楽天モバイルは、クラウドネイティブかつオープンな無線アクセスネットワーク（RAN）技術を利用した完全仮想化グリーンフィールドネットワークの運用を開始した。日本政府が楽天モバイルに周波数を割り当てて2年、商業的な立ち上げを実現した同社のネットワークは、この類のネットワークで世界初の展開となっている。

CTOのTareq Amin氏によると、このネットワークアーキテクチャのコストは従来の通信インフラストラクチャよりも40%低く、運用コストの削減効果はさらに高いとのことだ。同社はこうした節約分の一部を、データ、音声、メッセージング等のサービスが無制限に利用できる月額28ドルのサブスクリプションという形で顧客に還元している。

この立ち上げの成功は、ネットワークを構築する新しい効率的な方法が確かに存在することを証明するものであり、ワイヤレス業界への明快な呼びかけとなっている。仮想化、オープンRAN、クラウドネイティブアーキテクチャは長年にわたって明らかに利益をもたらしてきたが、ネットワーク全体がこれらの技術を主体に一から設計されたのは初めてのことだ。

同社のアプローチに懐疑的だった業界のオブザーバーや競合他社は、ほとんど沈黙している。とはいえ楽天モバイルは、レガシー機器ベンダーや従来のテクノロジーを全く使っていないわけではない。業界の有力企業の技術やハードウェアをやはり使っているのだ。

楽天モバイル、ベンダー分野をノック

楽天モバイルのネットワークでは、Airspan社、Altiostar社、Cisco社、Intel社、Mavenir社、NEC、Nokia社、Red Hat社、Qualcomm社の機器、ソフトウェア、サービスがそれぞれ役割を担っている。また、同社は最近、世界的な衛星通信のスタートアップであるAST & Science社へ20％の出資をすると発表したばかりで、楽天は日本の人口の少ない地域でのサービス提供に同社を活用することを目指している。

楽天モバイルは、3月末までに全国に4,400ヵ所の基地局を配備するペースで来ており、来年中には少なくとも8,600ヵ所の基地局を設置する見通しでいる。

楽天モバイルのネットワークは現在、Nokia社と（同社が過半数の株式を保有する）Altiostar社のアンテナを使用して4G LTEサービスを提供しているが、6月には5Gサービスを開始する予定だ。同社は数ヶ月後に稼働させる5Gネットワーク用に、大規模なMIMO（Multiple-Input Multiple-Output）アンテナの構築と製造に現在NECと共同で取り組んでいる。

2019年10月にスタートしたトライアルに続く商用開始は、予定より半年遅れとなった。同社は2014年にMVNO（仮想移動体通信事業者）としてモバイル領域に参入し、2018年4月に日本で4番目の全国キャリアとして規制当局の認可を得ている。

Rakuten Mobile Delivers Its Virtualized Reality