと思っていました」と氏。「ONFでもそのようなことが起きてほしいとずっと前から思っていますが、私たちの見たところでは、現状そうはなっていません」
企業は5Gエンジニアのチームを作り、オープンソース技術を利用して役に立つものを作ることもできるが、「そのエネルギーと資金は、市場における自社の主要な差別化要因を担う重要なメンバーに配分することもできます」とSloane氏は言う。
「私たちの考えでは、Anankiに資金を投じる方がはるかに先行投資が少なくて済むのは間違いありません。TTM(市場投入までの期間)も短くて済みます」。「数年単位の時間軸で見ても、私としてはAnankiを使った方が低コストであると考えています。また、5Gコンポーネントだけに注力するのではなく、より大きなビジネス上の問題を解決するためにすべての労力を使うことが可能になるのです」
Matt Kapko, senior editor at SDxCentral, covers 5G network operators, radio access network suppliers, telco software vendors, and the cloud. He has been writing about technology since before the dawn of the iPhone, and covering media well before it was social. Matt can be reached at mkapko@sdxcentral.com or @mattkapko.
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