Ericsson社は、COVID-19パンデミックによる保健上の懸念が続いているとして、6月下旬に予定されている今年のMWCバルセロナへの不参加を決めた。昨年と同様の決定となったが、昨年は最終的に、主催者のGSMAがこの大規模なイベントを中止にしている。

同社はSDxCentralへのコメントで、「当社はCOVID-19の影響が続いていることを踏まえ、従業員とその健康、福利を第一に考え、MWC 2021への不参加を決定しました」と述べている。「残念なことではありますが、この決定は、ワクチン接種プログラムが世界的に展開されている間に人の移動という観点からパンデミックに対処するための当社の予防的アプローチを反映したものです。今後のイベントに再び参加する機会を楽しみにしていますし、今後もGSMAや業界パートナーの皆様と緊密に協力していきます」

なお、米Light Reading誌が以前に発表した記事にも、今年のMWCバルセロナに参加しないとするEricsson社のコメントが載っている。

GSMAは所有するメディア「Mobile World Live」の記事の中で、Ericsson社の決定に対し「敬意を表した」と述べている。Ericsson社は毎年開催されるMWCバルセロナの最大の出展者の1社であり、Fira Gran Via会場のホールで大抵かなりのスペースを借りている。

GSMAの「安全衛生」計画

Ericsson社の決定の直前、GSMAはイベントに向けた「安全衛生」計画の概要を説明するコメントを発表している。「幾重にも対策する」同計画では、参加者は「カタルーニャへの飛行機に乗る前に」COVID-19の検査を受け陰性であること、飛行機や車で到着後は現地の検査場に直行すること、入場前に迅速抗体検査で陰性であること、72時間ごとに検査を受けることを求められる。

GSMAによると、会場自体については移動時の混雑を緩和してソーシャルディスタンスを確保するために入口の数を2倍に増やし、会場内では一方通行を徹底する。また、リアルでの参加者を通常の約半分の50,000人程度に制限する予定だという。

また、最悪の事態に備え、同イベントにはバーチャルな要素を盛り込むことも発表した。先日終了したMWC上海で実施された内容と同様のものになると思われる。GSMAによると、オンラインとリアルのハイブリッドで開催されたMWC上海には約25,000人のライブ参加者が集まり、オンラインコンテンツを閲覧した人数は175,000人に上ったという。

GSMAは先月、同イベントに対する広範な懸念を払拭しようと試みた。CEOのJohn Hoffman氏はMobile World Liveに対し、バルセロナ全体を覆う「防壁」を作りたいと考えていると話している。

「世界中の人々がワクチンを接種すれば素晴らしいだろうと思いますが、2021年にそれを当てにすることはできません。代わりに、会場のFira Gran Viaだけでなくバルセロナ全体を防壁で覆うため、前もっての検査に頼ろうとしているのです」

バルセロナの面積は約100平方kmで、160万人以上の人々が暮らしている。

先月の時点で、Cisco社、VMware社、Nokia社などのベンダーはMWCバルセロナへの参加予定についてまだ検討中だと述べている。

Ericsson社、再びMWCバルセロナを欠席

Ericsson社は昨年のMWCバルセロナへの出展を最初に取りやめた大手企業の1社だ。当時急速に広まっていたCOVID-19への懸念を理由に、イベントの数週間前に不参加を発表した。多くの大手ベンダーも参加予定をキャンセルし、GSMAは結局、開催のわずか数週間前に2020年のイベントを中止せざるを得なくなった。その後GSMAは参加者・出展者に料金の補償パッケージを提供し、個人参加者へは全額返金、出展者に対しては将来のイベント出展料への繰り越し・割引などを行った。

MWCバルセロナはこれまで冬の終わり頃の開催だったが、GSMAは2021年についてはMWC上海と開催時期を入れ替えている。その理由として、イベントをリアルで開催したいということを挙げている。

https://www.sdxcentral.com/articles/news/ericsson-kills-mwc-barcelona-attendance-plans/2021/03/