楽天モバイル、オープンRAN事業で底打ちの兆し=人員異動へ
楽天モバイルは同社独自のディスアグリゲーション型ネットワークについて、順調に拡張が進んでいるとアピールしている。とはいえそれには大きなコストがかかっており、同社は現在、広大な組織内の他部門との間で人員とコストをシャッフルすることで事業のスリム化を図ろうとしている。
今年の第3四半期、楽天モバイル事業は8億6400万ドル(約1,190億円)の損失を計上。前四半期の数字をわずかに下回ったが、今年に入ってからの損失は合計で23億ドル(約3,180億円)を超えた。
経営陣によると、この損失はクラウドベースのオープンRANアーキテクチャの拡張を続けていることによるもので、新興キャリアである同社の自社ネットワークによる国内人口カバー率はこれによって98%に達したという。ネットワークカバレッジは同社の重要な関心事だ。楽天モバイルはユーザーが自社ネットワークの圏外に居る際には競合キャリアにローミング費用を支払っており、この費用はカバレッジの拡大によって削減できる。
また、これを節目としてこれまで積極的だったネットワークへの投資を「スリムで収益性の高い」ものに変えようとし始めている。これに伴い、楽天モバイルと楽天シンフォニーのCEO、タレック・アミン(Tareq Amin)氏は人員削減という表現を避けつつ、広範な楽天事業の他部門への人事異動があるだろうと説明している。
「楽天モバイルでは大規模構築の終わりが近づいており、レイオフを実施するということではありませんが、今後は事業のスリム化に力を入れようとしています」。決算電話会議で挙がったレイオフを実施するかという質問に対し、アミン氏はこう答えている。「構築を進めるためには人員と資金が必要でしたが、(増設する)基地局数が少なくなれば、当然そうした人員はグループ内の他の機能部門に異動していただくことになります」
楽天モバイルの基地局数は現在5万局を超えており、合計6万局まで増やす計画だという。このうち5G信号を送信しているのは現在6,500局弱、残りは4G LTEに特化したものとなっている。
また、アミン氏は日本で「プラチナバンド」と呼ばれている900 MHz帯の使用を開始する計画についてもアピールした。カバレッジの拡大に利用するという。現在は周波数の移行作業中で、展開開始は2024年初頭を予定しているとした。
同社は昨年、防衛省が保有していた1.7 GHz帯の20 MHz幅の割り当てを受けた。また、3.7 GHz帯、4.5 GHz帯、28 GHz帯も保有している。
楽天シンフォニーは活況
消費者向け事業では課題があるものの、楽天シンフォニーの「Symphony」プラットフォーム事業は勢いづいている。アミン氏の説明によると、発売から1年が経過した同プラットフォームの顧客は現在14社を数え、これまでの売上高は総額3億1500万ドル(約43億円)、予約分の売上見込みは31億ドル(約4,280億円)に上るという。
「今後5四半期はSymphony事業の収益目標である10億ドル(約1,380億円)を突破すべく全力を注ぎます」とアミン氏。
昨年設立された楽天シンフォニーは楽天が持つオープンRANアーキテクチャを提供、世界中のネットワークに拡大していくことに重点を置いている。当初は「Rakuten Communications Platform」(RCP)とさまざまなオープンRAN技術資産・サービスを扱っていた。
RCPは今年、米Robin.ioの買収の後にブランド名を「Symworld」に変更した。また、その頃にAT&Tやシスコ、ノキア、クアルコムとの契約を結んでいる。
最近ではこの包括的かつクラウドネイティブな通信プラットフォームをAmazon Web Services(AWS)上でホストする契約を締結した。新たにエッジに特化したコンポーネントを追加し、楽天モバイルネットワークで使用する計画もある。また、ジュニパーネットワークスから独占的にSymphonyプラットフォームのRIC(RANインテリジェントコントローラー)提供を受ける契約を結んでいる。
https://www.sdxcentral.com/articles/news/rakuten-nears-open-ran-nadir-to-shift-jobs/2022/11/
Dan Meyer is Executive Editor at SDxCentral, with a focus on telecom, 5G, radio access networks (RAN), and edge networking. Dan has been covering the telecommunications space for more than 20 years. Prior to SDxCentral, Dan was Editor-In-Chief at RCR Wireless News. You can contact Dan directly at: dmeyer@sdxcentral.com, on Twitter at: @meyer_dan, or on LinkedIn at: dmeyertime.
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