米マイクロソフトとNTT DATA、持続可能性のためのデジタルツイン技術を推進
米マイクロソフトとNTT DATA(NTTデータグループ海外事業会社)が協働で法人向けデジタルツインサービスをリリースした。現実世界のユースケースを再現したデジタルモデル(デジタルツイン)をクラウド上に作成し、IoTエッジデータと接続する。
同ソリューションはトリニダード・トバゴのデジタルツインプロバイダー、イーマジック(e-Magic)とMicrosoft Azureのデジタルツイン技術を合わせて共同開発されたものだ。企業によるリアルタイムでの環境影響評価を可能にするため、まずエッジのエネルギー消費測定のほか、メーター類、センサー類、各種システム、デバイス類を1枚のダッシュボードで監視できるようにすることからスタートしている。
NTT DATAの最高デジタル責任者(CDO)、タンヴィル・カーン(Tanvir Khan)氏は米SDxCentralの取材に対し、持続可能性は企業にとって重要な考慮事項になったと話した。規制や業界標準を遵守し、「従業員や顧客と共に積極的なブランド戦略」を展開していくためだ。同社によると、本サービスは自動でエッジデータを統合、データのサイロ化を無くし、さまざまなスコープの炭素排出量を測定することで企業のサステナビリティ/排出量目標達成を早める一助になるという。
カーン氏はSDxCentralのメール取材に応じ、デジタルツインサービスの詳細を掘り下げて説明してくれた。
SDxCentral:既存のデジタルツインサービスとの違いは何ですか。
カーン氏:デジタルツイン技術の活用例はたくさんありますが、本ソリューションが優れているのはお客様の炭素排出量削減を支援するに当たり、どの業種であってもそれぞれのお客様のニーズに正確に合わせた調整ができるところです。これによって持続可能性への取り組みを始める際のプロセスをシンプルなものにしました。
SDxCentral:本ソリューションを利用した事例について、どのようなものが登場すると思われますか。
カーン氏:企業・団体様が持続可能性プログラムに取り組まれる最初の動機は消費エネルギーの削減とコスト削減かもしれませんが、本ソリューションはそこから発展して炭素排出量ネットゼロなどの持続可能性目標の達成まで支援することが可能です。
まず製造業で活用いただいていますが、今後あらゆる業種で伸びていくと予想しています。本ソリューションは農業や医療、市政など、排出量削減やネットゼロを目指すあらゆる企業・団体様にご利用いただくことができます。
SDxCentral:導入の成功を妨げる障壁としてはどんなものがありそうでしょうか。
カーン氏:長期的にはエネルギー使用量の削減や効率向上といったプラスの効果があるものの、短期的には持続可能な手法への投資、導入時にスキル人材への投資が必要になることが障壁になるかもしれません。しかし、経営者というものは開業費の準備ができる前であっても自社が環境に影響を与えることを理解し、自社にとって持続可能性がどれほど重要な意味を持つのかを理解していなくてはなりません。環境的に持続的な手法の実践は「できたらいいな」というものであって自社に価値をもたらすものではないと考えられている向きがありますが、これは誤りです。
持続可能な施策をすでに実施し始めている企業様の場合は、持続可能性目標を測定可能なKPIによって従業員のパフォーマンスや事業全体の目標と整合させる必要があることが挙げられます。
SDxCentral:持続可能性はなぜ事業に必須のものになろうとしているのでしょうか。
カーン氏:あらゆる産業セクターのお客様が持続可能性は技術購入の意思決定や事業戦略全体の中で重要な要素になるものだと話されます。当社が定期的に実施しているリスク評価では、気候変動は企業にとってサイバー攻撃と並ぶ重大なリスクであることが分かっています。良い面としては持続可能性で成果を上げるためのイノベーションによって長期に渡って環境にプラスの影響があるかもしれず、経済成長や個人の公平性も促進されるかもしれません。
現在持続可能なビジネス慣行が推進されている主な理由は規制や業界標準を遵守し、従業員や顧客と共に積極的なブランド戦略を展開していくためです。多くの持続可能性ソリューションは費用対効果が高く効率向上にもなります。革新的な経営者にとっては会社全体の目標の中にサステナビリティを組み込む理由はたくさんあるのです。
Emma Chervek is a reporter at SDxCentral covering data center technologies and business cases, environmental sustainability, and cloud-native ecosystems. Emma lives in Denver with her dog Koby, and they go on the best walks in the world together. Emma can be reached at echervek@sdxcentral.com or @emmachervek on Twitter.
Emma Chervek is a reporter at SDxCentral covering data center technologies and business cases, environmental sustainability, and cloud-native ecosystems. Emma lives in Denver with her dog Koby, and they go on the best walks in the world together. Emma can be reached at echervek@sdxcentral.com or @emmachervek on Twitter.
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