2023年、企業は慎重に慎重を重ねて経費の構造改革や管理を進め、クラウド市場は低成長になるという。米ベンチャーキャピタル、トムベスト・ベンチャーズ（Thomvest Ventures）のパートナー、ウメシュ・パドヴァル（Umesh Padval）氏が推測している。その一方、歴史が繰り返すようなら「今起きている不況の間に素晴らしい企業がいくつか生まれたり、注目を集めるようになったりするでしょう」と米SDxCentralの取材で語った。

パンデミック期に従業員の在宅勤務が始まったことでクラウド需要は急増した。ハイブリッドワークやリモートワークが支持を集めるなか、企業のクラウド移行は加速度的に進んでいったと氏は説明する。

しかし最近では、「FRBが金利の引き上げを始めたことで景気が減速し始め、世界の地政学的な課題とともにインフレが進行し始めています。このため企業は支出を削減し始めており、その中にはクラウド支出も含まれています」と話す。

同社はクラウド市場の成長が鈍化したと見ているが、「クラウドへの移行が完了したと考えるには程遠いです」と話す。今後クラウドサービスの導入を促進しそうな新しいクラウドアプリケーションを複数挙げた。

資金調達や評価額の観点から言えば、2023年のクラウドインフラは「巨大な市場」だという。氏はこの不況の間にまたとない好機を迎えた新しいクラウド企業が台頭し、ここ数年の間に現れた新興企業に続くと予想している。

「素晴らしい創業者のいる本当に良い企業にこれまでよりもはるかに手頃な評価額で投資するという、またとない機会があるのではと感じています」

経済が不透明ななか、パドヴァル氏はマイクロソフト、Google Cloud、Amazon Web Services（AWS）のような大手クラウド事業者が中小プロバイダーを退けてさらに意欲的に市場を拡大し、「中小プロバイダーは買収されるところもあるかもしれません」と予測している。

一方、「過去の不況時に他の市場セグメントで起きたように」、クラウドインフラに伴う新たな課題を解決する「革新的な企業」が今回も生まれるだろうと主張している。

Will Cloud Market Endure Economic Downturn?