チップ設計の英Arm、テックマヒンドラ社と5Gラボを開設=目標はオープン仮想化RAN
オープンRAN、仮想化RAN、クラウドRANが勢いを増すなか、英Arm Holdingsは5Gインフラ実現のイネーブラーとしての地位固めを狙っている。
チップ設計のArm社は先月、テックマヒンドラ社と協同で「Arm 5G Solutions Lab」を発表した。Armベース製品の開発、特に新興のオープンRAN・vRAN分野での開発で障壁を取り除くことが目的だ。
Arm社で最もよく知られているのはおそらく家電製品の多くに搭載されているプロセッサだが、同社によるとエリクソンやノキアといった企業が提供する従来のRANインフラでもArm製チップが中核を担っているものがほとんどだという。
「Armはこの分野では他社を大きく引き離しています」。Arm社で5Gキャリアインフラ担当取締役を務めるPanch Chandrasekaran氏は言う。「基地局をどれでも選んで開けてみれば、たいていは内部にArmベースのCPUがあるのが見つかるでしょう」
Arm 5G Solutions Lab
Arm社がそれほど支配的でない分野はディスアグリゲーション化・仮想化RANの実装だ。Arm社はこれを変えるため、ソフトウェア開発者、ハードウェアベンダー、サービス事業者が協力して新しい組み合わせを検討できる環境を用意した。
ラボにはスモールセル、マクロセル、プライベート5G、クラウドRAN、RIC(RANインテリジェンスコントローラ)、コアネットワークなど、さまざまなユースケースに対応するために必要なハードウェアとソフトウェアがすべて揃っている。もちろんそれらすべてに何らかの形でArmの技術が組み込まれている。
「ArmはオープンRANやvRANにおけるイノベーションを進めるうえで、業界でも格別の地位にあると確信しています。マルチパーティが協力する環境に現在存在する多くの摩擦を取り除くことでこれを進めます」。そのためには協業する中でインフラや運用面でのボトルネックを解消する必要がある、とChandrasekaran氏は続けた。
今回の発表のちょうど1年前、Arm社は業界団体「O-RAN alliance」に加わっている。ラボは2022年初頭に開発者向けにオープンする予定で、数十社のサービス事業者や通信事業者は言うに及ばす、パートナー企業のGoogle Cloud、EdgeQ、Gigabyte、Marvell、Nvidia、NXP、Qualcommからも幅広い支持をすでに得ている。
IoTに力を入れるArm社
Arm社は5G Solutions Labの発表と同時に、IoTのハードウェア・ソフトウェアの開発を効率化する2つの製品を発表した。
「Arm Total Solutions for IoT」は新しいIoTデバイスの設計プロセスをシンプル化することを目的としたプラットフォームで、ハードウェアの知的財産、ソフトウェア、機械学習モデル、仮想ハードウェアターゲットなどが含まれている。
また、新プラットフォーム「Virtual Hardware」はAmazon Web Services社の「AWS Marketplace」で利用可能だ。大規模なIoT展開のエミュレーションができる。
これによってソフトウェア開発者がIoTデバイスの大規模なファームをデプロイして運用する必要はなくなるという。
「Armはシステムの設計方法を根本的に変えることで、スマートフォン業界のアプリ経済の在り方、スピード、規模に匹敵する新しいioT経済を推進していくという唯一の立場を取っています」。Arm社でIoT・組み込み担当VPを務めるMohamed Awad氏はステートメントで述べている。
Tobias Mann is an editor at SDxCentral covering the SD-WAN, SASE, and semiconductor industries. He can be reached at tmann@sdxcentral.com
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