オラクルは米半導体メーカーAmpere Computingと共同でArmベースのコンピュートインスタンスの提供を開始した。そうしたインスタンスを提供するパブリッククラウドクラウドプロバイダーとしては、既に競合のAmazon、マイクロソフトがある。

オラクルの「A1 Compute」インスタンスは1コアから80コア、最大64ギガバイトのメモリを搭載している。同社としてはArmプロセッサを使ったクラウドコンピューティングへの初の進出だ。同インスタンスは、最大80個の「Arm Neoverse N1」コア（各コアの動作周波数は3GHz）を搭載したAmpere社の第1世代データセンターチップ「Altra」で稼働する。また、最大160コア、1テラバイトのシステムメモリを備えたベアメタルサーバも提供される。

Oracle Cloud Infrastructure（OCI）部門のEVP、Clay Magouyrk氏は、「当社ではサーバサイドのArmコンピューティングに対する需要が増えているのを目の当たりにしています。当社の幅広いポートフォリオにArmベースのコンピュートインスタンスを加えたことで、お客様は自社のワークロードに適したプロセッサを選択することができるようになりました」と話す。

オラクルでは同インスタンスの位置づけについて、汎用コンピューティングワークロード、データベースキャッシュ、モバイルアプリケーション開発環境、科学計算ワークロードなどをホストする顧客にとって、従来のx86ベースのインスタンスに代わる価格の低い選択肢になると考えている。

オラクルは同インスタンスを「クラウド初の1コア当たり1ぺ二ーのサーバ」だと宣伝している。価格は1コア・1時間あたり0.01ドル、メモリ1GB・1時間あたり0.0015ドルからとなっており、現在提供されているパブリッククラウドの中でも最も低価格な製品の1つだ。

Armデータセンターチップの導入を促進

価格以外にも、オラクルはArmベースのインスタンスを永久無料枠で利用できるようにした。4つのA1コンピュートコアと最大24ギガバイトのシステムメモリを無料で利用できる。これらのリソースは、Oracle Linux、Java、MySQL、GraavlVM、Oracle Container Engine for Kubernetes（OKE）などのオラクルの開発スタックと組み合わせることができ、開発者が簡単に導入できるようになっている。

「当社はこれらの技術プラットフォームがArmプロセッサ上で素晴らしくうまく動作するよう保証するために、多大な投資を行ってきました」とMagouyrk氏は言う。また、既にArmモバイルプラットフォーム向けに開発を行っている開発者が多数いることから、エコシステムは既に非常に充実しているとも付け加えた。

Ampere社の創業者兼CEOのRenee James氏は、25日の記者会見で「無料枠があるというのはとても素晴らしいサービスです」と話している。「買う前に試してみることができれば、プラットフォームにわくわくすることでしょう」

オラクルはクラウドでのArm採用をさらに加速させるため、ワークロードをArm・OCIに移行してもらおうと、学術機関に対して追加クレジットを提供している。

クラウドプロバイダー各社がArmを備える

オラクル以前にも、新しく出てきたArmベースのデータセンタープロセッサを支持するクラウドプロバイダーがいる。

ここ数年、主要なクラウドプロバイダー各社はx86の代替となる製品に手を出してきている。マイクロソフトはMarvell社のThunderX2プロセッサを採用してAzureパブリッククラウドに使用している。少なくとも自社向けにはそうだ。一方、AmazonはArm開発にまっしぐらに乗り出し、自社で「Graviton」「Graviton2」といったプロセッサを開発した。

また、マイクロソフトは5月第4週、カーボンニュートラルへの取り組みの一環として、Ampere社のCPU「Altra」をAzureパブリッククラウドに導入する計画を発表している。

https://www.sdxcentral.com/articles/news/oracle-ampere-launch-penny-per-core-arm-vpcs/2021/05/