OPEN-RAN
文:Matt Kapko

ドイツテレコム、ONFの特化型オープンRANフレームワークを試験

ドイツテレコム、ONFの特化型オープンRANフレームワークを試験

ドイツテレコムは業界団体ONF(Open Networking Foundation)によるオープンRANプロジェクト「SD-RAN」を検証する試験運用をベルリンで開始した。ONFは「xApps」を統合し相互運用性を高めるべくオープンRAN分野に着手した。ニアリアルタイムRANインテリジェントコントローラー(nRT-RIC)用のアプリケーション開発を促進している。

「xApps」と呼ばれるRAN制御用アプリケーションは、通常は基地局のプロプライエタリな機能として実装されている各種機能について、通信事業者が管理できる範囲を拡大するために必要となる最も重要な機能を担う。

試験運用では、無線ユニット・分散ユニット(DU)・中央ユニット(CU)にディスアグリゲーションされたハードウェアを、加えてオープンソースのnRT-RICソフトウェアとSD-RANプロジェクトで開発されたxAppsを使用している。

ONFの「SD-Core」「SD-Fabric」プロジェクトによるコンポーネントも展開されている。これらのプロジェクトはSD-RANプロジェクトと合わせて上位プロジェクト「Aether」を形成しており、最近ではAetherプロジェクトを商用プライベート5Gサービスとして推進する新しい企業体「Ananki」が発足している。

 

ドイツテレコム「重要な差別化要因」

「他のサプライヤーによるRICとの主な差別化要因は、ONFによるオープンかつベンダーニュートラルな枠組みです。これは通信事業者の各種のユースケースによって促進されています」。ドイツテレコムで戦略・技術革新担当SVPを務めるAlex Jinsung Choi氏が質問への回答として述べている。

SD-RANはO-RAN Alliance準拠のインターフェースを備えたオープンプラットフォームであり、システムベンダーやxAppサプライヤーによる製品との「高度な相互運用性」を可能にしているという。

Choi氏によると、試験の初期段階ではxAppの相互運用性を保証するためのアーキテクチャとインターフェースの検証に重点を置くという。氏は今回の試験でRICとxAppsの枠組みが製品化に向けて前進することを期待しているものの、いくつか重要な領域での進展がまだ必要であり、「マスマーケットでの展開を検討するには時期尚早」だとしている。

試験には米国のAirHop社、インテル、Radisys社、Supermicro社、台湾からはEdgecore社、Foxconn社、Wiwynn社が機器を提供しているほか、Facebook社が主導する業界団体「Telecom Infra Project」(TIP)からベルリンのラボのハードウェアと設備が提供されている。

試験ではAetherで米Radisysのコンテナ化CUをホスト、DUをインテル社の「Smart Edge Open」ソフトウェアツールキットでホストし、クラウドネイティブなRANワークロードをデプロイ、インテル製プロセッサとアクセラレータカード上で最適化する。CUとDUは、ONFのnRT-RIC、xApps、SD-Coreの5GコアNW、Foxconn社のオープン無線機とも統合されている。現在はONFコミュニティによる最初のxApps3つが試験の一環としてONFのnRT-RICにデプロイされている。

Choi氏の説明によると、ONFのnRT-RICはONOSベースのSDNコントローラをベースに構築されており、業界団体O-RAN Allianceのアーキテクチャとビジョンに準拠している。ONFは新機能や進歩した点について、O-RAN Allianceに還元していく予定だという。

 

ハードウェアテストの高度な自動化が必要

「マルチコンポーネントのディスアグリゲーション型RANアーキテクチャには高度な自動化が必要です」と氏は言う。「RAN環境に導入されるサプライヤーの数が多ければ多いほど、相互運用性テストは複雑なものになります。テストプロセスの自動化を導入するなど、あらゆる運用レベルで自動化が必要です」

ONFの既存のテストフレームワークやツールでは現在ソフトウェアテストの自動化を進めているが、ハードウェアベースのデプロイメントのテストについても「さらに強化を進め、さらに高いレベルの自動化を実現していく必要があります」とChoi氏は説明している。

ドイツテレコムは試験で実施している初期のxAppsやサービスモデルに特化したユースケースについてさらに開発を進め、ONFのnRT-LICをベースにしたアプリケーションの開発も増やしていく予定だという。

「当社では今回の実験で得られた成果をもとにベルリンのSD-RANを徐々に拡大し、より大規模なフィールドテストに向けたソリューションの準備を進めていく予定です」と氏は述べている。

https://www.sdxcentral.com/articles/news/deutsche-telekom-tests-onfs-specialized-open-ran-framework/2021/10/

Matt Kapko
Matt Kapko Senior Editor

Matt Kapko, senior editor at SDxCentral, covers 5G network operators, radio access network suppliers, telco software vendors, and the cloud. He has been writing about technology since before the dawn of the iPhone, and covering media well before it was social. Matt can be reached at mkapko@sdxcentral.com or @mattkapko.

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