Microsoftのクラウド戦略=市場の不安定性に対する投資家の懸念を払拭
米Microsoftは、2024年度第1四半期のクラウド部門の収益を前年同期比24%増の250億ドルと発表した。同社がこの成長を維持しようとする中、今後数四半期のあいだ、クラウドコンピューティング事業での需要増につながりそうな、大きな不確定要素が2つある。クラウド予算を制限する経済的圧力と、急激なエネルギーコストの上昇だ。
大企業も中小企業も、以前ほど潤沢な資金はないものの、Microsoftは顧客が利用するクラウドサービスのパフォーマンスと価値を最適化することに注力している、と強調した。
「誰もが自社のインフラを最適化していくでしょう」と、CEOのSatya Nadella氏は、直近の決算会見で語った。「我々のカスタマーサクセスチームのインセンティブ制度は、顧客が“より少ないコストでより多くのことを行う”ことを支援するように設定されています」と彼は述べた。
「実際、当四半期を通じて、顧客だけでなく、我々の営業チームやカスタマーサクセスチームも、積極的に顧客に働きかけ、ワークロードの最適化を支援することに注力してきました」とCFOのAmy Hood氏は付け加えた。第1四半期のマクロ経済環境が複雑化するなか、Microsoftはクラウドの最適化にさらに注力、「予算がさらに増え続けているとしても、価値をもたらすこと」だとしている。
最も恩恵を受けるのはパブリッククラウドだ。インフラリソースを購入する際の過不足によるリスクを拡張性によって相殺できるためだという。「顧客の立場から見ると、自社の支出を不確定な需要に合わせていく最良の方法はクラウドへの移行です」とNadella氏は述べた。「私たちはクラウドに大きな価値があると見ているのです」
そして、サプライチェーンの変動やエネルギーコストのリスクに備える最良の方法は、コンピューティングのエネルギー効率を向上させることである。例えば、オンプレミス環境からクラウドへ移行することだ。「当社としては、この状況から考えて、クラウドの採用がまだ初期段階にある今がクラウドの市場シェアを伸ばすチャンスだと捉えています。我々は、そのような考え方で投資し、長期的な顧客ロイヤリティを築きたいのです」とNadella氏は述べている。
クラウドビジネスはどの程度不安定なのか
2024年第1四半期は、2四半期連続で恒常為替レートベースの成長率がガイダンスを下回り、投資家らは、「このビジネスには、予測の難しい固有の不安定さがあるのではないか」と懸念していた。
Hood氏によれば、「その数字には、ある程度の固有の変動性があります。その時々で1ポイント良くなったり、悪くなったりするわけですが、私が以前にも、1ポイント良くなったとか、悪くなったとかお話ししたことがある通りです」と投資家に語った。
予想を下回ったとはいえ、「(全てのセグメントと地域を通じて)非常に大きな成長率であり、(結果としては)私たちがおおむね予想していたとおりです」と氏は説明した。投資家が今回の四半期報告でも目にしているのは、デジタル化の微妙な不確定要素や変動だという。
「(とはいえ、これは)顧客の問題解決を助ける追い風です。これがビジネスの成長を築く方法であることに変わりはありません。それでもなお、ワークロードの最適化はした方が良いのです。ワークロードを最も効率的に稼動させることで、ワークロードの新たな増加に対応できるようにすべきです」と氏。「あらゆるセグメントでそうした傾向が見られました」
Microsoftは、「その実現のために」カスタマーサクセス、最適化、エンジニアリングに投資、「(現在の状況に)最適化で対応していくためのさらに優れたソリューション」を構築する計画だとHood氏は述べた。
「それは、私たちにとって常に最優先事項であり続けるでしょう」
Microsoft’s cloud strategy quells investor concerns over market volatility
SDxCentralのレポーター。データセンターのテクノロジーとビジネスケース、環境の持続可能性、クラウドネイティブエコシステムを担当。エマは愛犬コビーとデンバーに住み、世界一の散歩を一緒に楽しんでいる。
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