Rakuten Symphony社のCEO、Tareq Amin氏は2021年、ネットワークハードウェアのコストについて透明性を持たせると約束していたが、価格を公表するという意味ではなかったようだ。氏は最近行われた電話インタビューで、このレベルの透明性（具体的な価格）については、Rakuten Symphonyの顧客には提供するものの、それ以上には広げないと説明した。

「この意味は非常にシンプルで、（顧客企業は）当社がどの要素を調達するのにいくら使うのかについて正確な数字を知ることができ、その上で当社は価格を提示するということです」。Amin氏は言う。

氏が6カ月前にこの約束をした時は、オープンRANアーキテクチャによって通信事業者がどの程度コストを節約できるのかをはっきり示すため、デジタル製品カタログに載っているすべてのアプリケーションと機器のコストを公開するとしていた。

今回の話しぶりからすると、氏の勇み足だったということのようだ。

「もし私が部品の価格を世界中に公開したら、おそらくサプライヤーに訴えられるでしょう。ですが、お客様に対しては契約という法的枠組みがあるので、私に全ての権利と権限があります。Rakuten Symphonyとの契約にサインしたすべてのお客様に対し、価格とコスト構造の全体を共有しています」と氏は話している。

「私は30年以上この業界で働いてきました。もし私がベンダーに部品コストやBOMを共有してくれるように頼んだとしても、そんなことをしてくれるベンダーは1つもないと100%断言できます」と氏は言う。

Rakuten Symphonyは親会社の楽天から正式に分社化して設立された新しい企業だが、グリーンフィールドの通信事業者であるドイツの1&1 Drillischなど、これまでに少なくとも14社の顧客と約26億ドル相当の契約を獲得しているという。

最近買収した米Altiostarのサービスや、その他のベンダーから調達、パッケージ化、事前統合したソフトウェアやハードウェアなど、さまざまなオープンRANサービスを販売している。

楽天、チップの進化とハードウェアのコモディティ化を待望

ハードウェアはネットワークの重要な要素だが、プロプライエタリな技術で統合し厳格に管理されたシステムであることから、コストが重くのしかかることが多い。このため楽天のようなオープンRANのパイオニア企業はネットワークインフラのハードウェアがコモディティ化されることを望んでいる。これはオープンRANの考え方でもあり、ハードウェアの分離とネットワークインターフェースのオープン化を広く推進する活動の一環でもある。

よりハンズオン型のサポートを希望する場合には、ハードウェアサプライヤーやRakuten SymphonyからオープンRAN用のプロビジョニング済み装置を直接購入することができる。

ハードウェアについては、Amin氏は通信事業者のワークロード、ベースバンド、無線機での使用を想定した先進的なチップアーキテクチャに強い関心を寄せている。最近発表されたSymwareアプライアンスが実践例の1つだ。楽天がインテル、ジュニパーネットワークスと共同開発したこのアプライアンスは、シングルラックの汎用サーバ上にコンテナ化セルサイトルーティング機能とコンテナ化DUの機能を備えていることが特徴だ。

Amin氏は米Qualcommが5G RANチップセット市場への参入を宣言したことについても非常に関心を持っている。「Qualcommは基地局モデムの新製品で世界を変えるだろうと思います。これまでに例のない驚くべきコスト構造で64T64R（Massive MIMO無線機）を開発するために、当社がQualcommと共同で特に力を入れて取り組んでいく部分です」と氏は言う。

「これは間違いなく革新的なプラットフォームになるでしょう」と氏。

Amin氏によると、DU機能を含むコンバージドセルサイトルータ機能を実行するサーバと無線機とで、通信事業者の平均CAPEXの約70%が占められるという。「私たちが何か実利的なことを実践し、コストを40%か50%削減できれば、業界にとって大きな成功だと言えるのです」

https://www.sdxcentral.com/articles/news/rakuten-symphony-narrows-hardware-transparency-pledge/2021/12/