5Gのエネルギーコスト、効率化にも関わらず上昇
5Gに関しては、光熱費が削減でき持続可能性を向上できるということがよく言われるが、世界でも最大手のモバイルネットワーク事業者数社が提供している数字にはそうした成果は表れていない。
米調査会社MTN Consultingによると、通信事業者による電気・燃料・水道への支出は2020年、平均でOPEXの5.2%となり、2015年の5%、2016~2019年の4.8~4.9%に比べてわずかに増加したという。
同社は世界の通信事業者上位6社のうち3社を含む17社からデータを収集し、初期の5Gの展開活動が一因となって減価償却費を除いたOPEXに占める光熱費の割合が上昇したと結論付けている。多くの事業者は光熱費を報告していないため、サンプルセットは包括的なものにはなっていない。
中国移動通信、KDDI、韓国のKT、同LG Uplus、同SKテレコム、カタールのOoredoo、Telecom Italiaの各社はいずれも2020年の光熱費は前年比で増加したと報告している。MTN Consultingによると、世界最大のネットワーク事業者である中国移動通信は2020年、OPEXの8%近くを光熱費に費やしたという。大手通信事業者のうちOPEXに占める光熱費の割合が減少したと報告したのは中国聯合通信だけだった。
MTN Consulting社のチーフアナリスト、Matt Walker氏がレポートで述べたところによると、5Gがコストを押し上げているという証拠は「強くない」ものの、「5Gの普及率が進むのに伴い、通信事業者各社はエネルギー効率の高い機器、ソフトウェア、ネットワークアーキテクチャを探し出す必要があるということを思い出させる数字となっている」という。
実際、業界団体GSMA傘下のGSMA Intelligenceが最近行った調査では、通信サービス事業者の67%が現在の傾向からして2024年までエネルギーコストの上昇が続くと予想しているという。
容量増加がエネルギー効率の向上を相殺
RANベンダーをはじめとするネットワークインフラベンダーの多くはエネルギー効率の高いハードウェアを絶えずリリースしているものの、通信事業者はふつうトラフィックや帯域幅容量が増加すれば設置する機器を増やし、データセンターに保存するデータ量も増やさなくてはならない。これに5G基地局の平均消費電力が加わると最新機器のエネルギー効率の向上を相殺して余りある結果になってしまう。
「一般的な5G基地局は4G基地局に比べ、最大で2倍以上の電力を消費します。周波数が高ければこの差はさらに大きくなる場合があります。必要なアンテナの数が増え、スモールセルを高密度に配置する必要があるためです。また、ローカルでの処理や新しいIoTサービスを支えるのに必要なエッジコンピューティング設備もネットワーク全体の電力使用量を増加させています」。Walker氏は述べている。
「要は、世の中の5G化が進んでいく最中は、通信事業者はエネルギーコストの大幅な増加に直面する可能性があるということです。この問題に対処するには、組織レベル、アーキテクチャレベル、サイトレベルで対策を取る必要があります。この取り組みではベンダーが重要な役割を担います」
また、省エネを可能にするものとしては人工知能や自動化がよく挙げられる。GSMA Intelligenceが調査した通信事業者103社のうち半数近くがこれらの技術によって今後数年の間にエネルギーコストを最大20%削減できると予測している。
MTN Consulting社よると、エネルギーの価格や種類、ネットワーク機器の老朽化、自家発電量、データセンターのエネルギー消費量など、複数の要因がエネルギーコストに影響を与えるという
GSMAによると、今年は世界の無線通信業界の3分の1(売上高ベース)が2050年までに排出量をネットゼロにすると約束し、モバイル部門の3分の2近くがこの10年の間に排出量を急速に削減する目標を設定したという。
https://www.sdxcentral.com/articles/news/5g-energy-costs-climb-despite-efficiency-gains/2021/11/
Matt Kapko, senior editor at SDxCentral, covers 5G network operators, radio access network suppliers, telco software vendors, and the cloud. He has been writing about technology since before the dawn of the iPhone, and covering media well before it was social. Matt can be reached at mkapko@sdxcentral.com or @mattkapko.
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